「シルバーウィーク」が始まりました。同時に、今日は「彼岸の入り」で、今年の秋の彼岸が始まります。多くのお仕事の方は嬉しい連休となるでしょう。しかし農家の方は収穫期ですし、また観光業関係の方なども例年より忙しく、休むどころかむしろ大変な連休となるのではないでしょうか。
お寺も同様で、こうして長期連休になると親族が集まりやすいこともあり、一周忌や三回忌、七回忌、あるいはお彼岸の先祖供養などの法事が増えて忙しくなります。申込みの数が増えるというわけでないのですが、たとえば通常の週末に8人の施主さんからの法事申し込み希望があったとして、土日だけだったらその2日間に法要8座として1日4座となり、午前中に2座、午後に2座をつとめることになります。同じ日に何座も法事をつとめるのはそれはそれで大変なのですが、着替えや準備、移動などは重複するためかかる時間は少なくて済みます。しかしこうした連休の場合、法事が分散するため一日あたりの法事数は減りますが意外と一日にかける法要の時間はほとんど同じで、結局は毎日連続になる分身体は大変です。しかもすぐに翌週の土日がやってくるというおまけつき。
あまり疲れてくると季節の変わり目ということもあり、風邪などひきやすく、そうすると声が出なくなりお檀家さんに迷惑がかかってしまいますのでそれだけは気をつけています。
さらにお葬式が数軒できたため、この連休のスケジュールはびっしりで、過労でダウンすることなくすべての法事をスムーズにつとめるようにすることを第一目標にして頑張ります。
さて、8月半ばのお盆は、全国的に休日になるため、例年お墓がある田舎や実家に多くの人が帰省します。そのため「お盆渋滞」の言葉もあるくらいです。
同じ仏教行事でも、お彼岸の場合は中日である「春分の日」「秋分の日」は祝日になる以外はまとまって仕事が休みにならないため、例年はお盆ほどの渋滞はありませんでした。
しかし今年はいわゆるシルバーウィークでかなり長く休める方が多く、すでに昨日から当地でも県外ナンバーの車がたくさん来てちょっとした渋滞がおき、観光地は賑わっています。
日本経済を考えれば、遠くにでかけてレジャーを楽しむ方が多いことは良いのでしょう。
ただお盆に比べるとどうしても地味に終わりがちなお彼岸、ただの連休として息抜きや遊びだけで終わったのでは本来の意味がまったく失われたままになってしまいます。
レジャーで家族サービスするのも大切ですが、連休中にたとえ半日でも、数時間でも良いので以前紹介した「お彼岸の主旨」を振り返っていただき、ご先祖様や亡きご両親のためにゆっくり供養する時間をとりたいものだと思います。
最近は特に都会にお住まいの方はお墓が遠方にある場合が多く、特に9月の秋彼岸の場合、つい1ヶ月前にお盆があったこともあり、また遠いお墓まで行くのはちょっとなあ、という状況の方も多いでしょう。
お盆の場合は、亡くなった方の魂をお墓から自宅に連れ帰るというお迎えの意味合いがありますし、またお墓の草も時期的に伸びやすいため掃除や整備も兼ねて、できればお墓に行くべきですが、秋のお彼岸の場合はシルバーウィークの渋滞の中、無理してお墓参りに行けない方はご自宅の仏壇で手を合わせることでお墓参りに替えてご供養なされば良いと思います。
その際大切なのは、「手抜き」でお墓に行くのを略すような、失礼な気持ちがあってはいけません。あくまでも『供養の心』は充分に満たした上で、便宜上自宅の仏壇を拝むのです。
ですから仏壇の前には、お墓に行くかわりに、ご先祖様や亡き方々が喜ぶようなお供えものやお花などを進ぜて、いつもよりちょっと良い香りのするお線香を焚くと良いと思います。
そして、ここ数日当ブログでご紹介している「お供え精進料理」を手作りし、仏壇前にお供えしていただきたいのです。渋滞で半日移動につぶれるよりも、自宅で半日かけて手間のかかった精進料理を作り、お昼時間に仏壇にお供えし、良いお香と共に手を合わせてお彼岸の供養をする。お供えのお膳をおあげしたら、自分たちも一緒に同じ料理をおいしく食べて心静かに過ごす。
これこそ、自分に命をつないでくださった亡き先人たちへの感謝の気持ちを形に表すと共に、生きている自分が仏法に親しみ、仏道を実践することで自分自身が彼岸に到るありがたい修行となるのです。
ぜひ、このシルバーウィークの中で半日だけで良いのでそうした時間を作り、良きお彼岸をお過ごしくださることをお祈り致します。