包丁選びとお手入れの基本11 最近の素材

さて、昨日までの解説はわかりやすくするために「ハガネ」か「ステンレス」か、という2極で説明しましたが、実際にはここ数十年の技術革新で、さまざまな素材が登場しています。

たとえば同じステンレスでも、錆びない硬さの中にも柔らかさを持たせた複合素材の包丁ならば、研げないことはなく、ある程度研げるし、切れ味も良く、その上錆びにくいという相反する要素を両立させた素材の包丁もあります。
他にもステンレスではないのですが錆びない素材の包丁も市販されています。


これは永平寺時代に地元福井県の刃物産地、武生で購入した「星雲鋼」という素材で作った包丁で、錆びません。ステンレスほどは硬くなく、比較的研ぎやすいので今も愛用しています。ただやはりハガネよりは研ぎに時間がかかってしまいますね。錆びないことが優先される場面では重宝しています。

結局、個人的に全ての品を試すことはできませんが、経験した範囲では、そうしたさびない素材で作られた製品は妥協の産物なので、現時点ではどうしても切れ味や研ぎやすさ、また価格の面でハガネと比べると不満が残ります。それならば錆びても良いのでハガネ製の包丁の方が良いです。

また、ハガネの側面部分を、刃先以外はステンレスで挟み込んだ特殊構造の包丁も開発されています。これなら、肝心の刃先は研ぎやすく、切れ味も鋭いハガネで、側面は錆びないのです。

長らくお世話になっている京都有次さんの場合は「平常一品」「和心」などのシリーズがこの造りです。

たとえば塩気のある海の魚や貝などを何匹もおろすような人や、梅干しや酢の物など塩や酸気があるものをたくさん切るような現場ではとても重宝します。
ただし結局側面は錆びなくても刃先の部分は錆びるので、マメにすすいで拭き取る手間はほぼ同じです。そして難点はハガネだけの包丁より価格がだいぶ高いことです。まあステンレスで挟み込む技術の分高くなるのは仕方ないですね。

切れ味は、刃先はハガネなのでハガネと同じく良く切れます。
研ぎやすさは、数年使って刃先がかなり減って来た際、ステンレス部分を研ぎ削る必要がでるのでその時は硬くて大変ですが、まあそこまで使ったらメンテの意味も含めて製造元に研ぎに出した方が良いので実際には困らないでしょう。

私も出張料理教室などでシンクの数が限られていてマメに拭き取れない現場では利用しています。ご家庭でしたら予算が許せばこうしたステンでハガネを挟んだ製品も選択肢に加えて良いと思います。

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