永平寺別院御征忌のお手伝い

今年も永平寺東京別院の御征忌法脈会法要をお手伝いに行ってきました。

永平寺の開祖、道元禅師のご命日は9月29日です。そのため毎年9月23日から29日まで、全国の曹洞宗の僧侶が永平寺に上山してその御遺徳を偲ぶ御征忌(ごしょうき)の法要を行います。
そして永平寺東京別院では、同じ日に行うわけにはいきませんので、1ヶ月遅れの9月27日から29日までの3日間、関東地方の僧侶を中心として同じように御征忌の大法要を営むのです。
また永平寺東京別院では、先日の記事でもご紹介したとおり、法脈会(ほうみゃくえ)という禅師さまから戒を授かる法要も同時に行われます。

全国から集まる和尚さん方、そして戒弟の方々、またお参りのお檀家さんなど・・毎食350~500食近くの食事を台所で調えます。総指揮を執るのは、私が退任した後にご就任なさった副典座さん。
毎食、額に大粒の汗を浮かべながら、ほとんど休まず自分で全ての料理に味をつけておられました。そのひたむきな姿勢に頭が下がります。
私もけっこう細かい方でしたが、現在の副典さんにはとてもかないません。厨房の整理整頓から在庫管理まで、そこまでやるか!と思えるほど完璧主義の方です。

私が担当したのは、戒師大禅師さまをはじめとする高僧方のための料理です。高僧方は高齢の方も多いため、少々配慮された料理が必要になるのです。

またお檀家さんや、集まった和尚さんなどから差し入れとして野菜をいただくのですが、とても500人分の食事には足りません。そうしたありがたい食材を、高僧方の料理に使います。そう言う書き方をするとなんだか特別扱いのように誤解されるかもしれませんがそうではなく、500人分の食事を作る時に少しだけ残った食材などを無駄にしないようにうまく利用するためにも、こうした10人分程度の料理が設定されていた方が良い場合もあるのです。
つまり私の役目は手元にある食材をうまく利用して、高僧に出しても失礼にならないような料理を作ること・・・結構大変です。「あーここでシメジが入れば風味が増すんだけどなあー」なんて思っても冷蔵庫になければ何かで代用するか、別の献立にしなくてはいけません。

↑これは煮物で残ったレンコンをすりおろし、豆腐、大和芋、葛を混ぜてこね、更に残ったキノコ類やひじきの煮物などを具にした揚げもののネタです。豆腐の水気をよく切ることがポイントです。


↑上のネタを団子状にまるめて油で揚げて椀だねにし、とろみのついた薄味のダシを張ったお椀です。残り物の食材とは・・たぶん思えないでしょうね。
誤解しないでほしいのは、残り物といっても、食べ残しではないですよ。多めに作って盛りつけせずに余った分ですから。なるべく加熱する調理法を選び、衛生的にも十分考えられています。


↑いただいた米なすを油で揚げて、とろみのついたきのこのあんをかけた料理。米なすの歯ごたえとキノコあんの風味がたまりません。


↑先日の授戒会でS典座和尚から教わった、東北地方の郷土料理、生姜みそ煮をさっそく自分流にアレンジして試してみました。生姜みその煮汁が染みやすいように、焼き豆腐をメインに使いました。寒い季節には身体が温まって最高です。S典座和尚さんありがとうございました。


↑豆乳をにがりで固めた寄せ豆腐に、梅干しを昆布ダシなどを加えてミキサーでトロトロにした梅肉ソースをかけた料理。梅の酸味があっさりした豆腐に合い、食欲をそそります。

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コメント

  1. 小林肇 より:

    地方のお寺の報恩大授戒会のあとは、かつて典座を務めていた東京別院の御征忌法脈会。まさしく八面六臂(-“-;A …。
     随喜ご寺院などの参加者を含めて500人超、典座和尚は高僧方の分とはいえ10人分ほど…。調理法は若干違えども、材料もできるだけ同じものを使うというのはそれなりにご苦労があったとお察しいたします。
     でも典座教訓に「供養の物色の調弁するの術は…」とありますからねえ。まさに実践されたのではないかと…。