キャベツのゆかり漬_平成30年8月盆の精進お供え膳

古くから紫色のことを「ゆかり」といいます。 古今和歌集に詠まれた「紫の ひともとゆえに 武蔵野の 草はみながら あはれとぞ見る」という詠み人知らずの句がその由来といわれます。「目の前の1本の紫草がとても魅力的なので、武蔵野の花すべてが愛おしく思えるなあ」というような意味でしょうか。たった1本のむらさき草とのご縁(ゆかり)が、このあたり一帯全ての野草への想いにつながっていく、ということで紫=ゆかり、と呼ぶのだとか。紫と書いてゆかりと読む人名もあります。 「縁起」(えんぎ)という言葉を聞いたことがあると思います。世俗では「縁起が良い、悪い」のように使いがちですが、もともとは仏教語で「ものやひとの相互の関係性」を指します。わかりやすくいえば「ご縁」です。ものごとは、すべて縁によって起こり縁によって変化し、縁によって終わります。できるならば人生を充実した方向に展開していけるような「縁」と出会いたいものです。精進料理ではこの仏教の「縁」にちなんでその読みでもある「ゆかり」を紫色の料理に用います。 初夏に収穫される赤しそは、漢字で書けば「紫蘇」の通り、紫の食材です。そのため梅干しの色付けに使った紫色のしそを天日で干し、粉末状にしたものを「ゆかり」と呼びます。これは市販品で「三島食品」さんが商標を取得しています。自家製梅干がない場合は市販の「ゆかり」を利用して下さい。もちろん、自家製梅干しの紫蘇を使えば市販品とは全く異なる豊かな風味を楽しむことができます。 紫蘇本来の風味に加えて、梅酢の塩気と酸味がほどよく加わり、何ともいえない高貴な味わいが生まれます。その上この紫色の美しい色は見栄え的にも大変上等な印象に仕上がります。 すり鉢でザックリとすりあげれば、ザラッとした食感に仕上がりますし、フードミルを使えばきめ細かく上品な食感になります。どちらでもお好みの方を選んで、多めに作っておけばご飯やお粥にかけたりと、大変重宝します。梅干の塩分が含まれるため密閉容器に入れればそのままでも1ヶ月以上持ちます。

馬鈴薯の南蛮炒め_平成30年8月盆のお供え精進料理膳

「南蛮」という調理名はもともと16世紀頃に日本に渡来したスペインやポルトガルなどの南蛮人が行っていた調理法を総じて呼んだもので、特定の料理というよりもそれまで日本になかった西洋文化の調理法全般を呼んでいました。それが次第に変遷し、スペインポルトガルからもたらされた胡椒などの香辛料を使う料理、ネギや肉を使う料理、唐辛子などの辛い食材を使う料理などを指すようになりました。 今回は馬鈴薯を使った2つの南蛮炒めバージョンを紹介します。一つは、香辛料ということでカレーパウダーを使います。もう一つは胡椒を使い、また唐辛子に類するシシトウガラシを使うことで南蛮炒めと称します。 馬鈴薯とカレーパウダーの相性はみなさんよくご存じでしょう。精進料理でカレーパウダーの使用の可否は意見が別れるところですが、カレー粉だと玉葱粉末や肉由来のエキス等、動物性食材が含まれる場合が多いので不可だと思いますがカレーパウダーは純粋にはスパイスの部類とみなすこともできるため、例外的に精進料理にもかなりの隠し球として使うことがあります。これだけ暑い夏、激減した食欲を刺激するためにもカレーの風味を利用してみるのも一案です。ただし多用しすぎると他の料理の繊細な味のバランスを壊してしまいます。パウダーは少なめに使うのがコツです。また厳格な精進料理にこだわるならばカレーパウダーを使わずにしょうゆと胡椒で炒めると良いでしょう。2バージョンとも紹介しますのでご確認下さい。なお多めに作って常備菜的に作り置きしておくこともなにかと忙しいお盆には適しています。 この時期の馬鈴薯は収穫されて間もないものが多いため、皮が柔らかいので無理に皮をむく必要はありません。たわしできれいにこすって泥や汚れをよく落とせば、皮のまま調理することができます。その方が野性味溢れる見た目となりますし、またせっかくの皮付近の濃い味を無駄にせず楽しめます

とうもろこしと枝豆ご飯の俵巻_平成30年8月盆のお供え精進料理膳

当地で獲れた今年のとうもろこしは非常に甘かったです。雨が少なく晴天が続いたことが理由でしょうか。この糖度の高いとうもろこしと、同じく当地名産の枝豆をご飯の具にしておむすびにします。 お盆にはお墓参りが欠かせませんが、お墓が遠くて半日がかりのお宅も増えています。また地域によってはお盆のお迎えでお墓に行ったら墓地のすみにゴザをしいてお弁当を広げて親族一同大宴会を行う風習もあります。いずれにせよお盆のお墓参りに野菜の具が入ったおにぎりを用意して持参し、たまにはお墓の前でゆっくり故人を偲びながら共に食べるひとときを過ごしてみてはどうでしょうか。もちろんご自宅でのお供えにも適しています。 おにぎり型に握るのも良いですがお供え膳の体裁に合うように、今回は俵型に握ってみました。海苔を巻くほかに、大葉を巻いてみるのもまた変わった風味になって見栄えも良くなります。大葉が固い場合は濃い塩水に5分ほど漬けて水ですすぎ、柔らかくしてから巻くと良いでしょう。 枝豆は炊き込んだ方がご飯に味が移って美味しくなりますが、彩りを優先するなら炊きあがった後に枝豆を混ぜれば緑が映えます。その分少し枝豆が固く感じるため、あと混ぜ式の場合は少し柔らかめにゆでてから混ぜましょう。

手作り紅生姜_平成30年8月盆の精進料理お供え膳

夏には皮が薄くて先が赤色の新生姜も出回りますが、それを使えば皮をむかずにそのまま使用できます。ただ価格が高価なため、いわゆる普通の生姜で充分です。普通の生姜は収穫してからしばらくおいたものですが、この時期には新生姜と実用上変わらないような、皮が薄く新鮮な国産生姜も出回っています。新生姜の方が柔らかく仕上がりますが、普通の生姜の中で状態がよいものを見つけてみるとよいでしょう。 美味しく仕上げるためには、均一な薄さで、なるべく薄く切ることが大事です。そこで今回はスライサーの利用をお薦めします。初心者でも簡単に薄く切ることができます。ただし生姜が小さくなってくると指をザックリしてしまう危険があるため、食材を押さえるガードを併用しましょう。スライサーとガードはどんな料理でも幅広く使えるため、この機会に揃えてみるとよいでしょう。

カボチャの豆腐胡麻クリーム煮_平成30年8月盆のお供え膳

カボチャは夏が旬です。お盆の頃になると採れ始めるため、お盆のお供え精進料理に使う定番食材です。 でも感覚的には秋から冬にかけてカボチャが美味しい気がしませんか?そうなのです、採れたてのカボチャよりも、1~2ヶ月おいて追熟させた方が水分量も適度に減って、やわからくまた甘くなるのです。ですから夏に採れたカボチャをそのまますぐに食べると「ちょっと水っぽい」「なんだか甘味が足りない」「煮崩れやすい」ということになりやすいのです。(カボチャの品種や状態にもよります) そこで今回、カボチャを煮ないで蒸すことで初心者にとって一番の失敗である「煮崩れない」「水っぽくならない」、豆腐胡麻クリームであえることで「濃厚な味を足すことができる」とメリット盛りだくさんの調理法をお薦めします。蒸すことで固さを調整しやすいため、煮崩れても良いから柔らかくしたい、という方もギリギリのラインを見極めやすくなります。 蒸しただけでは味が染みないため、蒸し上がった熱い状態で煮汁に少しだけひたして味を染みさせます。クリームを加えずにカボチャ煮として仕上げても良いです。

押し豆腐の梅肉あえ

7月盆のお供え精進料理膳の精進ワンタンスープで作った「押し豆腐」を梅肉であえた暑い時期にピッタリのお手軽精進料理です。 水分を取り除くことで豆腐のうまみが凝縮され、またしっかりした歯ごたえとなって和える際にも崩れません。イメージとしては厚揚げの皮がない感じ・・・です。これに、苦労して仕上げた梅をたっぷり使います。塩分が多いのではと思うでしょうがこれほど暑い夏ですから水分と共に塩分補給を欠かせないことからも梅干しはとても良い食材です。また暑さで落ちた食欲を刺激するためにも適しています。用いる野菜は水菜でなくても貝割れ、三つ葉などなど安くてに入る残り物を利用して下さい。