お盆直前の祝日「山の日」に大掃除を

今日8月11日は今年から「山の日」として祝日となりました。「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」ことが趣旨ですが、実は以前からも各都道府県単位で「山の日」は設定されており、わが群馬県は10月第一月曜日を「ぐんま山の日」としていました。まあ山に囲まれた群馬県ですからね、山に親しんで山に感謝する気持ちは大切なことです。

今回全国規模で山の日を制定しようという気運が起きた際、当初はお盆休みとからめて連休にしやすいように、と8月12日という案が有力だったそうですが、群馬の御巣鷹山に日航機が墜落した12日を山の日として祝うのはどうかという意見などにより11日でまとまったのだそうです。

 

まあ観光・売店関係の方々にとっては、お盆直前の祝日が設けられたことは来客が増えてありがたいのではないでしょうか。お寺にとっては・・・土日や祝日は、お檀家さんの親族が集まりやすいため法事の申し込みが集中して忙しくなるのですが、10~12日は毎年お盆直前に最後の諸準備を済ませる大切な時期なので、この11日に祝日が入る=法事が殺到というのはお盆準備の面から言うとなかなかつらいものがありますね。まあその分早く準備を進めるしかないのですが、今日もお檀家さんの法事をつとめつつ、空き時間には諸準備を行うため身体はかなりお疲れ状態です。

 

さて、せっかくの祝日、登山に行くのもいいですがお盆直前の準備がまだの方は、当ブログのお盆棚セッティング記事をご覧になって準備を進めてはどうでしょうか。すでにお盆の準備はバッチリだと言う方、お盆前の大掃除に充てませんか?

年末でもないのに、どうしてお盆前に大掃除を?と不思議に思う方もおられるでしょう。

お盆と言えばご先祖様や、家によっては亡きご両親や親しき方のみたまがこの世に戻ってきます。そのとき、きれいに掃除されて片づいた家にお迎えするのが遺族のもてなしのまごころです。あまりにも散らかった家ではご先祖様もガッカリですからね。お寺ではお盆前には境内の植木を剪定し、庭掃除を入念に行い、またお寺の内部もできるかぎりキレイに掃除をしてお盆を迎えます。せっかくのお盆前の祝日、自宅の大掃除を行って、サッパリきれいに整えたお部屋に故人のみたまをお迎えしませんか。

お寺では周辺の草刈り作業に続き、ここ数日で障子の張り替え作業を行いました。都会のお寺では専門業者さんに委託する場合が多いようですが、田舎寺では障子張り替えもまた住職の修行です。永平寺でも、年に数回、大規模障子張り替え作業の日があり、100人以上が手分けして、広い伽藍内の障子をきれいに張り替えたものです。障子張り替えの基本的な作法とともに、永平寺のような古い建物の障子枠は曲がったり傷んだりしていますがそうした場合どう対応すべきかといった上級技術まで教わることができました。坐禅や読経だけでなく、掃除や調理、障子張りなどの作業も大切な修行であると説く曹洞宗ならではの、本山で学んだ大切な経験の一つです。

お盆前に障子張り作業

まずは障子を枠ごとはずし、床に寝かせて古い障子紙をはがします。その際、写真のようにただビリビリと破ってはがしてしまうと、枠に張り付いた部分が残ってしまい、いちいちはがすのが大変です。

お盆前に障子張り作業

そこで、霧吹きを使って枠の部分を濡らし、しばらく待ってからはがすと糊が溶けてきれいにペリペリとはがすことができます。永平寺では大量の障子を替えるため、池に直接浸けて濡らしていました。まあ普通の家に深い池はないでしょうし、あまり長く濡らすというのは木材にとっては傷む原因になると思うので霧吹きが良いでしょうね。

お盆前に障子張り作業

霧吹きを使ってもはがしにくい手強く固まってしまった部分は、スクレーパーでこそげるときれいにはがせます。あまり角度を付けてこすると枠の木が削れてしまうので急角度で強く推さないように注意します。

お盆前に障子張り作業

あるいは古布に水を含ませてこすれば同様にめくれていきます。

お盆前に障子張り作業

このようにして古い障子紙をすべてはがします。ここが仕上がりに大きく関わるステップで、雑にはがすときれいに仕上がりません。はがし残しがないようにします。

お盆前に障子張り作業

次に障子糊を桟に塗っていきます。塗る量が少なすぎるとはがれますが、かといって多すぎるはみ出て垂れてしまいます。ぽんぽん、と叩くようにして糊をおいてくるようなイメージです。

お盆前に障子張り作業

障子張りコーナーに売っている、障子張り専用のハケはこうした横広のものですが、私はこれは使いにくいと思うので使いません。毛が柔らかすぎることと、毛羽立ち・抜け毛しやすいこと、そして横に広いと糊が均等に毛先につきにくく結果的に糊を塗りにくいのです。

使っているのは100円ショップのペンキコーナーにある、塗装用のハケです。これは毛先の弾力があって最高で、糊の含み具合もよく、持ちやすいし、なによりも幅が狭くちょうどよいので糊がきれいについて塗りやすいく、しかも使用後の手入れも楽で長持ちします。

お盆前に障子張り作業

市販の糊皿は平べったい形ですが、これまた私は使いにくいと思うのでヨーグルトの空き容器を愛用しています。障子糊はそのまま使うと濃すぎて塗りにくいし、次にまた貼り直す際にはがしにくいので、私は糊をお湯で溶いて薄めて使いますが、市販のひらべったい容器だと混ぜるのがとても困難です。

また、平べったい容器だと糊をたくさん入れないとくぼみ部分が満たされないので一度にたくさんの糊を入れる必要があり、また糊が減ってくるとハケに浸けにくくなります。また、お昼休み中に糊が乾いてしまったりします。

ヨーグルト容器は、面積が狭いため少量の糊でもハケに着けやすく、量が減ってきても能率は下がりません。それにお湯で糊を薄めて混ぜるのが非常にやりやすく、作業を中断する際は容器の蓋を閉めれば2日くらいそのまま糊も乾きません。

なによりも、片手で容器を持ったまま糊付け作業を行うことができるのが最大のメリットです。平べったい容器は持つには不便な形状なので、床に置いて使いますが、いちいちハケを糊皿に動かしてペトペト糊を着けるという作業は意外とロスが大きいのです。ヨーグルト容器を左手で持ち、ハケと同じ場所でペトペトつけていく、これが非常にスムーズですね。

まあ、平べったい容器のメリットは、安定感がありひっくり返しにくいことくらいでしょうか。ヨーグルト容器は倒れやすいのでそこだけ要注意です。

お盆前に障子張り作業

ちなみに障子の紙は幅が何種類もあり、障子の枠に合わせて用意しなければいけません。比較的新しく建てた家なら、全て同じ障子幅で統一されているはずですが、お寺や古い家の場合、長い歴史で増築したり、枠を替えたりと、その時の建具屋さんによってバラバラなんですよ。

新築でも、和室が何部屋もあると、あえて部屋ごとにデザインを買えるために障子の格子の形状をかえることがあります。幅が3ミリ違ってもうまくいきません。そのためお寺の障子張り替えは特殊サイズも多いので何本もの障子紙が必要です。お店に買いに行く前にしっかり計ってでかけましょう。

お盆前に障子張り作業

糊をつけた枠の上に、端を合わせて障子紙を広げ、フチの部分を定規とカッターできれいにカットします。カッターの刃は必ず新しいものを使い、あまり強く切ると土台の枠に切れ目が入ってしまうので木まで切らない程度に強さを調整します。

また障子紙には裏表があり、どちら側を桟の側にするか気を付けます。どちら側に表を張るかはいろいろ言われていますが、私は確定的なルールはないと思います。桟の側が部屋の内側に向く場合が多いと思いますが、部屋によっては桟のどちら側が主なのか、そうした状況で表裏を変えていいと思います。まあ障子紙の包装紙にも基本の向きが載ってますので参考にしてください。

お盆前に障子張り作業

端をカットしたらすぐに枠の部分をぽんぽんと押さえて紙と障子を密着させます。もし万一ずれてしまったら、もうその紙は使わない方が良いです。糊がついてしまった部分が乾くと大きな目立つシミになってしまうので、ずれないように一発勝負で合わせます。まあ障子の横幅がものすごく広い場合以外は、それほど難しくないので心配しなくても大丈夫です。

お盆前に障子張り作業

原則として、障子の下部にあたる方から張りはじめ、上の段を後から張ります。つまり上下の合わせ目は、上の段の方が上に重なるようにします。古人曰く、ホコリが上から下に落ちる際につなぎ目で引っかからないようにこうすることと、上から下へのものの流れの作法からですね。これが逆だと作法としては恥ずかしい仕上がりになってしまうのでご注意を。

なお重なり部分は糊がしみにくいのでしっかり押しつけます。

お盆前に障子張り作業

全面貼ったら、枠を立てて、桟にはみ出た糊を絞り雑巾で拭き取ります。

お盆前に障子張り作業

枠にはみ出た部分も同様に拭き取ります。

お盆前に障子張り作業

ある程度乾いたら枠をはめます。あまりにもしわしわな場合、霧吹きで全体に薄く水をふいて塗らすとピンと乾きますがこの時期だともともと湿気てるので不要ですね。なお乾くまではあまりエアコンで急激に乾燥させない方がうまくいくように思います。

お盆前に障子張り作業

なお、全面張り替えまではせず、部分的に張り替えることも可能です。そりゃあできれば全部取り替えた方がキレイなのは当たり前ですが、障子紙や糊の経費もかさみますし、作業時間の関係もあります。特にお寺のような、不特定多数の方が大勢出入りする部屋では、まだ数ヶ月前に替えたばかりなのにもう穴が!!というようなこともよくあり、そのたびに全交換するわけにはいきません。どうしても良く開け閉めする持ち手近くが早くいたみますね。まあ小さいお子さんがわざと穴をあけていたずらするのは別として、ふつうに部屋の出入りに使っていて穴が開くのは使用頻度が高ければやむを得ません。上記のように、穴につぎはぎをあてて凌ぐことも多いのですが、やはりこれも何カ所も穴が開くとつぎはぎだらけで見栄えが悪くなります。

お盆前に障子張り作業

まずは破損のひどい部分だけをうまく限定してはがします。あとは全張り替えと同様に、その部分だけに糊をつけ、貼っていくだけです。作業量も糊・紙の使用量も格段に減ります。ただし全替えに比べるとその分見栄えは落ちますから、判断は難しいところですね。

お盆前に障子張り作業

新しく替えた部分だけ障子紙が白いのがわかりますか。ただ、日当たりにもよりますが、半年くらいするとこの白い部分も陽に焼けてあまり差は目立たなくなります。お寺では床の間に線香をたくさん焚くので、煙の影響もありより早く茶色くなりますね。タバコを吸う方の部屋はもっと早く茶色くなると思います。こうして部分換えの写真を見るとわかるとおり、新しく貼った障子は真っ白く、部屋がとても明るくなります。気分もとても良くなりますね。まあその部屋の使用目的や見栄え、そして交換コストを考えて全換えか部分換えか決めると良いでしょう。

お盆前に障子張り作業

上半分を換えた例。

お盆前に障子張り作業

こちらは持ち手の部分だけ変則的に換えた例。

山の日の今日、特に予定がないかたは今からでも間に合います。穴の開いたみっともない障子でなく、キレイに換えた和室でご先祖様を迎えてはいかがでしょうか。障子張りまではちょっと無理だなあ、という場合でも、せめてお部屋の大掃除くらいはぜひ済ませてお盆を迎えましょう。

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Posted by 管理主宰者・典座和尚