わが愛すべき田舎の寺

 「田舎っていいですね、自然がいっぱいで」

まったくその通りです。しかし、田舎暮らしにあこがれる方も、私が住職をつとめる寺の写真を見せると黙ってしまうほど、今時めずらしい大自然の中のお寺なのです。

 永平寺の五代杉にもひけをとらない太い杉の木に囲まれ、四季折々の美しい自然を楽しむことができます。

 道元禅師が中国での修行を終えて師の元を去るとき、師である如浄禅師は「深山幽谷に居せよ」とおっしゃいました。まさにそのお言葉通りの深山幽谷の地、都会に住む方には想像もできないことが日々おこります。

 確かに都会はなにかと便利なのですが、その分無機質で人間のこころとカラダに優しいとはいえない面があると思います。逆に不便な田舎でも、田舎には田舎の良さがあります。たとえば、季節感と旬を大切にする精進料理にとって、自然の中に暮らすことは自分の感覚をみがく意味からもすばらしいことなのです。無理に田舎を都会に合わせるのではなく、田舎の良さを生かせば良いと思うのです。

 私は昨年まで4年間、六本木ヒルズのすぐ近くの道場で4年間くらしたわけですが、都会生活の良い面悪い面を十分知った上で、その対極に位置する自然豊かなこの寺でしか味わえないすばらしい四季の移り変わりを感じて暮らしたいと思います。

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