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季節の精進料理

蛇腹胡瓜のレモン漬_平成三十年秋彼岸のお供え膳

 お彼岸お供え膳の最終料理は胡瓜をジャバラ切りにした漬物です。あら塩だけで仕上げれば浅漬ですが、そこにレモンを加えることでレモン漬にしてみました。レモンの酸味が胡瓜によく合い、サッパリした風味を醸し出します。  包丁で蛇腹の切れ込みを入れるのは初心者には少し難しいかもしれません。しかし自分にできないことをはじめから諦めてしまっては、いつになってもできるようになりません。自分の実力よりも少し上に目標を設定し、できないことをできるように努力する向上心を持つことはとても大切だと思います。お彼岸はまた来年もやってきますし、胡瓜の旬も毎年めぐってきます。いつかできるようにと心がけ、数年後、数十年後にできるようになればよいのです。誰でも、はじめてのことは上手くできなくて当たり前です。しかしそれを習得しようと心がけた人と、諦めてしまった人とでは数年後に大きな差ができることでしょう。  切れ込みを1本ずつ切りこむよりも、ザクザクとリズム良く機械的に包丁を動かした方が整った切れ込みが入れやすいと思います。どうしても難しい方は胡瓜の中心に細い串を刺し、その串にあたるまで切れ込みを入れるという練習もできます。  仕上がった胡瓜を盛り付ける際は、胡瓜をねじってすこし切れ目をずらして蛇腹を強調するようにすると見栄え良くなります。またレモンの味が染みこんだ漬け汁も一緒に盛り付けると濃い風味を楽しめます。 
季節の精進料理

精進おからコロッケ豆乳ソースかけ_平成三十年秋彼岸のお供え膳

豆腐を作る際に出る大豆の絞りかす、おから。かつては様々な料理に使われてきましたが、今は製造過程で出るおからの多くが家畜の飼料等として処分されてしまっているようです。しかしこうした時代だからこそ、低カロリーで食物繊維豊富、非常に健康的な食材であるおからをもっと家庭で活用すべきです。禅寺では古くは自前で豆腐を作っていました。永平寺にも豆腐を作るための古い設備と道具がありました。そのため、禅寺にはおからを使った精進料理レシピがたくさんあります。今回紹介するのは伝統的おから精進料理ではなく、比較的新しいレシピであるおからコロッケです。肉に比べてかなりカロリーを抑えることができ、腹持ちも良くボリュームたっぷりで満足度も高いと思います。 おからは地元の小さな豆腐店なら無料で分けてくれることもあります。スーパーなどでは、豆腐や納豆のコーナーに小袋に入れられて販売されています。おからは傷みやすいので入手したらすぐに使うようにします。またおからによって水分の絞り具合がだいぶ違い、水っぽいもの、パサパサしたもの、絞りきって味がほとんどないものからある程度風味が残って粘り気もあるもの、さまざまです。状態に応じて、つなぎの片栗粉の量を増減させて下さい。またおから自体の味が少ない場合を想定して豆乳ソースを用意しましたが、おからの味が濃厚ならばつなぎの片栗粉や、味のソースは必要無いこともあります。豆腐を作る絞りかすのおからに比べて、市販されているおからは絞りかすではなく、大豆を細かくしただけで味がしっかりしている代わりに価格もそれなりにすることが多いです。良くおからの状態を見極めて調理することが大事です。 加える具は、レシピ通りでなく、冷蔵庫に残っている野菜のくず等を細かく刻んで流用してください。冷凍ミックスベジタブル100gで代用してもかまいません。そのままでは固い具や火が通りにくい具を加える場合は、電子レンジで加熱するなどして下ごしらえをしてから混ぜて下さい。 成形する際、あまり大きな形にすると中心まで火が通るまえに表面が焦げてしまうのでほどほどの大きさにして下さい。混ぜた具が表面の方にバランス良く配置されるように丸めると見栄えがきれいになります。 今回は同じ大豆原料の豆乳を使ったソースをかけました。おからの衣に使った片栗粉のボールの底の残りを利用すると良いでしょう。ふつうに手もちのソースやおしょうゆをかけてもかまいません。 
典座への道(精進料理基礎指南)

舞茸ごはん_平成三十年秋彼岸のお供え膳

 山で生えているのを見つけた人が嬉しさのあまり踊り出すほど美味しいと言われる舞茸。先端部分が踊りを踊る人の手のようだから、という説もありますが、踊り出すほど美味しいというのは本当です。野生の舞茸は険しい山の奥地でないと自生していない、とても貴重なキノコです。  現在は栽培することが可能になり、流通している舞茸のほとんどが工場で管理生産されたもので、いつでも安価に入手できるようになりました。一生に何度かしか口にできない野生のものに比べたらそれはまあ別物ではありますが、その分手軽に何度でも料理に使うことができるのはありがたいことです。舞茸は健康によい成分を多く含んでいます。是非健康長寿のためにも普段の食生活に取りいれていただきたい食材です。  群馬県北部は舞茸の一大生産地で、当寺の近くでも生産されています。そのため「舞茸ごはん」はこのあたりの伝統的ごちそう料理です。お彼岸やお盆に舞茸ごはんを作る家もたくさんあります。 また観光客向けの「舞茸弁当」も市販されていて、尾瀬登山の方が朝当地に立ち寄って舞茸弁当を入手し、尾瀬に登って絶景を眺めながらお昼ごはんにいただくのが定番となっています。市販の舞茸弁当には、味をつけるために鳥肉や豚肉、またウズラの卵などが使われていますが、今回は昔ながらの精進料理としての舞茸ごはんを紹介します。 甘味を強くした田舎風の味付けにしてありますが、薄味が好みの方はしょうゆと砂糖の量を減らして下さい。また舞茸だけだと食味に飽きが出てしまうため、肉の代わりに濃い目に味付けしたきんぴらごぼうを添えました。味に統一性を持たせるため、舞茸を下煮した煮汁を流用してきんぴらに味つけします。きんぴらごぼうはご飯と混ぜずに、添えるように上載せしてもよいでしょう。またウズラの卵の替わりはぎんなんです。きんぴらごぼうを載せずに舞茸だけを多めに使っても良いですし、時期によっては、ぎんなん無しでもかまいません。また餅米を使って舞茸おこわにしてもよいでしょう。 
季節の精進料理

精進ラタトゥイユ_平成三十年秋彼岸のお供え膳

 ラタトゥイユは炒めた野菜を煮込んだフランスの料理です。 主に夏野菜を使うことが多く、特にトマトやズッキーニ、ナスなどを使い、セロリやハーブを加えて風味を出します。鳥肉やベーコンを加えて旨みを出すことが多いですが、今回は干し椎茸を使って肉の食感の替わりとしました。 もともと「ラタ」はいろいろな食材を一度に煮込むこと、「トゥイユ」は混ぜるを意味します。フランス料理といっても高級レストランで出される豪華イメージのおしゃれな料理ではなく、南フランスプロバンスのニースでは郷土料理として親しまれてきた素朴な料理です。日本ではけんちん汁や豚汁のようなものでしょうか。 フランスではかつて軍隊や刑務所などでもよく出されていたようで、日本で懲役に行くことを「くさい飯を食べに行く」というように、ラタトゥイユには粗末であまり美味しくない料理という隠語的な意味合いでも使われてきたようです。 しかし健康ブームの今、日本でもかつて麦ご飯をくさい飯と陰で呼んでいた時代はとうに過ぎ去りました。今や麦ご飯や玄米の方が健康によいとしてもてはやされる時代ですし、きちんとした手順で調理した麦ご飯はくさい飯どころかとても滋味深く美味しいものです。同様に、かつて軍隊や刑務所でありあわせのものを不充分な調理で作るのではなく、きちんと調理すれば野菜たっぷりの健康的で深い味わいの上等な味に仕上がります。 道元禅師は、『典座教訓』で、「粗末な料理、材料だからといって軽んじてはいけない。ありあわせの材料でも、不充分な設備でも、できる範囲で最大の努力と工夫を惜しまず、高級食材を扱う時と同じ態度で精一杯料理するべきだ、そうすればどんな材料でも極上の味わいになるものです」と説いています。 その教えに基づき、飾り切りでむいた皮も捨てずに細かく刻んで加えます。これにより食材を無駄にせず全て使い切る精進料理の心をご家庭で生かすことができるのです。刻んだ皮は加熱時にとろけてしまいますが、それによってスープが濃厚になり、軽いとろみをつけることもでき、かつ味も深くなります。トマトを1/3量刻んで加えるのも同様の理由です。輪切りの前に飾りむきをするのは、固い皮を部分的にむくことで食感を柔らかくするためと、剝いた皮を煮溶かすためです。その上見栄えも良くなるわけですから一石三鳥といえるでしょう。
季節の精進料理

さつまいもときざみ昆布のうま煮_平成三十年秋彼岸のお供え膳

 今日20日から秋彼岸が始まります。 これは私見ですが、お盆は故人が主役の行事ですが、春と秋のお彼岸は生きている私達が主役だと私は考えています。お彼岸というのは、単に亡き人やご先祖様のお墓参りをして、拝み、供養すれば良いというわけではなく、あくまでも生きている自分の修行の一環として、それらを行うことが大切です。さらにいえば、お墓参りだけすればお彼岸はオッケーということではなくて、お墓参りを通じて、命の尊さや人生の意義をよくよく考え、普段なかなか落ち着いてゆっくり考えることができない仏の道や教えに触れることが大事です。お彼岸の一週間のうちに是非仏法を学び、何かできることを実践する機会にしていただけると良いと思います。 難しいことはできないよ、と言う方はぜひ精進料理の教えを実践する意味で、お彼岸のお供え膳を作ってお仏壇にお供えしていただきたいと思います。当ブログでは本日から毎年恒例の秋彼岸のお供え精進料理膳を一品ずつ紹介していきます。 さつまいもときざみ昆布の旨煮の魅力と特徴 一品目は秋の味覚、さつまいもを甘しょっぱく煮たうま煮です。 きざみ昆布としめじを加えることで濃厚なうま味成分が出て、さつまいもの甘さを引き立てます。料亭や懐石弁当で見るような、上品な色あいに仕上げるよりも、砂糖としょうゆを濃い目に使って田舎風の素朴で家庭的な仕上がりを狙った方がお彼岸のお供えとしてはしっくりくると思います。 コツとしては、一点目に加熱する際には弱火で長時間で煮ます。火を強くすると確かに早く煮えますが、さつまいもの皮が剥がれてしまう危険性が高まります。面取りは皮はがれにほとんど影響しないので、田舎風なイメージに仕上げる点からも不要でしょう。弱火でじっくり煮て煮汁を減らすことが第一です。 二点目は、上白糖を大さじ2杯使うよりも、上白糖1杯、ザラメ砂糖1杯に分けた方がザラメ砂糖のコクを活かすことができます。無い場合は上白糖2杯でもかまいません。また甘味を抑えたい方は砂糖の総量を減らして下さい。 
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