臘八攝心を象徴する食べ物とは

涅槃会には「涅槃団子」
降誕会には「甘茶」
と、三仏忌にはそれぞれ象徴的な食べ物があると私は受け取っています。供養としてお供えし、そしてそのお下がりを私たちが口にするからです。
では今回の成道会、あるいは臘八摂心を象徴する食べ物は、私は「おかゆ」だと考えています。
また成道会近くに詳しくお伝えしますが、お釈迦様は1週間の坐禅に入る前に、あるおかゆを口になさいました。
また摂心期間中も毎朝必ずおかゆをいただきます。

そこで当典座ネットではこの一週間の臘八摂心期間中、毎日日替わりでさまざまなおかゆを紹介することでお釈迦様を偲ぶ報恩の供養の一端としたいと念じております。

曹洞宗の修行道場では、道元禅師の『赴粥飯法(ふしゅくはんぽう)』に記された作法に基づき、非常に丁寧で厳格な中で食事が進められます。
正式な法衣姿で坐禅堂に集まり、各自が坐禅を組み、応量器(おうりょうき)という漆器を広げます。給仕役の僧が桶に入れた料理を一人一人の前に運んで、望む分量をよそります。食事の際に唱える偈文(韻を踏んだ短いお経)を皆で唱和してから、ゆっくり時間をかけ、終始無言の中で坐禅を組んだまま食事を頂きます。

通常時は、本堂での読経を終えてから坐禅堂に移動して朝食となるのですが、摂心中は朝からずっと坐禅堂にこもって坐禅を行い、朝の読経も坐禅をしたまま行います。つまり摂心中は朝食までずっと坐禅となるのです。

ご家庭では、テレビを見ながら、あるいは会話しながらの食事があたりまえかもしれません。しかし、他のことをしないで、食べることだけに集中すると、みえなかったものに気が付くことがあります。漫然となんとなく食べるのではなく、食べることに専念する。これが禅の食事の基本です。一生懸命、食べるのです。
そのために、この摂心中、皆さんもできれば坐禅をして頂きたいのですが、それが難しければせめて摂心中に一度だけでも良いので、食事を丁寧に頂くようにしてみてはどうでしょうか。それが皆さんにとっての坐禅となるでしょう。

朝食は下の写真のように、おかゆ、漬物、胡麻塩といった非常に質素な献立です。
応量器

ただし摂心中は、信者の方やお檀家さんが、修行僧たちの大変な修行を是非とも応援したい、と寄進して下さることがあります。そうした御寄進があると、食事の内容が少し変わり、別皿のおかずが付いたり、変わったおかゆが用意されることとなります。お施主様の尊い寄進のお志の功徳に応えるために、台所係も心をこめて調理するのです。

坐禅三昧の修行を行う側ももちろん大変ですが、典座寮(台所係)もまた、ものすごく厳しい期間になります。腰掛けて休む時間など全くないほど、台所で汗びっしょりになって調理に専念します。
作る側もまた、必死の修行なのです。

さて、臘八摂心の概要は掴むことができたでしょう。
さっそく明日12月1日から、まずは初日なのでおかゆの作り方の基本を詳しく紹介していきたいと思います。

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