お彼岸にお膳をお供えしましょう

お久しぶりでございます。
「暑さ寒さも彼岸まで」と言いますが、本日お彼岸の入りでしたがなんとも暑い一日でした。洗濯物はすぐ乾いて良いのですが、昼間の境内掃除は真夏並みの暑さで、すぐに汗だくになるのが困りものです。

さて、7月にブログのシステムを変更して、よーしこれからバッチリ更新するぞー、と思っていたのですが、見ての通りダメでした・・・。まったく更新しない日々が続き、皆様からの励まし、というかお怒りというか呆れたと言うメールをたくさん頂戴いたしました。謹んでお詫び申し上げます。

7月~8月は時節柄お寺が非常に忙しく、またたく間に過ぎ去ってしまいました。そして9月に入ってからというもの、北海道のお寺で1週間ほど大法要の台所のお手伝い、そしてそのまま福井県へ移動してとある法要に参加、さらにそのまま秋田県で健康・体力に関するシンポジウム参加と、9月前半はほとんど留守でした。その間に新聞や仏教誌の原稿作成や取材も重なり、またもやブログに時間を注ぐことができませんでした。まあ、別に遊んでいて更新をサボっていたわけではなく、どれも精進料理の心を世に広めるための活動ですので、ご理解下さい。考えてみれば、こうしていろいろな方にお声をかけていただき、各地におじゃますることができるのは幸せなことです。やはり、ブログももちろん大切なのですが、直接お会いして、面と向かって精進料理のすばらしさを伝えることこそ最優先だと思いますので。

少々言い訳がましくなりましたが、そんな近況でおります。今日からお彼岸でお寺が忙しくなりますし、月末には某所での精進料理教室、そして10月上旬は僧としての宿泊研修がありますので、当分多忙な日々が続きそうです。まだまだブログに専念というわけにはいかなそうです。

いつもお世話になっている仏教誌、『大法輪』10月号で、「お彼岸にお供えしたい御仏膳の作法」という記事を書きました。
お寺では、本尊様をはじめとする諸仏に、実際に食べるのと同じように調理したお膳をお供えしてご供養します。かつてはご家庭でも、お仏壇にお膳をお供えするのが当たり前でした。ところが最近、自宅のお仏壇にお膳をお供えしたことがない、というお檀家さんも増えて参りました。もちろん、古いしきたりをしっかりと伝承している地域もあるのですが、特に都市部をはじめ、若い世代で、御仏膳の作法を知らない人が増えております。

これには色々理由があるでしょう。その一つの原因を挙げますと、昔はお葬式を行う際、喪主宅の近所の住民が仕事を休んで葬儀をお手伝いし、準備や進行を担ってきました。今でも当寺の地域ではそうしております。その場合、調理係を担当する者は、葬儀中の食事の全てを任されます。お通夜の後の通夜振る舞いからはじまり、朝食、昼食、葬儀の後の精進落としまで、集会所などで自炊して、遺族や手伝う人たちの食事を用意するのです。そうした中で、仏さまにお供えするお膳を作るのも大切な役目です。献立の基本や、お椀を置く位置など、かなり細かい作法が定められています。
そうした風習の中で、年配の方が若い方に現場で教えつつ、お膳の作法やしきたりが次の世代に伝えられてきたのです。

ところが、最近はホールや斎場で葬儀を行うことが多くなりました。葬儀社さんが葬儀の進行を担うようになり、近所の人の役割が減ってきました。もちろん、それはそれで良い面もたくさんあるわけですが、お膳に関して言えば、葬儀社さんが間に入った場合、簡略化、または省略されることが多いようです。遺体の枕もとにお供えする枕飯やお団子は作るにしても、ホールの場合、お膳はあまり用意されません。
その結果、地域で伝わったお膳の作法が忘れられていくわけです。
葬儀の時にお膳の作法を教わらないということは、当然法事やお盆、お彼岸の際にどんな風にお膳をお供えすればよいのか、わからなくなってしまうわけです。

そんな時代背景を受け、イヤこのままではイカン、お膳の基本を伝えていかなければ、ということで、今回はお彼岸も近いことだし、お仏壇にお供えするお膳の作法(といってもページ数にも限りがあるのであくまで基本的なことを)記事でご紹介しました。
お膳の種類・置く位置・献立の基本などなど知っておきたい知識を書きました。編集部の親切な配慮により、「うちにはそもそも仏さまにお供えするお膳セットがないよ」という方のために、お膳セットを通販してくれるお店の広告まで最後に載っております。どうやらしばらくは値段もお安く設定されているようです。一家に一セットは用意しておきたい御仏膳セット、この機会にぜひご購入することをお奨めします。

仏教徒であれば必見の記事、ちょっと紹介するのが遅かった感もありますが、今秋のお彼岸が過ぎても、まだまだ来年もお彼岸・お盆はやってきます。月刊誌ですので、今買っておかないとすぐに売り切れてしまい、後から手に入れるのは難しくなります。
たまたま、今号は道元禅師の『正法眼蔵随聞記』の特集で、道元禅師の教えがわかりやすく説かれた記事が満載です。

お世話になったおじいちゃん、おばあちゃん、或いはご両親のお位牌に、心を込めた手作りの精進料理をお供えし、そのまごころをもってご供養してみてはいかがでしょうか。きっと、ご先祖さまをはじめ、あの世に旅立った親しき人たちに、そのお膳に込められた暖かい優しさが伝わることでしょう。

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