梅干しを手作りするとできるいくつかの副産物を紹介します。
まずは梅干しに色をつけるために漬け込んだ赤しそを利用したふりかけです。
市販のふりかけでは「ゆかり」という商品名で販売されていますので、その名前でいえばピンとくる方も多いかもしれません。しかし赤しそのふりかけを「ゆかり」と呼ぶわけではなく、もともと「ゆかり」というのは「紫」という意味だそうで、その色から、販売会社が独自に命名したものが定着したようです。
市販の「ゆかり」も美味しいのですが、やはり自分だけの手作りオリジナルの味は最高です。
半年くらい梅と一緒に漬け込んだ赤しそ。すでに梅には充分な赤色が染みているので、もう赤しそは不要です。むしろ梅をビンから取り出す際に邪魔になってしまうので、梅とより分けると便利です。そのより分けた赤しそを無駄に捨てるのではなく、干してふりかけにするのです。
半年ほど梅酢に漬け込んだ赤しそは、けっこう「ヌメッ」とした感じです。これをザルに広げて土用干しのころに天日干しします。
ときおりかきまぜながら3日ほど晴天下に干し、このようにカラッカラにします。
まず干した赤しそを包丁で叩いて細かくします。特に茎の部分はていねいに刻みます。
刻んだ赤しそをすり鉢で摺ります。この摺り具合で仕上がりが変わります。大粒の荒い粉にするのもよし、細かくサラサラにするのもよし。フードプロセッサーで完全なパウダー状に仕上げるのも乙です。
できあがったふりかけ。チャック式のビニール袋やビンなどに入れ、冷蔵庫で保存します。
用途に応じて塩を混ぜて使います。
定番なのは白いご飯にふりかけるふりかけ。
シソの良い香りとほどよい酸味が口中に広がり、食欲を刺激します。
またおかゆにかけて食べるのもお薦めです。夏になるとどうしても冷たい料理や飲み物、あるいは辛いものなどで胃に負担がかかります。そんなとき胃腸にやさしいおかゆが最適です。
ゆかりをまぶしたおかゆは永平寺でも人気の献立でした。
一昔前までは梅干しの赤しそでふりかけを作るのは当たり前のことでした。しかし現在ではあまり見かけなくなりました。
もちろん忙しい時や、大量に必要な場合などには市販のものを利用しても良いのですが、やはりこうして素朴な手作りの技法をきちんと身につけておくことも、精進料理の心の実践だと思います。