冬至にカボチャのいとこ煮をどうぞ

 今月22日は「冬至(とうじ)」です。

冬至とは、北半球では太陽の南中高度が最も低くなり、また一年間で昼が最も短く、夜が最も長くなる日です。あるいは、22日から1月6日の「小寒」までの期間を冬至と呼ぶ場合もあります。

古代中国では冬至が暦の基準とされ、暦と冬至がずれていないことが暦が正確に運用されていることの証として重視されました。暦が正しいということは国が平和で政治が安定していることでもあるため、冬至の日には盛大な儀式や祭りが行われたといわれます。 わが国では、古来冬至の日に小豆料理やカボチャ料理を食べ、ゆず湯に入ると風邪をひかない、という風習があります。また理由は不明ですが冬至にカボチャ料理を食べるとお金持ちになる?と伝えられている地域もあるようです。

小豆料理やカボチャ料理、ゆず湯が風邪の予防になるという口伝にはそれなりの科学的根拠があり、先人たちが経験からあみだしたすばらしい知恵なのです。

ゆず湯は、科学的には血行促進効果があり、風邪の予防や冷え性、神経痛、腰痛に効き、また柚子の香りによるリラックス効果もあります。おもしろいところでは、冬至(とうじ)を湯治にかけている、または柚子を融通が効くにかけているという説もあります。

また小豆(あずき)は古くからわが国で親しまれてきた食材で、特にその色が邪気を払うとされて、神仏に捧げられる供物に選ばれてきました。まためでたい赤色であることから、お祝い事にも好まれました。今でも赤飯やおはぎなどにそのなごりがみられます。小豆に含まれているサポニンは咳を鎮める効果があるといわれます。

そしてカボチャは夏が旬の野菜ですが、常温での貯蔵が可能で、またデンプンを糖に変える酵素を含んでいるため、貯蔵することによって甘味を増します。不足すると風邪などへの抵抗力が落ちるとされるビタミンAを多く含むため、冬にカボチャを食べると風邪をひかないという口伝もあながち的はずれではありません。また、昔は今と違って冬になると新鮮な野菜を入手することが困難で、栽培技術や流通経路が未発達だった時代には、カボチャは冬の重要な栄養源として大切にされてきました。

さて、ゆず湯は料理ではないので別として、長い間日本人が冬至に食べてきた料理が「カボチャのいとこ煮」です。カボチャは「南瓜(なんきん)」ともよぶため、「南瓜いとこ煮」ともいいます。最近のご家庭ではあまり伝えられていないようで、料理名さえ聞いたことがない方もおられるでしょう。

「いとこ煮」というのは、基本的に「小豆と野菜を一緒の鍋で煮た料理」のことをいいます。

その理由はいくつかあるのですが、最も一般的なのは「小豆と野菜を一緒の鍋で煮る場合、まず堅い小豆を先に煮て、ある程度柔らかくなったら堅い野菜から順に鍋に加えていきます。そのため、おいおい鍋に入れる→おいおい→甥甥(おいおい) または めいめいに鍋に入れる→めいめい→姪姪(めいめい) ということで甥とか姪はいとこ(従兄弟、従姉妹)なのでかけていとこ煮という」なんともまあ寒いダジャレのような語源です。

また、いとこ煮は「おこと煮」がなまったものだという説もあります。おこと煮というのは、江戸時代に盛んになった「おことはじめ」というお正月に関係する民間行事に由来します。12月8日を「ことはじめ」、2月8日を「ことおさめ」の日として、ことはじめの日から門松を作り始めたり挨拶回りを済ませたりといったお正月の準備を開始し、2月8日にはお正月の片付けを終える、という行事です。今でも京都の祇園などではその風習が残っています。要するにおことはじめが過ぎたらお正月の準備を急ぎ、おことおさめが終わったらお正月気分もおしまい、ということです。おことはじめやおことおさめの日には神様に小豆や野菜をお供えして儀式を行いました。そして儀式のあと、お供えした小豆と野菜を使って味噌汁を作ったのです。その味噌汁を「おこと汁」といいます。

このように、ほぼ同時期に行われる「冬至」と「おことはじめ」、いとこ煮とおこと煮が混同したともいわれます。そのため味噌を使ったいとこ煮を作る地域もあります。

うんちくが長くなってしまいました。作り方は明日紹介します。冬至は22日なのに明日ではギリギリではないか、と思う方もいるでしょうがご心配なく、冬至から1月8日の小寒までの間に食べればよいのです。どうしても22日に作りたい方は、とりあえず今晩あずきを50cc(約100g)分多めの水にひたしておいてください。

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