関東地区有道会東京大会 

関東地区有道会 東京大会

関東地区有道会東京大会が開催され、永平寺系の曹洞宗寺院が集まりました。

関東・山梨の各都県が持ち回りで会場となり、担当の県は何年も前から企画や準備に追われます。今回の東京大会は内容がとても興味深く、特に現代問題になっているテーマを題材とした講演が楽しみでした。

ちょうどアメリカの大統領氏が都内に滞在している日程と重なり、念のため会場に早めに着いたため、調理道具で有名なカッパ橋に行って久しぶりにうつわや調理道具を物色してきました。会場の浅草ビューホテルとカッパ橋は歩いて5分のすぐ隣です。いつもより警官が多く各所に立ち警戒する様子が目立ちました。

関東地区有道会 東京大会

お目当ての講演、内容は僧侶向けのためあまり詳しく書けませんが、住職としてこれから激変していくであろう社会にどう対応していくべきか、内容の濃い諸問題がたくさん挙げられ、具体的なデータが呈示されながら解決のヒントが示されました。

正味半日の日程でしたが、これは午前午後あるいは一泊して2日にわけてもよいくらいの濃い内容で、少々詰め込み気味の急ぎ足だったのが残念でした。まあ日程を長くするわけにはいかないのはわかりますが、各講師の話がいささか盛りだくさんで未消化な点が残念でした。

関東地区有道会 東京大会

こうした講義ではつきものですが、ためになった部分もあれば、自分の地域には全くあてはまらない点もあり、その辺は全てを真に受けず自分で取捨選択しなければいけません。

ひとつどうしても気になった点は、ある講師の主張の中で、「これからは人口が激減し、仏教各宗派がバラバラに布教している時代ではない、布教対象が減って寺院も維持できない時代になれば、各宗派で個別の教えを説かずにお釈迦様の教えに戻って根本を説くべきだ」という内容です。まあ要するに「これからは仏教各宗派に分かれているほど人口の余裕がないのだから、仏教としてひとつにまとまって布教していかないと数が合わないよ」という感じで話されていました。

関東地区有道会 東京大会

まあ言いたいことはわからなくはありません。もともと曹洞宗は「正伝の仏法」を標榜し、お釈迦様の教えそのものをとても重視しています。お釈迦様がおこなったとおり、お釈迦様の言ったとおりの教えをそのまま受け嗣いでいるので、ほぼ道元禅師のお示し=お釈迦様の教えです。講師さんは、お釈迦様と各宗派の宗祖の教えは別ものだととらえているようですが、曹洞宗の場合はそうではないので曹洞宗対象の講演でこの発言はいただけないですね。もちろん、他宗派でこの発言をしたら宗派の存在意義全面否定になってしまう場合もあると思いますが・・・

また、曹洞宗もお釈迦様の時代には無かったけれども中国を経て歴史的にうまれた考えや作法などもたくさんあり、それが法を求める者の救いになっている部分も多くあります。図に書かれたような「一般の人がききたいのは宗祖の教えではなくお釈迦様の教え」という講師さんの主張は現場の感覚としてはかなり的外れだと思います。

道元禅師や歴代の祖師の教えや言行を学びたい、聞きたい!という人はたくさんいますし、そうした切り口から学ぶことでそれがお釈迦様の教えにもつながり、より深められると私は考えています。

人口が減っていく時代でもここは大いにこだわるべき部分だと思いました。まあ講師さんに一部賛同できない部分があるのもまたこうした企画でのよい勉強です、東京の役員さん各位のご苦労に対し、篤く感謝申しあげます。

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