関東甲信越静地区宗教法人実務研修会に参加

関東甲信越静地区 宗教法人実務研修会 が開かれました。

これは文化庁と群馬県の主催で、10月に神奈川県を会場にして開かれ、群馬を会場にしての開催は今年2回目になるようです。題名通り、関東、甲信越、静岡と広い範囲で、もちろん仏教だけでなくキリスト教や神道、新興宗教まですべての宗教法人が対象の大きな研修会です。

地元仏教会長を務めている関係で案内をいただき、非常に興味深い内容だったので受講を申し込んでみました。群馬で毎年行われるわけではないので、せっかくのチャンスですからね・・・。

宗教法人実務研修会

会場は群馬県庁道路向いの群馬県民会館です。群馬県民ながらはじめて中に入ります。県庁前信号で停まると、立派な松と風格ある建物のマッチングが素晴らしいなあ、といつも思っていました。絹や養蚕の群馬らしく、「群馬会館」と彫られた石のオブジェは生糸の繭を模しているようです。

宗教法人実務研修会

会場がほぼ満員となる盛会で、ざっと見た感じは仏教僧侶が4割くらい、後の6割はスーツ姿なのでなんの宗教なのかわかりませんでした。私はきっちり法衣で行きましたが仏教僧の中で法衣を着ていたのは1割いませんでした。同じ地域の神主さんもきておられました。

宗教法人実務研修会

宗教法人実務研修会

見て下さい、この過密日程。しかしその内容は非常に濃いもので、住職歴が長い私でも知らなかったことや間違えて理解していた部分もあり、大変ためになる内容でした。

曹洞宗だけでの同様の研修も幾度となく受けていますが、今回の研修の方が講師さんのレベルが高く、充実していました。読めばわかる様な基本的なことを飛ばして、わかりにくい部分を重点的に解説してくれたことが良かったです。

世間の皆さんと話していると、和尚の世界丼勘定で事務や会計なんか無縁、と誤解している方が多いのですが、そんなことはなく、毎日キッチリした書類と会計処理に追われていて、提出書類もなにもかも公務員レベルの厳密さです。当地区にあるすごく小さな神社でも、きちんと会計を関係者に公表して公正明朗な運営をしていますし、それが当たり前の時代です。

たとえば地元のおじいちゃんが氏子代表役員を長年しているとっても小さな神社などで、会計といっても毎年のお祭の時に集めるくらいの少額、というような例だといちいち決算書類などを作っていない場合もあるかもしれません。しかしそうした場合でも、宗教法人として認められている以上、毎年県庁に提出しなくてはいけない書類が定められています。専業の住職が業務として務めるならまだしも、半ばボランティアに近い状態で運営されている小規模法人にとっては確かに煩雑な作業だと思います。最後の質疑応答で、「今回はじめてこうした研修に出ましたが、このようなやっかいな書類をきちんと出すことは私にはとても難しくてできません。出さないとダメなのでしょうか」という抗議にも似た口調で質問していた年配の方がいました。まあ講師さんの回答は当然ながら「はい、規定ですので難しくても作成して提出しなくてはいけません」と断じた上で、「しかしそれをなるべく難しくならないよう、負担を減らせるようにするにはどう記載すれば良いのかといった実務上のコツを、今日こうして抗議したわけですから是非前向きに考えて下さい」と回答していました。

もう制度として定められた上で、活動が認められているわけですから、それに対して抗議したり敵を作っても何も得るものはありません。難しくて提出できない、ということがないようにこうして文化庁がわかりやすく講義してくれるのですから、頑張って規定通りの書類を作成できるように努めていかなくてはいけません。まあ確かに現場での布教活動に比べて事務仕事というのはやりがいが薄いものではありますが・・・。

宗教法人実務研修会

余談ですが会場の風格と高級さに圧倒されました。そこらのホールとは数段違う豪華な誂えに驚きました。これだけ県の予算をつぎこんだ建物、もっと利用しないともったいないなあと正直感じました。

宗教法人実務研修会

講義と同じくらい意義深かったことがありました。

司会担当の県庁職員さんが、司会セリフの合間合間にワンポイント布教ネタを挟んでくる個性的な方でした。公務員さんとは思えない気の効いた司会ぶりに感銘を受けました。そのネタ挟みがウザく感じるほど多いわけでもなく、またしょうもない小ネタでもなく、ちょうど良い加減でした。

たとえば講義開始の少し前に、「そろそろロビーで休憩している方も着席してください」と声をかけますよね。皆が集まるまでに、少しネタを話すわけです。それが休憩のたびに数回あり、全部聞くとまとまった話になる、という形です。

要旨をまとめると、「群馬県では家庭から出る一日あたりの燃えるゴミが、日本一多い、ゴミの内訳としては 容器や包装が最も多く3割以上、次に台所の生ゴミが3割でその半分はまだ食べることができる食事」その現状を少しでも変えるべく、「リデュース(減らす)リユース(再利用)リサイクル(資源活用)の3Rに加えて、リスペクト(ものを尊び、大切に扱う)の”4R”を提唱します」

「皆さんは宗教者ですから、是非信者さんなどが集まる場でこの話題をお伝えくださり、布教なさってください」と熱く語っていました。司会者さんは、これまで県のゴミに関わる部署におられたのだそうです。

私が精進料理活動で伝えたいことと完全に合致するこのお話、まさか司会の方がうまいこと隙間に挟んで主張なさるとは思わなかっただけに、どんな小さな機会でも、熱意と話の技術さえあれば伝えていくことができるのだなあ、と布教の姿勢について学ばせていただきました。

講義内容の実務もためになりましたが、何よりもこの県庁職員さんの司会さんが最も印象に残り、考えさせられる良い機会となりました。

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