法系図 仏法を受け嗣いだ祖師の系図

 いま世間では「家系図作成サービス」なるものが静かなブームです。

要するに、役所で保管している戸籍等を調査し、可能な限り依頼主から過去にさかのぼってご先祖様を調べ、それをもとに家系図を作ってくれるのだそうです。

ネットで「家系図作成」と検索すればたくさんの会社がヒットします。

(余談ですが、役所の資料は保管期間が定められており、古い物から順に破棄されてしまいます。そのため調査会社はときにお墓やお寺の過去帳などを調査対象にする場合もあるようです。もちろんお寺の過去帳は人権尊重と個人情報保護の観点から、施主本人以外には開示しないことになっております。)

 自分のご先祖さまを家系図という目に見える形で表すことによって、自分が何者なのかを再確認し、また両親、そのまた両親とさかのぼって代々伝えられた尊いいのちに感謝する良い機会になるのかもしれません。

ところで、僧侶にも世俗で言うところの家系図にあたる系図があることをご存じでしょうか。

それを「法系」(ほうけい)と呼びます。

家系図が「自分の親、そのまた親、そのまた親」というように主に血縁や養子縁組、婚姻等に基づいた家督相続の継承系統を表すのに対し、「法系図」とは、「ある僧侶の師僧、そのまた師僧、そのまた師僧・・・」という具合に、僧侶としての弟子と師の関係を表した系図です。

なお、「弟子」と一口に言っても、色々な弟子の形があるのですが、ここでいう弟子というのは師僧から法を受け嗣いだ弟子という意味です。相当程度の修行を積み、僧として一人前であると師僧から認められた時に、師から仏法を継承する「嗣法」(しほう)という儀式を行うのです。法系図に載る関係が、一番意味が重い弟子と師僧の関係なのです。

最近は僧侶も肉系相続、すなわち親が子を弟子にする場合が多いのですが、それは明治時代に僧侶の肉食妻帯が許されて以降のことで、長い仏教の歴史の中ではつい最近のことといえます。それまでは、親子関係とは全く無縁の別人を弟子としてきたわけです。

曹洞宗では「正伝の仏法」(しょうでんのぶっぽう)といい、お釈迦様からとぎれることなく代々伝えられてきた仏法を特に尊びます。

すなわち、釈迦牟尼仏大和尚(しゃかむにぶつだいおしょう・お釈迦様)を開祖とし、その法を伝えた摩訶迦葉大和尚(まかかしょうだいおしょう)を第一祖、→二祖阿難陀大和尚(あなんだだいおしょう)・・・とインドで代々伝えられた仏法が28代目の菩提達磨大和尚(ぼだいだるまだいおしょう)によって中国に伝わり、さらに道元禅師の師である天童如浄大和尚(てんどうにょじょうだいおしょう)を経て、道元禅師によってわが国に伝えられ、さらにそこから日本国内で36代の仏祖を経て私に至るのです。つまり私はお釈迦様から数えて88代目となるわけです。

(何代目かという数え方にもいろいろありますが、曹洞宗では伝統的にお釈迦様をその数に加えず、実質二代目である摩訶迦葉大和尚を一代目と数え、インドから中国に禅を伝えたとされる達磨大師を西天二十八祖とよびます)

およそ2500年もの時を経て、八十八代も続いた長き歴史に想いを廻らせる時、その重みと責任を感じずにはいられません。八十七の祖師たちに恥じぬよう、精進していかねばならないのです。

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2件のフィードバック

  1. 老僧 より:

    山川草木悉皆仏性
    だれも皆、仏弟子。
    禅坊主は、禅坊主でないから、禅坊主。

  2. 鳥水老人 より:

    「わが法系」の続きをずっと待っていますが、なかなかお忙しそうで始まりませんね。
    期待しております。

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