包丁選びとお手入れの基本7 牛刀とペティナイフ

□牛刀

名前の通り、もとは肉を切るための包丁で、細長く先が尖った形です。日本では文明開化まで一般庶民はあまり肉を食べませんでしたが、それ以降急速に流入してきた、肉を多用する西洋料理のシェフが使っていたため西洋包丁とも呼びます。肉だけでなく、魚を切るにもある程度向いていますし、もちろん野菜にも使えます。

昨日紹介した三徳包丁(万能包丁)と牛刀と何が違うかを説明します。
上の写真の下にあるのが18センチの三徳包丁で、上が同じく18センチの牛刀です。
見てわかるとおり、三徳包丁の方が包丁の背から刃の方向の幅が広くなっています。
18センチの牛刀というのは少々特殊で、だいたい21センチ以上が多いのですが、比較のために18センチ牛刀を並べたため幅の違いが少々わかりにくいかもしれませんが、21センチ以上の牛刀になるとさらに幅が細いのがよくわかります。


写真上から18センチ、21センチ、24センチ、27センチの牛刀です。
日本の寸法でいうと6寸、7寸、8寸、9寸ですが、その中間の6.5寸や7.5寸などもあります。
三徳包丁はだいたい18センチ前後しかサイズがありませんが、牛刀は自分の用途に応じてさまざまな長さの中からサイズを選ぶことができるのが特徴です。

たとえばでかい白菜やカボチャ、冬瓜などをまるごと切り分けることが多ければ長い牛刀が便利です。しかし包丁の場合は大は小を兼ねるとはなかなか言えません。業務用でなければ、そんなに頻繁にまるごとの白菜を切ったりしないでしょうから、27センチの牛刀ではふだんの料理には大きすぎて不便です。

私の実経験でいえば、厨房が広大でまな板も特大サイズだった永平寺時代は、作る分量も数百人分で、たとえばみじん切りをする場合にも小さな包丁でチマチマやっていたのでは間に合いませんから24~27センチの牛刀をよく使っていました。
永平寺東京別院時代は、厨房が二回り小さくなり、作業スペースに応じてまな板も小さくなり、また作る分量も40人分位に減ったため、使う牛刀も必然的に21~24センチくらいが取り回しやすくなりました。
そして現在ブログや雑誌等の撮影では2~3人分を作る場合が多いため、さらに小さなまな板の方が便利なので18センチ~21センチの牛刀をふだん使っています。


原則として、自分の台所で使っているまな板の奥行きより少し短い刃渡りの長さを選ぶのが良いでしょう。まな板より長い牛刀は使いにくいです。

□ペティナイフ

牛刀をそのままサイズダウンしたのがペティナイフで、プチナイフ=ちっちゃな包丁、という意味です。だいたい12~15センチくらいが多く、野菜の面取りや、カボチャの背中に葉脈の刻みを入れるなどの細工仕事、あるいは果物を切るときに便利です。
特に刃の峰の厚みも薄くなり、中には横にしなるほど薄いものもあり、グレープフルーツを切り分けて外皮と実の隙間を湾曲させて切り離す際などには刃自体が薄く弾力があるためカーブに沿って切れて便利です。


上が12センチのペティナイフ、下が18センチの三徳包丁。洋包丁タイプには、同様につば付きとつば無しがあります。

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