両刃包丁の研ぎ方

まずは多くの初心者がはじめて使うであろう両刃の包丁(両側の刃が均等に傾いている菜切り包丁、牛刀、三徳包丁、ペティナイフなど)の研ぎ方について紹介します。



まず砥石を15~30分ほど水に漬けておきます。こうしないとしっかり研ぐことができません。
私もそうしていますが、いつでも研げるよう、常に水にひたしておくプロもいます。


ただし砥石によっては長時間水に漬けておくとボロボロに崩れてしまうものもあるので注意が必要です。写真はシャプトンの仕上げ砥石ですが長時間漬けるともろく変質してしまいます。製法や材質によって変わるため、注意書きを良く確認しましょう。そうした性質の砥石は使う直前に5分ほど水に漬けるか、あるいはほんの少し水をかけるだけで良い物もあります。


まずは砥石を安定した場所に置くことが大切です。私は滑り止めのゴムマットを下に敷いていますが、濡らした雑巾を敷いても良いですし、砥石固定用の台を使っても良いです。
包丁を前後に動かす際に、固定していない砥石だとずれてしまってキチンと研げないのでしっかり固定することがポイントです。


そして砥石を水にひたしている間に、包丁の汚れやサビを取り除きます。通常の汚れであれば、洗剤を少しつけたスポンジの硬い方でこすれば問題ありません。写真のような化学シートならなお便利です。


サビが出てしまった場合は、クレンザーなどの磨き剤をまぶしてよく磨きます。この磨きによって包丁が削れてなくなってしまうことはまずありえません。
なお包丁の刃先をぴったり調理台に寝かせ、刃先で指を切らないように気を付けて磨きます。


まず研ぐ際の構え方の基本です。包丁の刃を手前に向け、握りを右側に向けて右手で握ります。
その際右手の人差し指を包丁の峰に添えます。これが重要ポイントで、これにより前後に動かす際に刃先の上下動が抑えられ、安定して研ぐことができます。逆に言うと人差し指を添えないとうまく研げないということになります。


そして左手の指を刃の側面に添えます。これにより包丁がさらに安定します。


次に包丁の峰側をどれだけ砥石から上げるかが問題になります。
この角度によって刃先の鋭さが決まります。角度をつけすぎると(峰を砥石から離し過ぎると)刃先のごくわずかな幅だけを研ぐことになってしまいます。逆に寝かしすぎると(峰が砥石に近すぎると)刃先が急角度になるかわりに研ぐ幅が広くなる分硬くて研ぎにくくなり、まただんだん刃先が薄くなってしまい刃が欠けやすくなります。
自分で角度の見当がつくまでは、この角度は十円玉1~2枚くらい(2~3ミリ)くらい開けるつもりで研ぐと良いでしょう。


これでは上げすぎです。


以上、包丁の構えと峰の角度が決まったら、そのまま包丁の角度が変わらないように前後に移動させて研ぎます。はじめは包丁がグラグラするかもしれませんが、それだときちんと研げません。
包丁が安定して角度や砥石に接する面がズレないように安定させて前後に動かすよう練習します。

なお初心者はついつい砥石に刃先を強く押しつけるように研ぎたくなってしまいがちですが、強く力をかけて研ごうとするとうまく研げません。そうではなく刃先がギリギリ砥石に触れている程度で力をあまりこめず、軽く前後にシャカシャカと動かすようにするのがうまく研ぐコツです。

また、手首を動かすのではなく、腕全体を肩を使って動かすようにすると安定します。

とにかく前後に動かす時に包丁の角度がグラグラせずに安定した状態で、同じ角度で前後させることが最も重要です。
もしはじめて研ぐ際にはうまくいかなくても、毎日練習すれば必ず上手に動かせるようになります。


そして研ぐ際には砥石の上に少し水をふりかけて研ぎます。その際、振りかけた水がすぐに砥石に染みこんでしまうようなら、事前準備の砥石の水に浸ける時間が不充分です。振りかけた水が砥石上に残るようにして研ぎます。
そうすると何度か包丁を前後させるうちに、砥石が刃先とこすれて砥石の粉が水に混じって出てきます。これを「砥クソ」「砥ドロ」などと呼びます。
この粒状物が浮いている状態で包丁の刃先を前後させることで「研げる」のです。
ですから砥石に振りかけた水気が多すぎると、砥クソが薄まってしまいなかなか研げません。
せっかく出た砥クソを洗い流してはいけませんし、また砥石が水気を吸い込んでなくなってきたら少しだけ水を追加するようにします。
ちょうどよい水の量で、砥クソがたくさん出た状態で研ぐようにします。


なお包丁を研ぐ場合の左右の位置について説明します。
写真のようにまず包丁をあまり斜めにせず、砥石に対して真横に近いくらいの角度にして、包丁の先端半分の方を砥石にあてて研ぎ、


次に包丁の根元半分の方を研ぐのが最も基本的な研ぎ方です。
この場合、先端と根元の研ぎ回数があまり違いすぎると削れ具合が異なってしまい包丁の刃面に段差ができてしまうため、研ぎ具合をよく見ながら直線が崩れないように調整します。

もし長い牛刀などで二度に分けたのでは全面を研げない場合は三度、四度に分けて研ぎます。


16センチ前後の菜切り包丁なら包丁をかなり傾けて斜めにすれば一度で刃先の全てを砥石にあてることもできます。ただしこの際は包丁を真横にして研ぐのに比べて刃の当たる場所によって角度がことなってしまうため、上級者向けの研ぎ方になります。
あるいは真横にして二度三度と分けて研いだ後、刃先を段差無くスムーズに仕上げるために最後にこうして斜めにして研ぐこともあります。


そして今度は裏側を研ぎます。包丁の握りは右に向けたままで、刃先を今度は向こう側に向け、同じように前後に動かして砥ぎます。


最後に和包丁の場合握りの木の部分を磨きます。
握り部分にも汚れが付くことが多く、また慣れないと研いだときに出る砥クソが握りに付着して汚れることがあるため、最後に磨くようにします。

包丁研ぎは一日の料理が終わった後、片付けの時に行うようにします。そうすれば翌朝忙しい時にあわてず、良い切れ味で一日のはじめの料理を行うことができます。

この後包丁の水分をしっかり拭きとってしっかり乾かして保存します。

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