お彼岸の精進料理お供え膳 その1 わかめご飯

さて先日から始めました「お彼岸にお供えするお膳」の特集です。
前回、お彼岸とはどういうものなのかの概略をご紹介しました。
お盆はどちらかといえば亡くなった方のためという側面が強いことに対し、お彼岸は主に自分の修行のため、ととらえてもよいと説明しました。

ですから手間のかかった精進料理を調え、仏前にお供えし、そして自らもそれをいただくという精進料理の修行を行うには最適な期間だといえます。
ぜひこの特集を読んで、お供えのお膳を調えていただきたいと思います。

まず基本的な点ですが、その前に当ブログで以前特集した「お盆のお供え膳」をざっと読んで復習してみてください。

お盆と異なるのは、お盆棚や盆提灯、水の子、胡瓜の馬とナスの牛のような独特の飾り付けや小物、お供え物などはお彼岸の場合は特にありません。(地域によってはお彼岸独特の飾り付けに関する風習がある場合もあります)
したがって、一般的にはお仏壇をきれいに掃除し、お仏壇の前にお供え物を用意するということになります。仏壇の前に置く場所がない、という方は「前机」という小型の仏壇専用の台がありますので、それを仏壇の手前において、その上にお膳をお供えします。
前机がない場合はちいさいテーブルにふろしきなどをかぶせて代用しても良いでしょう。

お膳の並べ方ですが、基本的にお盆の時と変わりません。
手前に箸、向かって左手側に「ご飯椀」、右手側に「汁椀」、その間に「漬け物皿」
この三種は基本です。忙しい場合はこの三種だけをお供えする方法もあります。
さらに略するならご飯だけ、ということになります。

それプラスおかずをお供えするわけですが、おかずは一品~三品が標準で、最大でも五品くらいが仏膳に載る限度だと思います。
おかずが一品だと一汁一菜、二品なら一汁二菜となり、ともにふだんの食事内容です。 一応もてなしのお膳は一汁三菜からということになるため、たとえばお彼岸の期間中は毎日一汁一菜または一汁二菜のお膳をお供えし、お彼岸の中日には一汁三菜のお膳をお供えすればこれはもう最も丁寧な方法と言って良いと思います。
お仕事の都合などでそれが難しければ、お彼岸の一週間のうちのどれか一日だけ、おかず何品でも良いので手作りの精進料理を作り、お仏壇にお供えすると良いでしょう。

おかずを置く位置は、原則的に一汁三菜の場合は中央、右奥、左奥に配置します。どこにどのお椀を置くかは説明すると長くなるので細かい作法はまた別の機会に紹介したいと思いますが、ある程度任意でかまいません。
本音をいうと、使ううつわの種類により置く場所が変わるため、みなさんのお手元にある仏膳にも種類がいろいろあるでしょうから、今回はあえて細かく指定しない方がわかりやすいと思いますので。
今回は、永平寺流にのっとり、左奥に「煮物の平椀」、右奥に「あえもの」(永平寺では「膳皿」に盛りますがこの仏膳揃いには膳皿が無く、「高坏」がそれに相当するため高坏)、中央に「坪」を配置しました。
漆塗りのお膳が無い場合は手持ちの陶器などを使い、お盆にのせてもかまいません。

注意するのはおかずの置き場所よりもむしろお膳の向きで、箸の方(ご飯と漬け物と汁がある方)を仏壇の側に向けるということです。ほとけ様が食べるわけですから、食べる人(亡き人)の方を向けるわけです。向きはお檀家さんで間違えて供えている人がけっこうおられますのでご注意ください。

さて、さっそく料理の作り方に入りましょう。もちろん、これは春のお彼岸のお膳の一例で、入手できる食材によって適宜組み合わせや料理を変えてかまいません。
わかめご飯は4人分、あとは2人分です。

○飯椀 わかめご飯

1 お米2合をとぎ、30分ほどザルにあげる。
2 生わかめ50gを1㎝くらいに切る。
3 薄揚1枚を縦に半分に切り、細切りにする。
4 炊飯器に1のお米を入れ、酒大さじ3、薄口しょうゆ大さじ1,
塩少々を加えてから、2合の基準線まで水を入れる。
2のわかめの半分、3,昆布3gを入れて炊飯する。
5 炊きあがったら昆布をとりのぞき、2のわかめの残り半分を
混ぜる。

※わかめのうち半分を炊き込むことで、ご飯にわかめの香りが染み出ます。
ただし炊き込んだわかめは溶けてしまい、色と食感が悪くなってしまう
ため、半分は後から混ぜます。これにより両種の味わいが楽しめます。

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コメント

  1. えぼねこ より:

    永平寺の精進料理、本を拝見して新じゃがの梅酢漬けをつくりました。ネットでもレシピがあり、ありがたく、また参考にさせて頂きます。食べる事への考え方も共感しております。これから、ブログも定期的に読んでいって、、色々勉強になりそうです。