永平寺 故 宮崎禅師の本をお奨めします

故宮崎禅師様の生涯と、その教えを一冊にまとめたすばらしい本が出版されました。NHKスペシャル「永平寺 104歳の禅師」や「ハイビジョンスペシャル・永平寺修行の四季」という特別番組で、NHKのディレクターをつとめた石川氏による著作、
『坐禅をすれば善き人となる』講談社刊 です。

番組撮影にあたって宮崎禅師から直接お聞きしたお言葉や、禅師様周辺の老師たちから取材した知られざるエピソードなどを交えて、宮崎禅師の少年期・青年期・そして永平寺の後堂と監院を経て貫首となる過程を、時代を追って紹介しています。

私も早速購入して拝読いたしましたが、いわゆる小難しい仏教書とは違い、非常にわかりやすく、読みやすい文体で書かれており、飽きることなく一気に読みふけってしまいました。
僧侶が仏教書を書くと、ついつい難しい専門用語を多用しがちで、一般の方にはわかりにくくなってしまうことがありますが、本書は僧侶ではなく番組ディレクターが書いているという点が良いのだと思います。
え、あの宮崎禅師にこんな逸話が??と驚き、そしてその生きた教えに感動し、108歳という生涯をたゆむことなく禅の修行に専念し尽くした、その尊い生き様に涙あふれる名著だと思います。

故宮崎禅師
↑永平寺東京別院不老閣にて、朝の御垂示をなさる故宮崎禅師のお姿。(管理人撮影)

気になる見どころをちょっとだけ紹介。

・代々庄屋をつとめる名家の長男として生まれた宮崎禅師。
わけあって小学校4年の時、禅寺に預けられ、厳しき師匠のもとで修行を
積むことになる。
僧侶として必要な作法・お経・漢詩・学問は、みな師匠が教えてくれた。
寺の中でめきめきと頭角をあらわす宮崎少年。
やがて少年は大学で本格的に学問を修めたいと思うようになる。
しかし、それを許してくれない師匠に反発し、ある夏寺を飛び出してしまう。
さて、少年の運命やいかに。

・さまざまな縁により、29歳の若さで歴史ある地方の一寺院住職に就いた宮崎青年。
僧侶の肉食妻帯が政府によって許され、それが全国的に定着しつつあった昭和初期
のことだった。
「他の寺に行くと、和尚の嫁さんが、座布団もお茶も出してくれる。
しかし、この寺に来ても、お茶も出ないし、実に無愛想だ。
確かにあんたはいつもきれいに掃除しているし、仏様にお花も上げているけれど、
檀家に対しては不十分だ、早く結婚しなくてはいかん。」
と檀家総代に強く結婚を勧められた宮崎青年、さてどう答えたか!

・部屋の電気ひとつにしても無駄を許さず、必要ないときは必ず消していた宮崎禅師。
「水にしても電気にしても、全てが尊い命。だから大切にせねばならん」
そう語る宮崎禅師は、ものをとても大切になさる。たとえば、禅師の靴はもうかなり
昔のものを、ずっと大切にして履いている。
「おまえたちの靴は、何千円もするだろうけど、わしの靴は、たった3円で買った
靴じゃ。だからわしの靴が一番安いんじゃ。」と冗談をいう宮崎禅師。
「修行は、この命に感謝することからはじまる。だから、全てのものを大切に
しなくてはいかん。この世のあらゆるものが、自分を支えてくれているということを、
もっと信じなくてはいかん。感謝のこころが大事なんじゃ。」

私も永平寺で修行中、宮崎禅師さまの身の回りのお世話をさせていただく役をつとめたことがあります。そして永平寺東京別院の典座時代には、別院にお見えになった宮崎禅師に、緊張しながらお食事をお出ししたあの日。この本を拝読していると、当時の懐かしい思い出と、宮崎禅師の在りし日の面影、そしてお言葉がよみがえり、自然に涙があふれてきます。

この偉大なる大禅師さまと同じ時代を生きた幸せに感謝しております。
曹洞宗のお檀家さんはもちろん、多くの方に是非読んでいただきたい名著です。

番組を見ていない方はDVDも、合わせて是非ご覧下さい。おそらくいずれは廃盤になってしまうでしょう。幻となる前に、お早めにどうぞ。

 

記事が気に入ったら是非SNSでアクションをお願いします☆

コメント

  1. toto より:

    禅とは何か理解をしておりませんが

    日々目を軽くつむり、瞑想のまねごとをしています。

    人様には感謝しかしようがありませんので

    最近は自分に感謝などしております。

    風呂に入り体を洗う折に、部位ごとに

    ありがとう ありがとう

    と言いながらさすり洗います。
    とても気持ちがよいです。

    身近でとれた野菜と味噌汁、納豆と玄米が主な食べ物です。

    玄米を何度も何度も噛めるだけで幸せに思います。

    生意気を書きました。

    とても勉強になります。
    また来させていただきます。