お寺の新年会_鏡餅入りの七草がゆでおもてなし

前回、和尚に仕事納めはないと書きました。ということは当然ながら「仕事はじめ」もなく、正月1日から休む間無しです。曹洞宗のお寺では、正月三ヶ日に一年の平和と無事、皆の幸せを祈る祈祷法要を行います。お寺によって細かい慣習は異なりますが、うちではその3日間祈りをこめて拝んだおふだを3日の午前中から丸1日かけてお檀家さんに配ります。正月早々、この3日間の御祈祷とお札配りがとても大変な修行でして・・それが終わると休む間もなく総代さんと世話人さんがたくさん集まる7日の新年会の準備に追われます。

そして当寺では7日の新年会ではまず本堂で法要を行い、ご本尊さまに新年の御挨拶のお焼香をしてから、広間で手作り精進料理と七草粥をもてなし、一年の無病息災と万福多幸を祈ります。

今年の精進料理は「初春のクルミ胡麻味噌あえ」にしました。今年は暖冬で野菜のお値段がかなり安いこともあって同じ予算でたくさんの食材が入手できたことと、曜日の関係で前日6日にゆっくり準備時間が取れたため、例年よりだいぶ手をかけた献立です。

まずは法連草と小松菜をゆでて水を絞り、一口大に切ります。いつもの年だったらこの量だと予算的に難しいのですが、なんとありがたいことに一束50円でした。

お寺の新年会_七草粥でおもてなし

白菜、もやしもゆでて水を切ります。

お寺の新年会_七草粥でおもてなし

きのこ類、ぎんなん、麩は下ゆでして味をつけます。そしてうどを身は短冊切り、皮は細切りにして油で塩味に炒め、春の香りを加えます。この苦みがあえもののアクセントになるのです。

お寺の新年会_七草粥でおもてなし

胡麻、くるみ、味噌を昆布ダシでのばしてあえしろを作ります。これだけたくさんの量なのであえしろもたっぷり。どんなに水を切っても、あえしろの塩分などのせいで時間が経つとまた水気が出るため、あえしろは濃い目にし、量も多く作る必要があります。写真ではわかりにくいかもしれませんが具のボウルは直径50センチ、あえしろの鍋は35センチで、あえしろは10リットル以上ありますね。

お寺の新年会_七草粥でおもてなし

まずは具に味をなじませるため、一時間前にあえしろを混ぜて落ち着かせます。両手で混ぜるだけで大変な作業です。

お寺の新年会_七草粥でおもてなし

そして直前にリンゴを加えます。リンゴはあまり早く切るとシャキシャキ感が薄れてしまい色も悪くなるため、これだけ直前に加えるのです。リンゴを加えることで甘みと深みが出て、そして食感がよくなります。

お寺の新年会_七草粥でおもてなし

できました。ボウルを持ち上げるだけで一苦労、ボリュームたっぷりの重さになりました。約100人分です。

お寺の新年会_七草粥でおもてなし

うつわに盛り付けます。本来別のうつわを用意するべきですが、人数が多く配膳の都合もあるため変則的ですが一種類のうつわに漬物とあえものを盛り付けます。

お寺の新年会_七草粥でおもてなし

さておかずの次はお粥の用意です。七草粥は過去に当ブログで何度も取り上げているためご参照いただくとして、お寺の七草粥には一般と違ってもう一つ加える食材があります。

それは鏡餅です。

鏡餅を下げてお正月飾りを片づける「鏡開き」は一般的には11日が多いと思いますが、うちのお寺では7日の朝に下げて七草粥にお下がりを加えてお檀家さんに振る舞います。お寺の仏さま方にお供えして、拝んだありがたいお餅ですから、それをお粥に加えることで七草粥のご利益がさらに深まるというものです。

というか、昔と違って今は室内が暖かいので、たぶん10日すぎまでお供えしておくと確実にカビが生えてしまいますね。今年は暖冬だったため、7日に下げてもカビが生えそうな気配がありました。11日に下げる慣習の由来はそれほどたいした深い意味はなく、仏教的にはほとんど意味がありません。そうした世間の慣習にとらわれてせっかくのお餅をカビさせてしまうよりは、慣習にこだわりすぎず少し早く下げて皆で味わう方がよほど良いというのがうちの寺の方針です。まあものごとによっては慣習を重視すべきことも当然ありますが、それは時と場合によって臨機応変ということです。

ご本尊さまなどにお供えした特大鏡餅は法要が終わるまで下げないので、その他の諸仏諸菩薩、ご先祖さま等にお供えした中型~小型の鏡餅だけを下げてお粥に加えます。

お寺の新年会_七草粥でおもてなし お寺の新年会_七草粥でおもてなし

乾燥しているため切るのも一苦労。なるべく同じ大きさになるようにし、焼いてお粥に加えます。

お寺の新年会_七草粥でおもてなし

お餅を加えた100人分の特製七草粥。これだけ多い量なので炊くには一時間半くらいかかります。フタをあけると湯気でレンズが曇って写真が撮れないほど。寒い本堂での読経後には暖かい七草粥が何よりのごちそうです。おかわりを希望する方も多く、あっという間に鍋が空になりました。残ってたら家族分欲しいんだけど・・という役員さんもいましたが残念ながら売り切れ御礼状態です。

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おいしいお粥とあえもの、苦労しただけあって大好評でした。

当寺の七草粥を食べることができなかった方にも、雰囲気だけでもブログでお伝えすることでご利益をおわけし、皆様が今年一年、健康で幸せに過ごせますことを祈ります。

 

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Posted by 管理主宰者・典座和尚