◇手作り紅生姜の魅力と特徴
ショウガは紀元前のインドでも薬として用いられていたほどの優れた食材です。中国の漢方でも定番ですし、日本でも風邪の予防に重宝されてきました。今回はお寿司や焼きそばに欠かせない紅生姜を海苔巻に添えますが、手作りで丁寧に作ると決して脇役ではなく、それ自体がとても美味しい主役級であることがわかるでしょう。特にこの暑い時期には殺菌効果も期待できますし、胃を保護する効果もあるとされています。暑さで水分をたくさん飲んだりごちそうをいただく機会が多い夏ですから胃をいたわる配慮は欠かせないと思います。
夏には皮が薄くて先が赤色の新生姜も出回りますが、それを使えば皮をむかずにそのまま使用できます。ただ価格が高価なため、いわゆる普通の生姜で充分です。普通の生姜は収穫してからしばらくおいたものですが、この時期には新生姜と実用上変わらないような、皮が薄く新鮮な国産生姜も出回っています。新生姜の方が柔らかく仕上がりますが、普通の生姜の中で状態がよいものを見つけてみるとよいでしょう。
美味しく仕上げるためには、均一な薄さで、なるべく薄く切ることが大事です。そこで今回はスライサーの利用をお薦めします。初心者でも簡単に薄く切ることができます。ただし生姜が小さくなってくると指をザックリしてしまう危険があるため、食材を押さえるガードを併用しましょう。スライサーとガードはどんな料理でも幅広く使えるため、この機会に揃えてみるとよいでしょう。
また鮮やかな赤い色を付けるために梅酢を使います。これは梅干しを着色するために使う、紫蘇の葉を梅の酢で赤くしたものです。梅酢で紅生姜を作るのは和食の伝統的技法ですが、最近は自宅で梅干しを手作りしなくなりつつある現代、こんなレシピを紹介されても作れないという方も多いでしょう。しかしこうした昔ながらの作り方を紹介していくのも当ブログの方針のうちです。梅を自作していない場合は市販の梅干の漬け汁を利用するか、または酢と砂糖で甘酢を作って色を付けずに三杯酢などの甘酢で漬けてみるとよいでしょう。甘酢に食紅を少々加えて赤くする方法もあります。
手間をかけて手作りしてみると、市販の量産品とは全く違う風味と食感に驚くと思います。お盆の時期には多めに作っておき、他の料理に添えて出すとたいへん喜ばれるでしょう。
◇手作り紅生姜の調理手順とレシピ
1 しょうが100gの皮をむきます。皮付近が一番味が濃いのであまり厚めにむかずに薄ーく皮を剝く方が良いです。へこんだところなどは無理してむかなくても大丈夫です。
2 なるべく薄くスライスします。
慣れてない方は包丁よりもスライサーを使うことをお薦めします。安定して、確実に同じ薄さに切ることができます。
ただしスライサーでこうした小さい食材を切る際には、指が刃にあたってザックリいってしまう可能性が高く、特に注意しなくてはいけません。今まで何人もの修行僧がスライサーで指を切る場面を見てきました。
それを防ぐためには、しょうがを濡れフキンで押さえてスライスすることです。そしてお薦めしたいのは、こうした「押さえ器具」の利用です。これだとすべらず、またフキンよりもギリギリまで食材を使い切ることができます。
ちなみにスライサーでお薦めなのはこちら。厚みを簡単に調整でき、シンプルな構造で長持ちし、価格も安価で何よりも刃が良く切れるのが特徴です。他の料理にも使えますのでこの機会に揃えておくと良いでしょう。
3 スライスしたしょうがをボールに入れ、多めの水でささっとすすいでアクを抜きます。
4 水気を切り、塩小さじ1/2をまぶしてよく混ぜ、なじませます。
5 5分くらいおいてしなしなになると生姜から汁が出ますのでギュッと握ってしぼります。この汁はお湯や炭酸水で薄めて頂くと良いでしょう。
6 梅干の漬け汁(梅酢)大さじ2~3を容器に入れて一晩おき、色と味を染みさせます。