オリンピックの報道に一言

テレビでは連日ソチオリンピックが報じられていますが、昨今の報道スタイルには疑問を通り越して正直あきれています。


報道といってもテレビの他にもラジオや新聞などさまざまな媒体がありますが、雑誌などの書籍はあまり見ないのでわかりませんが特に民法テレビの一部の報道です。
もちろん民法番組にもいろいろあるので全てがそうだとは言いません、念のため。

ジャンプの高梨沙羅選手。親戚・・・ではありませんが遠い先祖は同じかもしれないので特に親しみがわきます。
競技前にはどのチャンネルでも「金メダル確実!」「不動の金!」「金間違いなし!」「史上最強」「かつてない高得点が期待されます」などとコメンテーターが煽るだけ煽っている姿を何度も見ました。モーグルの上村愛子選手も同様ですね。

民放は無料で見ることができるわけですが、テレビ局といえども会社であり、どこかで収入を得なくてはいけません。で、おそらくお金を出してくれるスポンサー企業にとって視聴率がよくなければ宣伝効果が薄れてしまうので、高い広告料金を納める以上はなんとかコマーシャルをたくさんの人に見て欲しい=番組の視聴率を上げなければ、という流れになるのでしょう。
そこでおそらく報道番組やオリンピック中継を盛り上げるために、「絶対金メダルですね!」なんていうのでしょう。まあアナウンサーも番組に呼ばれたコメンテーターも、報酬を得て出演している以上、その番組の空気を読んでそう言わざるを得ないのでしょうからもうこの過度なアオリは構造上の問題と言って良いように思います。

私などはもう最近はそうした根拠もない「日本チームは絶対優勝でしょうね!」とか「確実に金メダル!」というようなアオリを見ると非常に不快に感じます。
だってそうでしょう?世界中から一流の選手が集まって実力伯仲しているオリンピックで、誰もが金メダルを狙って競技に臨むわけですから、わずかな体調変化や精神状態、あるいは前の日によく眠れたかとか食事の関係、当日の天候や会場の状況などなどほんの少しの要素で結果は変わってしまうものだと思います。
一流になればなるほど、「絶対」とか「確実」なんてあり得ないことは選手本人が一番よくわかっているはずです。

今回、高梨選手は4位という結果でしたが、もしマスコミが事前に余計なことを何も言わない状態で、いきなり競技結果を聞いたとしたら、おそらくほとんどの国民が「え!17歳で世界で4位!そりゃすごいですね、良くやった!」と褒め称えたに違いありません。だって世界で4位ですよ?凄い立派な成果じゃないですか。

それなのにさんざん「金確実!」なんてあおったあげく、競技後には「無念の4位!」「4位に悔し泣き」「メダル届かず!」なんて無慈悲なフレーズで追い打ちをかけたせいで、結果を聞いた国民は「え?メダルもらえなかったの?」「なーんだ」というような、まるで4位では価値が低いような誤った印象を受けてしまった人も多いのではないでしょうか。
同じ4位でも報道の仕方で全然受け止め方が変わってしまうから恐ろしいものです。
世界の4位で残念なのでしょうか? 私は立派な素晴らしい4位だと思いますがね・・・。

そりゃ本人だって是非ともメダルを獲得したいでしょうし、勝負の世界には厳然たる順位が結果として出ることには反対しません。負けた子供がかわいそうで傷つくから順位を廃止してみんな一緒にゴールインさせましょ、みたいな運動会には大反対です。
勝ち負けがあることには問題ないのですが、負けには価値がないと思うのは間違いだと思います。
勝った人も負けた人もその努力と健闘には同じく尊い価値があると思います。
一部のテレビの報道が、高順位だけが価値がある、と決めつけているように思えてなりません。競技後、「よくやった!堂々の4位」ってどうして称えないのだろうかと思います。

私は中学生の時陸上部でした(笑)
一年生の秋、各校対抗の駅伝大会でなんとアンカーに指名され、正直自信がなかったのですがたすきの重みを感じながらラスト走者として頑張って走りました。優勝すれば県大会に進めたのですが、2区の上級生が2位まで上がったのが最高で、その後の区間で抜かれてしまい残念ながら4位くらいに終わりました。でも顧問の先生は「みんな精一杯よく走ったな、良かったぞ」と結果うんぬんではなくそのがんばりを誉めてくれたことで抜かれた者も変に責任を感じず、自分たちの結果に自信を持って喜ぶことができ、とても嬉しかったことを覚えています。

あ、もちろん言うまでもなく本人が「私はダントツ一位の実力があったのに発揮できずメダルを逃してしまい悔しいです!次は絶対金を取りますよ」と本人が(テレビでの空気を読まずに心の底から自分の発言として)言うのなら問題ないですよ。

別にこれは今回のオリンピックに限らず、もう10年以上前に、まだ今ほどは日本のサッカーレベルが世界に追いついていなかった頃、サッカーのワールドカップだったかなんだかで事前にマスコミがものすごく煽って、優勝を充分狙えますね!みたいなことをさんざん報道していたにもかかわらず、確かボロボロで予選敗退におわったことがあったと記憶しています。その時からなんだかスポーツ報道がおかしいな?と感じていました。
大きな大会になれば番組スポンサーが競技自体のスポンサーでもあったりして、いろんな事情があるのはわかりますし、純粋な報道番組と、バラエティー系のスポーツ番組やお笑い系の番組はまた違うのでしょうけど。

こうした中、一番かわいそうなのが選手本人です。
たとえば今受験シーズンですが、試験前に「絶対合格期待してますよ!」「合格間違いなしですね!」なんていう感じで家族や友人、先生などから連呼されたら余計な緊張やプレッシャーがかかって明らかに精神的にマイナスですよ。それでもし落ちたらなおその期待を裏切ってしまったように感じてしまうじゃないですか。受験生本人としたら、いつもどおりに静かにして欲しいと思いませんか?
「まあそうした周囲の雑音もすべて乗り越えて平常心で戦わなければ一流ではない」とか言いだす人もいるかもしれませんが、選手も一生懸命努力して国内予選を勝ち抜き、ギリギリのところで世界と戦っているわけですから、そこまで要求するのは無茶でしょう。むしろ国の代表なのだから、代表が気持ちよく競技できるように協力してあげるのが国民の思いやりではないでしょうか。
偶然かも知れませんが、あまりテレビで事前に注目されて名前がバンバン出て金メダルを期待されていなかった選手の方が今回成績が良いように感じるのは気のせいでしょうか。
まあ選手もスポンサーなどに気をつかって、盛り上げるようなコメントをしなくてはいけないでしょうし、テレビにも協力しなくてはいけないのでしょうから難しい立場だと思います。

百歩譲って、たとえばプロのサッカー選手や野球選手など、ファンの応援や入場料などを糧として競技をしているプロ選手であれば、事前の盛り上げや、負けた際の批判やブーイング、競技外のエピソードやキャラ設定も含めてそれ自体がファンの楽しみでもあるのだからほっとけば良いとは言いませんし、どんどんお気に入りのチームや選手にプレッシャーをかけ、負ければ「何やってんだこんちくしょう」とテレビの前で暴言を浴びせるのも一興でしょう。選手もそれを承知でやっているでしょうから。

今回、「オリンピック選手は公費で強化しているから税金が使われている、だから勝たないとダメだ」というような論調がネットで出ていますが、私はそれはおかしな意見だと思います。
ショー的な要素を持つプロ競技と、オリンピックは明らかに異なるモノだと思いますし、また税金を注入したから成果を出せ、という理屈をあまりいうようになるとギスギスした社会になってしまうように感じます。

ともかく、無理にドラマチックに盛り上げたり必要以上にアオったりしないで、もっと落ち着いて見守るような報道はできないものか、と思うのです。そのためには視聴者である国民自体の視点をレベルアップさせる必要がありますね。

4位に入賞した高梨沙羅選手に惜しみない拍手を送り、健闘と努力、そして栄誉を讃えたいと思います。これから競技を行う選手の皆様には、余計なことを考えず純粋に競技に集中し、オリンピックを楽しんでいただきたいと切に願っております。

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コメント

  1. ひろみん より:

    まさしく!私も、主人もテレビを見ていて、
    同じ様に感じています。

    以前、伊達公子さんが試合中に、余りに観戦者の反応が悪くて
    怒っている場面を見た事が、ありました。

    子供が中学校の時にテニスの試合で、ミスした時に
    「ラッキー!大儲け!」と言われて、愕然とした事が有ったのを
    思い出します。

    今日も民放では、クロスカントリーのライバル選手が
    発熱したから、勝機が云々と・・・

    悲しくなりますね