七月お盆期間中に入りました。
今回は「基本をまなぼう!かんたんお供え膳のお作法」と題して初心者向けのお供え膳の一例を紹介してきました。
飯椀 白飯
汁椀 なめこと豆腐の味噌汁
雀皿 たくあんと野沢菜漬
平椀 精進肉じゃが風
高坏 ナスとピーマンの甘味噌炒め
坪 めかぶおろし生姜載せ
見やすいように両側からの写真を掲載しますが、実際お供えするのは箸の側を仏さまに向けます。
このうち、具体的な調理方法をまだ紹介していないのは「雀皿」の漬物と、「坪」のめかぶおろし生姜載せです。
漬物については、今回はオーソドックスな例として「たくあん」と、年間を通じて入手しやすい「野沢菜漬」を組合わせましたが、ご自身で用意できるものならば何でもかまいません。この時期、夏野菜が多く出回りますので、手軽に漬けることができる「浅漬」や、腕に自信がある方なら「ぬか漬」など手の込んだ漬物でもかまいません。あるいは漬物までは手が回らない忙しい方なら、市販の漬物で良いでしょう。あまり無理しすぎずに、できる範囲で準備を調えることが大切です。
今回のように2種類以上のの漬物を組合わせて盛る場合は食感や味、色などがかぶらないように配慮します。お皿が小さい場合などは、漬物一種類でもかまいません。
次に「坪」は、今回あえて市販の「めかぶ」を採用しました。
すべて手作りの料理で揃えることが望ましいのは言うまでもありませんが、なかなかそうもいかない場合もあるでしょう。今回は初心者向けということもあり、生活環境によっては「一部できあいの料理を利用するというのも一つの手ですよ」ということを提案いたします。
めかぶ以外でも、コンビニやスーパーなどで、煮豆、きんぴらごぼう、ひじきなどのパック素材が多く販売されていますので検討してみると良いでしょう。
ちょうど一パックがお供え膳の坪にぴったりの量です。慣れない初心者が一汁三菜を全て揃えるのは大変です。そこで一品減らして「一汁二菜」の略式にするのか、一品はできあいを利用して「一汁三菜」のもてなし膳形式にするのか、そこは供養する人の気持ち次第ですね。
できあいの品をそのまま使うといっても、わずかなひと手間を加えて心を示すことはできます。たとえば今回のめかぶであれば、おろし生姜を少し上載せするひと手間を加えます。お供え膳だけでなく、たとえば実際の食事でも、市販のお弁当やおかずをお皿に移して食べるようなほんの少しの心遣いが大切ではないでしょうか。
「それならば、全部できあいの品で済ませても良いのですか」と思う方も出るでしょう。
一度手抜きを許すと際限なく放漫化してしまうため、そうした安易な方法を許さないご住職もおられるでしょう。確かにそれもまた一つの考え方です。
ただ私の考えでは、今の時代共働きなどで忙しく、お供え膳にあまり長時間費やすことができないご家庭があるのが事実です。今年のように暦の都合で平日のお盆となった場合などは特にそうでしょう。なにがなんでも手作りでないといけません、と言うと、はじめから無理だから何もやらずに諦めてしまう方が多いのです。
もし一部の料理を市販品を利用することでお供え膳を手がける時間が取れるのであれば、はじめからあきらめるよりは、私はそちらをお薦めします。
どこまでが手抜きで、どこまでがやむを得ない措置なのか。それはお供えする方の状況によって違います。何よりも、亡き方々への気持ちの問題ですから、自分の心に正直になって自分のできる範囲で取り組んでいただければと思います。
手作りの精進料理がありがたいことは間違いありませんが、あまり堅く考えすぎず、できる範囲で融通性をもってご供養なさって下さい。