十五夜の月見精進料理膳

いよいよ明日は「NHK-FM トーキングウィズ松尾堂」放送日です。
番組中、スタジオでお出しした「十五夜のお月見 観月精進料理」について詳しく解説します。

皆さんは最近「お月見」をしてますか?
都会の空ではなかなか月を見ることが難しい場合もあるため、しばらく月見なんかしてないなあ、という人も多いかも知れません。実際、春の「お花見」は盛大に行われる場合が多いですが、秋のお月見はそれほど盛り上がらない比較的地味な行事かもしれませんね。

しかしわが国では一説には縄文時代からすでに行われていたともいわれ、少なくとも平安時代には祭事として貴族たちのあいだで優雅にお月見が行われていたそうです。

うちの寺ではもう私が子供の頃からずっと、秋には月見の儀式が行われています。
十五夜の晩には月が窓から見える板の間に祭壇を設け、ススキの穂を花ビンに挿し、月見団子を三宝にお供えし、また収穫された野菜などをザルに並べて祭壇に供え、豊作と健康を祈りながら月を愛でるのです。

十五夜には里芋や薩摩芋など、芋をお供えする習慣があるため、別名「芋名月」とも呼ばれます。
当地ではまだこの時期里芋は早いので、カボチャや大根、ジャガイモ、胡瓜、ミョウガ、枝豆など畑で取れた収穫物を供えます。

お花見のようにワイワイガヤガヤと騒ぐのではなく、月を眺めながら心静かに、コオロギや鈴虫などの虫の音を聞きながら、秋の風情を楽しみ、そして毎日の平和や自然の恵みに感謝するお月見は、ちょっとしたオトナの行事といえるかもしれません。

さてそんなお月見で欠かせないのがお月見の膳です。
地域によっては月にお酒をお供えしてご相伴にあずかるのだとか。
確かに名月を眺めながら一献傾けるのも日本人ならではの風流な慣習ですね。

今回の観月精進料理は「芋名月」にちなみ、里芋、薩摩芋、甘いカボチャなどを使い、また満月にちなんで丸い形の料理を揃えました。
スタジオでお出しするにあたり、調理場の制限などに苦労したため少々変則的な内容ではありますが、なんとか精進料理の正式な客膳形式の一つである「一汁三菜」形式に調えることができました。

○栗赤飯 十五夜を祝う赤飯に、秋の恵みである栗ときのこ類を加えました。

・小豆(ささげ)を水に漬けて戻し、昆布ダシで柔らかく炊きます。
・餅米を軽く研ぎ、研いだ普通の米と半々になるように混ぜ、
小豆とその煮汁を半分ほど加えて水加減をします。
・しめじ、舞茸、青ぎんなん、栗、塩を加えて炊飯します。
・餅米100%で作るときは蒸した方がうまく仕上がります。

○里芋のけんちん汁 里芋とカボチャを中心にした、具だくさんのけんちん汁で
秋の収穫を祝います。通常このうつわには煮物を盛りますが、
スタジオの設備の関係もあり、「汁平(シルビラ)」と呼ばれる
形式の、具が多い煮物風の汁にしました。

・里芋、牛蒡、カボチャ、厚揚、エリンギを一口大に切ります。
アスパラガスをハス切りにします。
・木綿豆腐をふきんでくるんで重しをかけ、水気を切ります。
・鍋に油を敷き、荒くつぶした豆腐を炒めます。
豆腐がある程度つぶつぶ状になったら、具を加えて炒めます。
・油が行き渡ったら昆布ダシ、酒、みりん、しょうゆを加えて中火で煮ます。
・塩で味を調え、うつわに盛って、ミョウガの輪切りを添えます。

○薩摩芋の洋糖まぶしとウサギだんご 芋名月にちなんだ里芋を菓子に仕立てました。
また月見団子をちょっと一手間かけてウサギ型に。

・薩摩芋を皮ごと輪切り、または半月切りにし、クチナシの実とともに煮て
しばらく煮汁に漬け、黄色い色を付けます。
・いったん煮汁を軽くすすぎ、別の鍋で昆布ダシ、酒、みりん、しょうゆで煮ます。
・煮汁を切り、グラニュー糖に数回まぶします。

・米粉に熱湯と塩を加えてこね、ダンゴを作ります。
・沸騰した湯にダンゴを入れ、浮いてくるまで加熱します。(または蒸しても可)
・ゆでたら冷水にさらします。
・普通は丸くこねるのですが、ウサギの形にこね、ゆでてから少し包丁で
耳のあたりを加工し、食紅で目をつけてウサギ型にしてみました。

○満月胡麻豆腐 いつもは四角く仕上げる胡麻豆腐を、ラップでくるんで固め、満月に
仕上げました。

・胡麻をすり鉢で油が出るまですります。
・昆布ダシを加え、ドロドロにし、うらごしします。
・鍋にうつし、葛と昆布ダシを加え、30分ほど加熱してこねます。
・ラップに適量をくるみ、ゴムでしばって固まるまで冷蔵庫で冷やします。
・うつわに敷き味噌をしき、ラップを外した丸い胡麻豆腐を盛り、ワサビを載せます。

いかがでしょうか。品数が多いため、詳細な分量は省きましたが、だいたいの調理手順はわかったと思います。リクエストが多ければ分量付きのレシピを公開したいと思います。
なお、今回の献立の主役はその名も「満月汁」
以前朝日新聞にレシピを掲載した献立です。
こちらは放送日である明日、レシピ付きで紹介したいと思います。

それではどうぞ、明日はぜひとも番組をお聞き下さいませ。

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Posted by 管理主宰者・典座和尚