竹やぶの掃除

4月はとっても忙しい月です。

3月まで寒くて震えていた天候が、4月になると急に暖かくなります。
そのため、寒い時期には控えていた法事の申し込みがぐっと増えてきます。
厳冬期にはお墓も雪で埋まっているため、春を待って年回法要を依頼する施主が多いのです。
また、お墓を新しく作ったり、改修するのも、コンクリートが固まりやすいように、暖かくなってから依頼する施主が多いので、お墓のお経も4月に集中します。
そして各寺で大般若法要など、年に一度の大法要が行われるのも4月が多く、近隣地域の和尚さん方にうちの寺の大般若法要を手伝ってもらう代わりに、相手のお寺にも手伝いに行くため、4月はとっても忙しのです。

さらに、冬できなかったそと仕事も4月になると取りかからなくてはいけません。
今年一番の大仕事は竹やぶ掃除です。

毎年この時期に、寺の裏山の竹やぶ掃除をしているのですが、特に今年は雪が多く、その重みでたくさんの竹が割れたり倒れたりし、また先日の台風並みの大風でさらに数本倒れました。
これを一人できれいにかたづけるのは気が遠くなるほど大変な作業です。

本来は冬の間に行うと良いのですが、当地では冬は雪で竹林が埋まっているので無理です。
そして夏から秋にかけては蜂が巣を作って近づくと危険なので結局春にしか作業ができません。
忙しい時期なのですが、しっかり整備しないとタケノコの時期に間に合いません。
これも修行だと思って頑張ります。

なおあまり知られていませんが、近年竹林の荒廃が全国的に問題になっています。
その理由はさまざまですが、
まず里山に住む住人が全体的に高齢化し、手入れする人手が足りないこと。

次に昔は竹をとって竹ぼうき、竹ザル、竹炭、竹垣など竹を利用することが多かったのですが、プラスティック製品の普及と、技術が伝承されなくなったことなどにより竹をあまり使わなくなりました。
そのため必然的に竹を伐採しなくなったことがあげられます。

そしてもう一つ、タケノコをあまり採らなくなったことです。
タケノコ農家は一年に数週間だけのタケノコの収穫時期のために、年間通じて竹林の整備と維持を行います。当然そのコストも含めると、タケノコの単価は高くなるわけです。しかしかつてはその時期だけに味わうことができる旬の味ということで、多少高くても惜しまず購入して春の味覚を楽しんだものです。
ところが最近は生のタケノコを買っても、皮のゴミがたくさん出るのが嫌だとか、ぬかで下ゆでするのが面倒、ということで生のタケノコが敬遠される傾向になってきました。
すでに下ゆでし、皮もむいた状態で売られている水煮パックは保存も利くので確かに便利です。

まだ国産のタケノコ水煮パックが売れるなら良いのですが、非常に安価な中国産のタケノコ水煮が市場に出回るようになり、国産のタケノコではコスト面でとても太刀打ちできないため、生産量が急激に落ち込みました。

実際食べてみると、生の国産タケノコ>国産タケノコの水煮>中国タケノコの水煮 の順で味に格段の差があるのですが、まあそこまでこだわらない人が増えたのでしょう。
確かに、店頭に置かれて何日も経った古い生のタケノコを買わされて食べた人は、これなら水煮の方がいいや、と思ってもしかたありません。そして生タケノコはさらに売れなくなり、店頭に置かれなくなり、値が上がるという悪循環です。

タケノコが売れなくなったため、竹林の維持を放棄する人も増えているのだそうです。
またマナーというか道徳観念の低下により、他人が苦労して整備した竹林に無断で入り、せっかく生えてきたタケノコを内緒で持って行ってしまうという被害をよく耳にします。そのために1年整備維持したのに他人に盗られてしまうなら、いっそ荒れたままにしておけ、と考えるのもしかたないのかもしれません。

しかし整備しなくなくなった竹林は倒れたり腐ったり、薄暗くなって景観を損ね、さらに周囲に竹の根が浸食して土地を荒らします。

そういう時代だ、と言われればそれまでなのですが、竹林をどうにかしていかなくてはいけません。ということで、忙しい中、時間を見つけて少しづつ竹林の整備をがんばります。

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