かまくら香風会_精進料理とお話、そしてお抹茶

先月末、鎌倉市で精進料理を振る舞ってきました。

依頼主は茶道教室さん。

数年前、当ブログで紹介した精進ポテトサラダを、自分でも作ってみましたと画像をお送り下さった鎌倉の大江さんとのご縁により今回の企画が実現しました。

閲覧者さまが作った精進ポテトサラダ

茶道と禅、そして精進料理は歴史的にも思想的にも共通点が多く、これまでにもよくお茶関係の方向けの講演などは行ってきましたが、今回は「精進料理を実際に食べる→お話を聞く→お茶会」というフルコースの企画だったためいつも以上に入念な準備が必要でした。

会場の台所設備をあらかじめ確認し、すべてを現地で調理するのは難しいと判断してある程度は前日に仕込んで持参するという形をとりました。早めに現地入りして会場近くの由比ヶ浜を散策。当地は雪に埋もれているというのに、ウエットスーツで海に入っている方がいましたよ!?早朝なので人もまばらでしたが帰る際はとても多くの人が浜を埋めていました。

かまくら香風会_精進料理と茶道

持参した精進料理を再加熱し、あるいは最終味付をほどこして盛り付けていきます。

かまくら香風会_精進料理と茶道

修行道場ならば数人でとりかかる分量ですが今回は私一人で。大変でしたが、自分で納得いくように仕上げることができて気分は最高です。

かまくら香風会_精進料理と茶道

前晩までは予定になかった、出始めのふきとタラの芽が手に入ったので急遽アレンジして春の雰囲気を加味します。こうした臨機応変さも大事です。

かまくら香風会_精進料理と茶道

できたての胡麻豆腐もしっかりとまとまってなおかつプリプリの柔らかさです。

かまくら香風会_精進料理と茶道

春の一汁三菜膳をお出ししました。

かまくら香風会_精進料理と茶道

満席の茶室にお客様達が到着し、禅の作法でいただきました。食前の祈りを皆で捧げます。

かまくら香風会_精進料理と茶道

途中のお給仕はお茶会の高弟さんたちが担当して下さいました。和服でのきちんとした振る舞いを受けていただく精進料理はやはり和の素晴らしさを感じます。

かまくら香風会_精進料理と茶道

そしてふだんなら一汁三菜料理だけで充分なのですが、茶道教室からの依頼ということもあり、特別に典座和尚特製の手作り御菓子を食後にお出ししました。なんと材料はお野菜です!

禅の道場でも正式にお茶を振る舞う行茶(ぎょうちゃ)の作法がありますが、それに則ってほうじ茶とともに供しました。

かまくら香風会_精進料理と茶道

精進料理を頂いた後は、精進料理と茶道についての講演。皆さん深くお茶を学ばれている方ばかりなので、お話しした点はよく理解下さったようで何よりです。やはり何ごとも、言葉によるの解説だけ、あるいは実体験だけでは不充分で、実際に自分で体験(精進料理を食べる)し、加えてその理論を学ぶことで両面から深めていくことができると思います。

今回のお話しの中心は、「自動販売機で手軽にお茶が買える時代に、どうして少しばかりのお茶を点てるために多大な手間暇をかけるのか」すなわち精進料理も同様です。できあいの便利な食事が安く手に入る時代に、あえて面倒な作法や手順をふまえて精進料理を作るのか、そこに重点をおいてお話しいたしました。

かまくら香風会_精進料理と茶道

さらに講演後は場を仕切り直してお茶会。正客を固持し、お隣の方の作法をチラ見しつつ、あれこれ小声で教えて頂きながら美味しいお茶を頂きました。

床の間の掛軸には、茶を志す大勢の士が一同に集まり、仲良く過ごしてその心が一つになった中に幸せが現出する、という主旨の禅語が掲げられていました。とても素晴らしい一日となりました尊いご縁に深く感謝致します。皆様ありがとうございました。

かまくら香風会_精進料理と茶道

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