キャベツのゆかり漬_平成30年8月盆の精進お供え膳

キャベツのゆかり漬

キャベツのゆかり漬

◇キャベツのゆかり漬の特徴と魅力

古くから紫色のことを「ゆかり」といいます。

古今和歌集に詠まれた「紫の ひともとゆえに 武蔵野の 草はみながら あはれとぞ見る」という詠み人知らずの句がその由来といわれます。「目の前の1本の紫草がとても魅力的なので、武蔵野の花すべてが愛おしく思えるなあ」というような意味でしょうか。たった1本のむらさき草とのご縁(ゆかり)が、このあたり一帯全ての野草への想いにつながっていく、ということで紫=ゆかり、と呼ぶのだとか。紫と書いてゆかりと読む人名もあります。

「縁起」(えんぎ)という言葉を聞いたことがあると思います。世俗では「縁起が良い、悪い」のように使いがちですが、もともとは仏教語で「ものやひとの相互の関係性」を指します。わかりやすくいえば「ご縁」です。ものごとは、すべて縁によって起こり縁によって変化し、縁によって終わります。できるならば人生を充実した方向に展開していけるような「縁」と出会いたいものです。精進料理ではこの仏教の「縁」にちなんでその読みでもある「ゆかり」を紫色の料理に用います。

初夏に収穫される赤しそは、漢字で書けば「紫蘇」の通り、紫の食材です。そのため梅干しの色付けに使った紫色のしそを天日で干し、粉末状にしたものを「ゆかり」と呼びます。これは市販品で「三島食品」さんが商標を取得しています。自家製梅干がない場合は市販の「ゆかり」を利用して下さい。もちろん、自家製梅干しの紫蘇を使えば市販品とは全く異なる豊かな風味を楽しむことができます。

紫蘇本来の風味に加えて、梅酢の塩気と酸味がほどよく加わり、何ともいえない高貴な味わいが生まれます。その上この紫色の美しい色は見栄え的にも大変上等な印象に仕上がります。

すり鉢でザックリとすりあげれば、ザラッとした食感に仕上がりますし、フードミルを使えばきめ細かく上品な食感になります。どちらでもお好みの方を選んで、多めに作っておけばご飯やお粥にかけたりと、大変重宝します。梅干の塩分が含まれるため密閉容器に入れればそのままでも1ヶ月以上持ちます。

またこの時期のみずみずしいキャベツを浅漬けにし、ゆかり粉をまぶします。梅の風味と酸味が加わってとてもサッパリした漬物になります。「ゆかり漬」という料理名ですが、実質上は「ゆかりあえ」です。キャベツの芯も薄く切れば硬めの食感がまた格別ですが、歯が悪い方は芯は無理に使わなくてもかまいません。もちろんゆかり粉を使わずにキャベツの浅漬けとしていただいても良いでしょう。

◇キャベツのゆかり漬の調理手順とレシピ

1 ゆかり粉を作ります。

梅干しの色漬けに使った赤しその梅酢漬けを天日でカラカラに干します。梅干しの赤しそがない場合は市販のゆかり粉を利用して下さい。

キャベツのゆかり漬

2 カラカラに乾いたら包丁である程度細かく刻みます。

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3 すり鉢でよくすります。ザックリした仕上がりになります。

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またはフードミルで粉末にします。サラサラになります。

キャベツのゆかり漬

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4 キャベツ150g(外皮3~4枚ほど)の芯の堅い部分だけをV字に切り取ります。

キャベツのゆかり漬

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5 葉の部分はざく切りにします。

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6 取り除いた芯は少し斜めにして薄く切ります。

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7 キャベツをビニール袋に入れ、あら塩小さじ1弱を加えて口をしばり、時間をおきながら何度かよくもんで塩をなじませます。

キャベツのゆかり漬

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8 よくもんでから30分~1時間程度でキャベツが柔らかくなります。できれば3時間ほどおいて、ボールに移し、手で握って塩水を絞ります。

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9 ゆかり粉大さじ1をまぶし、よく混ぜ、30分ほどおいてなじませます。

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