幸福の芋きんとん お茶菓子や八寸に最適

芋きんとん 精進料理完成写真

芋きんとん 精進料理完成写真

◇幸福の芋きんとんの概要とポイント

お節料理の定番、栗きんとんは誰もが知っている有名料理ですよね。栗を加熱して柔らかくしてつぶし、裏ごしして味をつけて練り上げて作ります。わざとつぶさない栗を混ぜてゴロッと感と栗の存在感を出す場合も多いのですが、今やお節料理というと市販の出来合い品を召し上がる方が増えてきました。

市販の栗きんとんを批判するつもりはありませんが、身近なお店で安価に入手できる栗きんとんは、甘みが強すぎて栗の味というよりも砂糖を食べているようなおかしな味付けの品が少なくありません。そのため栗きんとんが苦手になってしまったという方の話をよく聞きます。

自家製であれば、甘みの調整も自由にできますし、栗本来の味をひき出しやすいのでそんなことはないのですが、上質な栗の実を購入して皮をむくのは大変な労力ですし、また今の時期はなかなか手に入りません。

そこで今回は栗ではなくこの時期安価で入手できるさつまいもを使った「芋きんとん」の紹介です。さつまいもを使ったきんとんは昔からの伝統料理です。裏ごしするひと手間が面倒かもしれませんが、大量に作らなければ数分の手間です。裏ごし器がなければ、ふるい網で代用できます。

お節料理のきんとんのように広げて盛り付けても良いですが、茶巾に絞ってかわいくまとめることで、抹茶や煎茶とあわせて上品な手作りスイーツにもできますし、懐石の八寸としても使えます。

黄金色に仕上がったきんとんは金運をあげて幸福を招くとしてお節料理に加えます。少なくとも、この料理を食べれば旬の恵みを口にできる幸せを感じることができるでしょう。

◇幸福の芋きんとんのレシピと調理手順

1 今回は、先日紹介した「さつまいもの蜜煮」で味付けしたサツマイモを使います。クチナシの実で黄金色に仕上げているため、きれいな色にしあげることができます。手順は上記リンク先で確認してください。

さつまいもの蜜煮

時間が無ければさつまいも200gの皮をむいて乱切りにし、蒸すか、ゆでるかしても作ることができます。

2 皮をむき、裏ごし器にヘラをあてておしつけ、裏ごしします。裏ごし器が無い場合は、写真のように粉ふるいをひっくり返して使ってください。粉ふるいは一時的に間に合わせるなら100円ショップでも売られています。冷めていてつぶしにくい場合は一度温めてから裏ごしするとよいでしょう。

芋きんとん 精進料理レシピ手順 裏ごし

3 味をつけます。すでにサツマイモの蜜煮で味をつけてある場合は、そのままでも充分味がついていますので不要ですが、濃い味が好きな方や、新たに加熱しただけのサツマイモを使うなら、ここで砂糖小さじ1程度、みりん小さじ2、塩少々を加えて良く練り上げます。みりんは本みりんを用い、できればいったん沸騰させて砂糖を溶かしてから加えるとよりなめらかに仕上がります。

あるいは蜜煮の煮汁を小さじ2~大さじ1程度、加熱して加えても良いでしょう。いずれにせよここで砂糖やみりんを加えるのは、好みの味により調整すれば良いのです。みりんを加えるとなめらかな食感になりますが、その分水気が多くなると茶巾に仕上げにくくなります。広げて盛り付けるのであればみりんを多くして柔らかく仕上げ、鍋で練りながら火を通すと良いでしょう。今回は茶巾に仕上げるため、水分を少なくしたいので加熱して練ることはしません。

芋きんとん 精進料理レシピ手順 味付け

4 よく混ぜてこねた3を1/4または1/6程度にわけます。きれいなふきんを一度濡らしてからしっかり絞って水気を切り、広げて中央に載せます。

芋きんとん 精進料理レシピ手順 ふきんに載せる

5 ふきんをギュッと絞って茶巾にします。このとき、絞りあげる上の部分をわざとシワにして締めることで自然な絞り跡が表現されます。

芋きんとん 精進料理レシピ手順 茶巾にしぼる

5 広げてみて、きれいな形になっていなければ再度やってみて、気に入った形になるように仕上げます。

芋きんとん 精進料理レシピ手順 茶巾に絞る

むいた皮を散りばめて絞ればこれもまたアクセントになります。

芋きんとん 精進料理レシピ手順 茶巾に絞る

市販のきんとんが不自然に甘すぎて苦手という方や、食事制限や健康上の理由で甘みを抑えたい方も、手作りのきんとんならば砂糖をほとんど使わなくても自然なさつまいもの甘みが楽しめます。素朴な手作りのお菓子は茶道のおもてなしの心にも適いますので茶事にもお奨めの一品です。

芋きんとん 精進料理完成写真

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