典座和尚の食育説法

昨日、曹洞宗群馬県寺族会の平成20年度総会及び研修が行われました。
このたび尊いご縁をいただきまして、お昼の食事を私が用意し、また午後には食に関する講演をおこなって参りました。

最近こういった機会が増えておりますが、毎回依頼状況が違うため、そのたびに臨機応変に対応しなければなりません。今回は群馬の東南に位置するお寺を会場にして行われましたが、同じ群馬とはいえ、北部にある拙寺とは位置的にはかなり離れています。高速道路を使っても約2時間の道のりです。
当日の朝到着してから調理をしたのでは間にあわないので、拙寺でほとんど調理をすませて持ち込むるケータリング式にしました。
煮物や胡麻豆腐など、時間がかかる料理は拙寺にて調理、その他の料理も食材の切り込みはすませておき、現地で炒めたりあえたり炊飯したりして盛りつける方式でやってみました。

盛りつけのようす
↑盛りつけは、寺族会役員さんに手伝っていただきました。
品数が多いので、今回はお椀ではなく弁当容器を使用しました。

食事のようす
↑食事を前にして、皆で合掌し、五観の偈をお唱えしてからいただきます。
奥の方に見えるのが管理者。食事の説明をしております。

今回のような場合、まず第一に重要なことは「安全な食事」です。
どんなにおいしくても、食べた人の具合が悪くなるような料理、つまり衛生的に問題があったり、料理がいたんでいたりすることは許されません。

食事は、食べた人の健康を保ち、増進させるものでなくてはいけません。食べておなかが痛くなるようでは困るのです。
まずは安全なことが最優先で、その上でおいしい味の問題があるのです。

特に当日は5月とは思えないほど気温が高く、調理人としてはかなり不安でした。移動中の車内温度にも神経を使います。

今まで数え切れないほどの回数、お寺での法要や行事の際に食事を作ってきましたが、もし万一食事に問題があり、食中毒などの事故が起きてしまったら、もう法要どころではありません。みながトイレにかけこみ、ひどければ病院に運ばれ、その日の行事や研修、法要は中止になってしまうのです。それくらい、食の安全というのは重大な問題だと自覚して調理しなくてはいけないのです。

先日某料亭の料理使い回し問題について記事を書きました。その後の報道では、手つかずの料理どころか、たとえばお客さんが手を付けたワサビを再びワサビ醤油などに使っていたことなどが発覚しました。ふつう、お刺身に添えてあるワサビを全部食べることはないですから、ほとんどのワサビが使い回されていた可能性があります。
ワサビしょうゆは通常ワサビ自体は加熱せずに作りますので、かなり衛生的に問題があると思います。
第一、いくら高級な料理であっても、「どこの誰かわからない人が箸をつけたワサビを使ったワサビしょうゆです」といわれたら、気持ち悪くて食べることができませんよね。

高級料亭ですから、取引先など仕事上大切な方を招くこともあったことでしょう。もし万一、その料亭の食事を食べておなかを壊したりしたら、今後の仕事の上でも取り返しがつきません。

その料亭の板前さんは、いったんお出しした食材を再利用することに、疑問を感じなかったのでしょうか。あるいは、罪悪感を感じながらも、組織の中では意見を言えなかったのでしょうか。
報道されないいろいろな事情もとうぜんあったとは思いますが、料理人のプライドを貫くことができなかった現実が、残念でなりません。

私たち料理人は、自分たちが作る料理が、食べる人の健康に大きな影響を与えるということを、もっと自覚しなくてはいけないと思います。

さて、おかげさまで今回の食事は無事にお出しすることができました。自分の中ではいろいろと反省点もありますが、味の方はおおむね参加者にも好評だったようです。
今回のように、実際に精進料理を食べていただき、そしてその後精進料理の話、典座教訓の話、食育的な話などの講演を聞くと、非常に説得力があります。聞く人も、話だけではいまいちわかりにくいですが、実際に食べた後だと納得しやすいのです。

もちろん、台所や盛りつけ場所など設備上の問題、またはあまりに大人数だとか、季節などの条件、またそれなりに経費も必要ですから、料理を出すことが無理な場合もよくあります。そんなときはお話だけでもどうでしょうか。食に対する不安が高まり、食育の必要性が叫ばれる今こそ、精進料理の心を説いていく好時節だと思っております。
ご要望があればメールにてご連絡下さい。

↓某寺にて、法要前にお檀家さんに食育説法を行っている様子
食育説法の様子

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Posted by 管理主宰者・典座和尚