晴天の霹靂、青森特A米の広がる甘味

先日、永平寺修行時代の仲間が集まる機会がありました。まあ一般の学校などの同窓会みたいなものです。

僧侶は修行が終わるとそれこそ全国各地に散らばりますし、地方の慣習によって特に忙しい時期も違うので、ちょうど良い日程と場所を設定するのが難しく、幹事役は大変苦労します。
前回開催時も私の寺は多忙な時期でしたが、東京開催だったため、地元の法要が終わってすぐ新幹線に乗って遅れてかけつけ、数時間だけ参加してすぐその日のうちに再び新幹線に乗ってとんぼ返りしました。そこまでして参加しなくても、と思うでしょうが、いわゆる一般の同窓会とは違い、修行というのはプライベートタイムまったく無しの、文字通り24時間寝食を共にして同じ部屋で涙と笑いを共にしながら、心のつきあいをした間柄なので、久しぶりに行われる機会にはなんとかして参加して旧交を暖め、修行時代の初心や苦労を想い出して日常に喝を入れたくなるものなのです。

青天の霹靂

しかし今回は、時悪く先日紹介した有道会関東大会コーディネーターという大役を控えた数日前開催で、しかも移動に時間がかかる東北地方で開催されたため、準備の都合上、やむなく参加を断念せざるを得ませんでした。そんなこといっても参加者はみなそれぞれの寺の責任ある住職ばかりで、忙しい中予定をやりくりして駆け付けるわけですから私だけが忙しいわけではありません。今回も無理すれば行けたかもしれませんが、やはり有道会関東大会という公的な予定で、しかも代役が利かない責任を負っている今回、優先すべきはそちらだろうと判断しました。
いやあみんなと会いたかったですが残念です。会は互いの近況を伝え合ってたいへん盛り上がったとのことでした。和尚としては、諸行無常ですから、「次がある」保証はないことはわかってはいますが、今回ばかりはしかたありません。また次の機会を待とうと思います。

さて、欠席のお詫びとしてささやかな差し入れを手配したところ、幹事役をしてくれた青森の修行仲間が、そのお返しとして嬉しい品を送ってくれました。

今話題の青森県特A米、「晴天の霹靂」です。

青天の霹靂

たまたま今日朝のNHKラジオを聞いていたら青天の霹靂の話題を伝えていました。お米の生産量を減らす傾向にある中で、少ない量を作るならその分品質の向上を図り、価格を良くしようという生産者の努力の結果、各地でいわゆる「ブランド米」が登場している、という話題でした。
特にこの青森の「青天の霹靂」はブランド米の中でも生産量がダントツに少なく、いわゆる限定販売のレア品扱いとなっており入手が難しいほどの人気ぶりだそうです。
晴天の霹靂 公式サイト

特A米というのは「日本穀物検定協会」が毎年行う味や香りなどの食味試験で最高評価を取得した銘柄で、まあひとことでいえば「厳しい基準をクリアーしたおいしいお米」です。
必然的に、生産者の手間やコストも上がるため値段もお高いので、常食するのはなかなか難しいですが、特別な日や、新米の時期に食べてみてはいかがでしょうか。

青天の霹靂というネーミングですが、意味として青空なのに霹靂は雷が突然鳴るということで、「突然起きる予期せぬこと」というような意味合いです。今まではあまり良くないことが起きる時に使われることが多く、また字が難しいためネーミング会議では反対意見も出たそうです。しかし青森県初の特A米が、青空に雷が落ちるほどの衝撃で発売されますよ~というセンセーショナルな登場を表すにはよい名前だと思いますけどね。
どうせお米の味をネーミングに込めきるのは難しいわけですし、特A米が各地で続出する中、ありふれた名前ではインパクトがありません。話題性という意味で、しかけた首脳陣は戦略的センスが高いと思います。
事実、とても売れているのだそうですから、会議でもめて無難な名前にしなくて良かったですね。

精進料理の専門家である私に、ぜひ食べて感想を聞かせて欲しいとレアで入手が難しいお米をおくってくれた修行仲間の気持ちに応え、さっそく炊いてみました。おかずはシンプルにカブのぬか漬け。

青天の霹靂 新米とぬか漬

まず見栄えでいうと少し普通のお米よりも粒が大きいかな?土鍋で炊いたため、お米が立ってツヤツヤしています。
はやる気持ちを抑えて次にお米だけを味わうと、普通のお米よりもモッチリしていてふっくら柔らかい印象です。また新米なのでみずみずしく、お米自体の味がしっかりしていて、青森の大自然の情景が目に浮かぶような、土の香りというか、野生味を感じました。嚙むとほのかな甘味が口中に広がり、ほどよい噛み応えある堅さが味と食感のバランスの良さを実現しています。

そしておかずのぬか漬けとともに。酸味と塩気が、お米の甘みとブレンドされてこの上ない幸せがとめどなく広がります。いやあ、これはもう最高ですね。日本人で良かったと思えます。

やばい、このままだと炊いたお米全てを食べてしまうと思い欲望をぐっとこらえてストップ。実験のために一膳分残し、冷まして半日後に食べてみましたが冷えてもその甘みは健在で、パサパサになったり過度に堅くなったりせず、おいしさは充分でした。好みによっては冷まして食べた方が少量でかみ応えが出て逆に良いかもしれません。最近の研究では、お米は冷まして食べた方がレジスタントスターチといって太りにくいくなるそうですし。青天の霹靂はおにぎりにも向いているお米ということになりますね。

私的にはやはり炊きたてのホカホカの方が好きですが、合いそうなおかずは「味噌汁、梅干、佃煮、海苔、漬物」でしょうね。あとは精進料理ではありませんが「焼魚、塩から、生卵、目玉焼」などもよく合いそうです。まあいわゆる「和食の王道」献立ということになりますが、朝は時間が無いからと手軽に準備できるパン食が流行しています。もちろんそれを否定するつもりはありませんが、朝はからだが動き出す大切なスタートで、一日のエネルギーを補給するためにも品数が多くあっさりした健康的な和食が望ましいのです。
たとえば味噌汁を前晩に作っておき、佃煮と海苔と卵だけなら朝用意してもわずか数分です。
こんなおいしいお米なら、少し早起きしてでも用意する価値は充分にありますよ。
もしどうしても朝はパンにするなら、夕食を上記のような和食にするのはどうでしょう。いわゆるディナーのイメージからか、夕食は豪華にしがちですが、もう夜はあと寝るだけなのであまり濃い料理をたくさん食べるのは身体にとっては良くありません。あっさりしたバランス良い和食を夕食にするというのは健康の面から言うととってもお薦めです。
他の特A米をいろいろ食べ比べて、どこのお米はどんなおかずと合うか、日本各地の風土と文化の地域による違いと併せて味わってみるのも楽しいかもしれませんね。

美味しいお米をいただいたからいうわけではありませんが、修行仲間ってありがたいですねえ~。
あまりに美味しくてもう食べ終えてしまうので追加でたくさん送ってね!
地元のお米をさしおいて、他県のお米を宣伝してしまった・・。

   

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