包丁選びとお手入れの基本6 三徳包丁

○2 両刃包丁の種類

両刃包丁は片刃包丁に比べて総じて価格が安いことと、何よりも研ぎやすいことがメリットです。
片刃包丁を研ぐにはコツや技術が必要なので、まずは両刃包丁で基本を身につけることをお薦めします。

まず大分類として刃の断面での分類があり、その下の中分類として包丁の形状的な種類による分類があります。両刃包丁の中で、特に初心者にお薦めしたいのは以下の包丁です。

□三徳包丁(万能包丁)


まずはじめて1本だけ包丁を買うとなれば最もお薦めなのはこの三徳包丁です。
どうして「三徳」というかといえば、野菜、魚、肉の三種類何でもオッケーだからです。そのためメーカーによっては「万能包丁」と呼ぶ場合もあります。

野菜と魚、肉を切る時に何が違うかというと、野菜の場合は包丁の先が尖っている必要があまりありませんが、魚と肉は身を切り裂く際に包丁の先が尖っていないと不便です。
昔は野菜用と魚、肉用の包丁は用途が違うためどの家庭でも別々の包丁を使い分けていたのですが、近代になって1本の包丁で済むように日本人が発明したのが三徳包丁(万能包丁)です。

握り部分が和包丁タイプで木製のもの(写真上)と、洋包丁タイプで圧縮木のハンドルタイプ(写真下)などがあります。私のジャンルは精進料理なので、好みもあり和包丁タイプを使っていますが、耐久性や衛生面、価格面からいえば一般的には洋包丁タイプがお薦めです。
その他、衛生面や強度面で有利な、握り部分が金属でできていて刃と一体型になっているものや、樹脂製のハンドルなどもあります。まあその辺は好みで選べば良いでしょう。


なお洋包丁タイプには「つば付き」(写真左)と「つば無し」(写真右)があります。
背中の方からみた写真でわかるとおり、つば無しは真っ平らな包丁の金属部分を握りの木材ではさむシンプルな構造です。(下)つばつきは刃の根元と握りの間の部分にふくらみがあります。(上)
つばがある方が構造上しっかりしていて、また握りの根元あたりを握って細かい作業をする場合などには手になじみますし、根元部分の汚れを磨くのも簡単です。その代わりつば無しに比べて価格が高くなります。どちらを選ぶかは予算次第ですが、長く使うにはつば付きをお薦めします。

三徳包丁は家庭用前提なので、長さは刃渡り18センチくらいのものが大多数で、もっと長いものが欲しくても長さはあまり選べません。
またオールマイティであるということは逆に言えば中途半端でもあるので、性能を突き詰める必要があるプロには三徳包丁は物足りません。しかし出張料理教室などで1本だけ包丁を持っていくような場合には便利で、私も持ち歩き用に使っています。

まず1本だけ包丁を買うという初心者には三徳包丁がお薦めです。

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