某料亭 手つかずの料理を別の客に出す?!

みなさん連休はいかがお過ごしでしょうか。ちなみにお寺に連休はありません。いつもと変わらず淡々と過ごしております。
お寺ではボタン桜がほぼ満開です。その美しさに、思わず疲れた顔もほころびます。

ボタン桜1

ボタン桜2

さて、今日驚きのニュースが飛び込んで参りました。
昨年暮れから今年初めにかけて、某高級料亭が食品の産地や賞味期限などを偽装していた問題は記憶に新しいことと思います。食品を扱う者の一人として、僭越ながら当ブログでも一言申し上げたばかりでした。

報じられた内容はおよそ以下の通りです。

問題となっている某料亭では、客が残した天ぷらやアユの塩焼きなどの料理の中で、
手つかずの料理の中で見た目が良さそうな物を選んで再び別の客に出していたとのこと。なおこれは今年一月の営業再開後の話ではなく、それ以前に4~5年にわたって行ってきたことが、一連の事件の調査の中で発覚した模様。
元従業員の話では、先輩の調理人から『使えるものはすべて使う』と指示され、残った料理をえり分けていた」と証言。同地を管轄する保健所も、今回の件を受けて立ち入り調査を行った。

皆さん、これを聞いてどう思いますか?

最近食に対する不安を感じさせる事件が多発している中で、皆さん食品の安全には敏感なようで、すでにネット上ではいろいろな意見が書かれています。

ある人は、「もったいないという気持ちは大切だ」
「まだ食べることができるのに捨てる方が問題だ」
中には、 「精進料理だって食材を捨てない工夫をしているぞ」と書いています。

ちょっと待ってください。一見同じように見えますが、全然違います。
同じに考えてもらっては困るのです。

確かに、精進料理では食材を大切にし、無駄がでないように色々と工夫します。
大根や人参の皮も捨てずに再利用しますし、厨房のゴミ箱に入る生ゴミは必要最小限になるよう努力します。食材に敬意と感謝の念を持ち、食材の尊いいのちを無駄にすることなく、すべて生かし切る心によるものです。

私は今回の某料亭の行為にはとうてい賛同できません。
もったいない、と思う気持ちは理解できるのです。しかし、その方法論が完全に間違えていると思います。

なぜならば、お客さんの立場を第一に考えたとき、非常に不公平だからです。
あるお客さんには、作りたての料理が出るのに、別のあるお客さんには、使い回しの古い料理が出る。お客さんが、当たり外れがあることを知っていて、料金面などで納得しているのならまだしも、お客さんはそれを知らず、一流の料理だと思って安心しているのです。
仮に百歩譲って衛生面に問題がなかったとしても、この時点でもう駄目でしょう。そんな当たり外れのあるお店にはいきたくありません。

たまたま、今回の事件は1食数万円もする高級料亭が舞台となっていますが、値段は関係ないと思います。たとえ1食数百円のお店でも、数万円のお店でも、同じお金をいただく以上、公平な態度で料理をお出ししなくてはいけないと思います。
だってそうじゃないですか、鮎の塩焼きなんて、焼きたてと、何時間も経ったものをもう一度あぶりなおしたものなんて、味が同じわけがないでしょう。

精進料理の場合は、非常に公平です。大根の皮も人参の皮も白菜の芯も、だれか特定の人にだけ出すのではなく、混ぜ込んで平等に盛りつけます。しかも、それを陰で隠してコソコソやるのではなく、堂々と恥づることなくやりますから。

「うん?この食べなれない食感の食材は、なんですか?」
「はい、ナスのへたを揚げて煮たものです」
「ははー、そうですか。結構うまいもんですなあ」
「捨てたらもったいないですから」

ってなかんじで、聞かれれば堂々と答えますし、また食べる人も納得してくださいます。陰で焼き直し、できたてを装ってだます手法とはまったく次元が違うのです。
残り物を焼き直したものですよ、と正直に言ったら、おそらくお客さんは怒るでしょうね。基本的に、お客さんは料理人を信じ、きちんと衛生的に料理されていることを前提にして、安心して食べているわけです。
どこの誰だかわからない別のお客さんに一度出したものを、また出しましたといわれたら、たとえどんなおいしい料理でも、気持ち悪くて食べる気がしなくなるでしょう。

次に、衛生面の問題です。一度お客さんに出したものですから、たとえ見た目が大丈夫そうでも、実際にはどんな状態なのかはわかりません。もしかしたらお客さんが床に落としたので食べなかったのかもしれないし、たばこの灰なんかがついているかもしれない。とくに、料亭では個室で食べることが多いでしょうから、料理人の目が届かない場所で何が起きているかはわからないのです。仮に熱を通しなおしたとしても、水洗いするわけではないでしょうから、やはり問題だと思います。

ちなみに、衛生面をとても重視した最新式のキッチンでは、料理する区画と、食べ終わった皿が戻ってきて廃棄洗浄する区画は、まるっきり別々に区切られています。
一度お出しした料理が、再び調理ブロックに戻ることは、あり得ないのです。それはやはり、厳密にみれば衛生的に問題があるからなのです。

まあ他にも、いろいろな理由が思い浮かびますが、長くなるのでこの辺にしておきます。皆さん、私の意見を聞いてどう思われますか。

ある報道では、作り直した料理は、接待主などの、あまり料理に手をつけないお客さんに出していたとのこと。
料理屋さんに、料理を食べる目的以外で行き、料理に手も付けない人がいる。
なんともったいないことでしょうか。
それを承知の料理人が、どうせ食べないんだからなんだっていいんだ、と開き直っていたのかもしれません。
やはり、真剣に食べてくれる人、喜んで食べてくれる人があってこそ、料理人も一生懸命になれるのだと思いますね。

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Posted by 管理主宰者・典座和尚