( ⇑ 梅の葉にしがみついたセミの抜け殻 )
◇今年の梅は異常な不作
毎年恒例の梅干作務(世間で言うところの「梅仕事」です)も佳境を迎えております。
今年は六月中に関東梅雨明け、そして激しい猛暑が毎日続きました。昨年はうちの梅は大豊作でしたが、今年は天候の関係でまるでダメ、例年の半量以下の収穫でした。梅の状態も芳しくありません。梅は豊作と不作の年が交替交代、とも言われますが今年の場合は昨年の豊作の反動というわけではなく、やはり天候の影響が大きかったようです。すぐ近くの農園経営者さんに聞いてみたら、やはり今年は梅が不作で、同時期に旬を迎えるさくらんぼやプラムもひどい不作だったと言ってました。まあこれだけ異常な天候の年ですから作物だってキツイのでしょう、仕方ありません。
◇なぜか収穫前にゴッソリ無くなってしまった梅
そして単なる不作だけで済まず、今年はどうも梅の盗難被害???の疑いがあります。
梅作務は収穫の時期だけではありません。一年を通して、梅に愛情をそそぎ、たくさんの行程と労力を注いで、やっと初夏にその苦労が実るのです。たとえば春先、秋、冬前に肥料をあげたり、伸びすぎた枝を剪定したり草刈りをしたり・・斜面に肥料を運んだり枝をおろしたりといったかなりの重労働を積み重ねます。
そうした一年を通しての苦労が実り、今年の5月下旬段階では ↓ の写真の通り、たくさんの梅の子供が枝につきました。このまま大きくなってくれたらまあまあの豊作だなあと思っていたのですが、さあまもなく収穫!という6月下旬ごろにナント!ごっそりとなくなっているではないですか! 証拠はありませんが、なくなっているのは通路側の2本だけ、もし風などで落ちたなら木の根元に転がっているはずなのにまったく落ちていません。疑いたくないですがどなたか無断で・・・残念で哀しい限りです。
◇梅干作務の手順と気を付けるポイント
まあどっかに行ってしまったものはもう仕方ありません。残った奥の梅だけを毛虫と蚊と闘いながら収穫します。今年はとにか暑くてあっという間に汗だくです。
いつもはコンテナ5ケースくらいは収穫できますが2ケースないくらいの少量、しかも傷アリのB品が多いです。無くなってしまった2本分が悔やまれます。
まずは水洗いして汚れをよく落とします。すすいだ段階でもう水が目に見えて濁ってきます。これは梅のアクなので、しっかり何度もすすいできれいにします。
水気をしっかり拭いて、痛みがひどいものを選別してホシを取ります。
2日ほどおいて追熟させ、黄色みが出てきたらあら塩をふってよくもみこみ、桶に入れて重しをかけます。今年の塩分は暑さを考慮して19%にしました。
2日後には梅酢が梅がかぶるくらいまで上がります。これが3日を超えると今年のように湿気が多い年はカビの危険が高まります。できるだけ2日以内に冠水するように塩分を調整しています。重しの量も大事です。
さらに2週間くらいおくと梅酢が完全に上がり、重しの上くらいまで増えます。ここまできたらもうカビを怖れる心配もだいぶ減ります。あとは天気の良い日を待つだけです。
昨年はあまり良い天気の日が続かなくてタイミングが合わず困りましたが・・・今年は天気だけは良いので土用干しの日程も融通が利きます。
昨年は10パット以上ありましたが・・・今年は3パットだけです。
ただし天気が良すぎる場合、干しすぎには注意です。気が付いたら乾きすぎてカラカラになってしまうこともあります。様子を見て、一気に乾きすぎないようにします。
あまり一度に乾かしすぎないよう、5日ほどかけて気長に干し、良い感じで
仕上げることができました。例年より少量なので大切に料理に使いたいと思います。