包丁選びとお手入れの基本13  少々補足

さてここでしつこいようですが誤解を生まないために少し補足したいと思います。

 

現在、世界中にはとても多くの包丁メーカーがあります。
当然ですが、その全てを私がチェックすることはできません。

私は「ステンレスの包丁はやめておきましょう」と何度も書いていますが、一口にステンレスの包丁といっても、炭素成分がどれだけ入っているかによって硬さも全く異なりますし、中には私が知らないだけで世の中にはステンレス系でもとっても良い包丁があるかもしれません。
またそうした包丁を持っている方にとっては、一連の記事は気分を害してしまっているかもしれません。
他人の包丁にケチをつける気は全くなく、これから包丁を初めて買う初心者に、あまり難しいことを言わず、わかりやすくシンプルにお薦めの包丁を伝えるために、このような記事を書いていることをご理解下さい。

私もステンレス包丁をただ意味もなく嫌っているのではなく、自分であれこれ試してみての感想です。国内でよく使われている包丁用のステンレス素材はいくつかありますが、量販店などで数千円で売っているものは愛知製鋼で生産しているAUSシリーズの中のA6(AUS-6)が多いと言われています。
他にも武生製鋼のV金ゴールド(クロームステンレス)やV金10号、日立金属の銀紙3号(銀三)やATS-34、ZDP-189、記事中で紹介した星雲鋼、モリブデンバナジウム鋼だとかコバルト合金鋼、チタンやセラミックなどなど、さまざまな錆びない素材で包丁が作られています。


銀紙三号の和包丁。永平寺東京別院時代に頑張って入手しましたがとても高価でした。

その中のいくつかを購入して数年実際に使ってみた感想です。
まず安価なステンレス包丁ははっきり言って使い捨てでしかなく、現実問題として研ぎ直すことはできません。(メーカーは研ぎ直しできると銘記しているのですが・・日本語って難しいですね。そりゃ可能か不可能かでいえば可能なんでしょうけど現実問題でいうとできないのです。)

そして1~2万円以上の高価なステンレス包丁はさすがにクオリティレベルが格段に違って、使いやすくて切れ味もよく、またしっかり研げます。ただ、やはりどうしても普通のハガネに比べるとこうした新素材の包丁は研ぐのが大変です。
もちろん研ぐのが大変でも、錆びないということは魅力なので、いちいち水分を拭けない忙しい現場や料理教室などでは大変活躍します。
ただ、やはりはじめて包丁研ぎを覚えようという初心者に、はじめから高価なステンレス包丁をお薦めする気にはならないです。ある程度慣れてからこうした包丁にステップアップする方が何かとスムーズだと思います。

結局、錆びないことと研ぐ大変さの兼ね合いになります。つまり、1時間かけて錆びない包丁を研ぐくらいなら、料理中にマメに水分を拭き取る方が遥かに労力が少なく効率が良いわけです。

くどいようですが、私がこの記事で繰り返し伝えているのは「初心者」に向けてのアドバイスなのです。
「ステンレス=研げない」「ハガネ=研げる・でも錆びる」のように、とてもシンプルに説明することは、誤解を生む危険があることは良く承知しています。
でも包丁を初めて買う人に、A6だとかV金10号だとかそんなことをあれこれ言っても、結局何を買えば良いかわからなくなってしまうのです。ですから何度も言うように、もちろん例外もあるし私が知らない素材もありますが、だいたい「安いステンレス包丁=研げない」で間違いはないと思ってください。
というかそもそも初心者は「ステンレス包丁が研げない」ことを知らないのです。だってパッケージには研げそうなことが書いてあるし、切れ味抜群とか長持ちとか売り文句が書かれているのですから。だからこそ、その包丁は自分で研げないから1年以内にゴミになってしまいますよ!ということを言いたいのです。まあこれはなかなか市販の書籍では書けないんですけど、ブログなら書けますから。

そして料理を数年続け、包丁について、また研ぎについてある程度わかってきた人が自分の意志でその性能や特徴を理解した上で買い足すなら、それは各自の好みでステンレスだろうがハイス鋼だろうが好きに選んでかまわないのです。

ただ、料理教室に参加した初心者に、「うーん、その包丁は自分で研ぐのは難しいと思いますよ」と言った時の「え!そうなんですか!知らなかった!」と驚いてガッカリする姿を見たくないのでこうして初心者にもわかるように、誤解を恐れずシンプルに言っているということをご理解いただければと思います。

記事が気に入ったら是非SNSでアクションをお願いします☆

あわせて読みたい

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です