浄土真宗本願寺派 本願寺鹿児島別院にて曹洞宗の精進料理を披露


前回の続き、これが浄土真宗本願寺派 本願寺鹿児島別院さんの厨房。広くて使いやすい台所でした。


古巣永平寺東京別院の台所とだいたい似た感じの広さです。
普段は約20人分の料理を1人の厨房職員さんが作っていると聞き、それでこの規模では広すぎるのでは?と思いましたが、たとえば親鸞聖人のご命日など、年に数度ある大法要では、手伝いの方がたくさん集まって数百人分の食事を作るため、これでも狭いくらいだと聞いて納得。
そのほか、普段の調理についても色々とお聞きすることができ、おかゆの作り方なども曹洞宗とはだいぶ違うことがわかり、大変勉強になりました。


100人分の手作り胡麻豆腐。
参加者は約80人でしたが、とろけるような食感を求めてぎりぎりの柔らかさで作った胡麻豆腐は盛りつけ時に崩れてしまうことがあるため少し余分に作る必要があります。

あらかじめ必要な食材を指定して手配をお願いしたのですが、関東では当たり前と思っていた食材が九州だとかなり違ったものがあり、野菜の大きさや種類などが予想外で、思いのほか調理に時間がかかってしまいました。関東と九州ではだいぶ野菜の出回り状態が違うということも良い勉強になりました。
そのため無理を言って夜遅くまで台所を使わせてもらい、胡麻豆腐が出来たのは夜11時頃。
消灯閉門時間ギリギリまで作業させてもらいました。


調理はすべてわたし一人で行いましたが、さすがに盛りつけと配膳は一人では無理です。
寺族婦人会の役員さんにお願いし、盛りつけをしていただきました。みなさん手慣れており、スムーズに盛りつけが終了。


浄土真宗さんにも食事の際のお唱えごとはあるのですが、今回はあえて曹洞宗式を体験してもらおうということで、曹洞宗宗務庁から取り寄せた五観の偈を食事前に唱和。


一汁三菜の精進料理。うつわは群馬から空輸。慣れない厨房で、いつものような味が出せるかちょっとドキドキでしたが、おおむね好評だったようで一安心。


食事中に、作り方の手順やポイント、または作法などについてもある程度解説させていただきました。道場で食事をする際はおしゃべり禁止ですが、私の料理の場合は会話自由。隣の方と「これなんでしょう?」「ふきのとうじゃない?」「どうやって作るんですかねー」などと楽しくお話ししながら食べるのもまたおいしさを増します。食べながらの質問も大歓迎。


その後場所を講堂にうつして、私も法衣に着替えて精進料理の心について1時間半の講演。みなさん聞き上手で、熱心に聞いてくださいました。
阿弥陀如来さまの前でお話しするというのもなかなかない機会です。
やはり料理を実際にたべて、その後お話しするというのが一番説得力があり、聞く人にも伝わりやすいなあと思います。

いつも感じますが、こういう講演では企画してくださった依頼主が一番苦労します。何度も打ち合わせのやりとりをしたり、出欠をとりまとめたり。尊いご縁をいただいた鹿児島別院のHさん、それから寺族会長さん、また当日お手伝いしてくださった役員さん等々、多くの方のお力あっての成功だと思います。あらためまして、携わって下さった多くの皆様方に深く感謝いたします。ありがとうございました。
特にHさんと寺族会長さんには、空き時間などに、大変ためになるお話や浄土真宗の教義や現状などについて、立ち入ったことも隠さず教えて下さり、大変勉強になりました。もっとゆっくりお話を聞きたかったです。お二人の熱意に触発され、私ももっともっと精進しなくては、という気になりました。 本当にありがとうございました。

余談 今回は地元の名物料理をいただくチャンスがなかったのが残念です。ただ鹿児島ラーメンを食べた際、漬け物が添えられて出てきたのが不思議でした。ライスやビールなどを頼んだわけではなく、ラーメンだけを注文したのですが?たまたまその店だけがそうだったのかもしれませんが、帰りに空港で食べた際も添えられていました。禅寺のように残った具を漬け物で拭き集めて食べるためなのか?でもそれだと汁をすべて飲む必要があるしな?ラーメンに漬け物を添えるのは何か理由があるのか、次回行った際に聞いてみたいと思います。


ちょうど帰る時間に、今もニュースで報じられている鹿児島県と宮崎県にまたがる霧島連山の新燃岳が噴火しました。52年ぶりの爆発的噴火だそうですが、この時点ではなんの煙なのかわからず、帰りの飛行機もだいぶ遅れ、空港では桜島が噴火したらしい、と皆が言っているのを聞きながら、桜島とは方向が違うような気がするけどなあと思いつつ写真を撮りました。現地ではいまだ大変なことと思います。謹んでお見舞い申し上げます。

記事が気に入ったら是非SNSでアクションをお願いします☆

コメント

  1. 梵智惇声 より:

    もうだいぶ前に、応量器のセツについて質問した者です。
    その後、高野山にて得度、真言宗の僧分となりました。

    小学校3年から中1まで鹿児島におりまして、
    鹿児島ラーメンで育ったものですから、
    疑問にお答えさせていただきます。
    セツについてお答えいただいたお礼までに。(笑)

    どのお店でお召し上がりになられたか存じませんが、
    その漬物はラーメンが来る前に出されたのでしょうか?
    それとも、一緒に持ってこられたのでしょうか?

    そもそもは、ラーメンが来るまでのつなぎというか、
    待ち時間の口寂しさをまぎらわすために、
    サービスで出したり、あるいはカウンターやテーブルに
    出しておいて、食べてもらうためのものだったのです。
    ですから、もともとは居酒屋で出されるお通し、
    という感じのものでした。

    その後店によって、一緒に出すスタイルをとった、
    ということも、ひょっとしたらあるかもしれませんが、
    本来の形は、最初に水と一緒に出す、
    それがラーメン屋の漬物だったんです。

  2. 梵智惇声さま
    コメントありがとうございました。
    そうだったんですかー。私が食べたお店はラーメンが出る1分ほど前に漬物がまず出て、「うん?これはなんだろ?いま食べて良いものかどうか・・」と迷ってるうちにラーメンが来た感じでした。
     本来はお通しの意味だったとのこと、勉強になりました。
     
     わたしの場合、料理が出るまでの間、カウンターで作業している様子や店のつくりなどをじろじろと見るのが好きなので待ち時間はあまり気にしませんが、人によっては待ち時間にお通しがあった方がいいという方もいるでしょうね。
     
     御得度なさったとのこと、おめでとうございます。
    今後ともよろしくお願いいたします。