修行僧の長寿健康の秘訣、納豆

納豆ごはん

◇納豆と健康

大豆を納豆菌で発酵させて作ります。稲作の副産物であるワラと、煮た大豆が偶然室温で作用して納豆が生まれたとされますが、稲と大豆という和の素材が絶妙の縁で結ばれたとした思えません。武士が行軍の際に煮た大豆をわらづとで包んで馬に背負わせて運んだところ到着したら納豆になっていた、という話を聞きますが、すでに室町時代には文献に登場しますのでもっと早いうちから納豆は食されていたようです。

「納豆時期に医者いらず」ともいいますが、冷蔵庫がなかった頃、納豆は冬を中心とした涼しい時期が旬でした。近年には7月10日をななとう710 と語呂合わせして納豆の日としたことと、冷蔵庫の普及により通年安価で入手しやすい優れた食品として親しまれています。

納豆は本当に体に良い食品です。

各種ビタミン類が豊富で、特にビタミンk2はカルシウムとともに骨を強くします。またマグネシウムなどのミネラル類、腸内フローラにも良い影響をもたらす乳酸菌と食物繊維が豊富で免疫力を高めます。なんと納豆には殺菌作用があり、0157に対しても有効なんだとか。虫歯菌にも抗菌するため、口内環境にも良いそうです。また有名なところでは納豆は血をサラサラにし、血栓を溶かす効果があるということで高血圧や脳梗塞心筋梗塞の予防にも効果的です。納豆かけご飯は血糖値も上昇しにくいという実験結果もあるようです。「納豆好きは色白美人」というように、美肌効果も高く、ダイエットにも適しています。

群馬の納豆

◇納豆と精進料理

納豆は精進料理でも多様される食材です。

お肉や魚を使わない精進料理では、栄養面でタンパク質が不足しがちです。そのため植物性のタンパク質を上手に使うわけですが、納豆は先に述べたように非常に栄養的に優れた食品で、なおかつ入手しやすく安価なため、お寺の精進料理では修行僧たちの健康を保つために重宝されています。

お寺の世界に「納所」(なっしょ)という言葉があります。現在は、大きなお寺に寺務や法要を補佐するために勤務する、という意味で使うことが多いです。大きなお寺にはだいたい受付や寺務所的な部屋があって、その部屋に付随する倉庫のことを納所というため、それが転じて、そこに詰めている勤務僧のことを納所という、というのがまあ定説です。お札を納める場所=受付から納所というという説もあります。で、昔は大きなお寺では自前で納豆を作っていました。それくらい精進料理には欠かせなかったということです。そこで、納豆を作る部屋を「納所」と呼んだのがその語の由来だ、という説もあります。まあちょっと強引な気がしますが、それくらい納豆とお寺は縁が深いというのは間違いないことです。

ただし納豆には独特の臭いがつきものです。私は気にしませんが・・・人によっては靴下の臭い、とか言って毛嫌いする人もいます。それからあの粘りも好き嫌いが別れる一因です。統計では関東東北で人気が高く、関西ではあまり好まれないようですが、近年の健康志向に伴い、関西でもここのところ売り上げが増えているそうです。

修行道場の精進料理では、ご飯の上に何かをかけて食べるということは正式な作法の場では避けられます。ご飯をよそる頭鉢(ずはつ)といううつわは清らかなものとして、ぶっかけ式などは御法度だからです。ただし坐禅堂以外で行われる略式の夕食に限り、別のうつわを使うためおかずをご飯にかけても良いことになっています。

そのため私も納豆をいただくのは今でも朝ではなく夕食の習慣です。その方が眠っている間に血をきれいにしてくれる効果があるので良いと聞いたこともあります。

明日から納豆を使った精進料理レシピシリーズを紹介します。どうぞお楽しみに。

納豆ごはん

精進料理ではネギを使わないため、この時期はきざんだミョウガを薬味にして白いご飯に載せると最高ですね。

納豆ごはん

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