ゴボウもまた冬が旬で、価格も安定している食材です。ここのところの大雪で野菜全体が驚くほど高い今、おいしく調理して乗り切るには最適の食材です。
ゴボウの黒っぽい色はクロロゲン酸に由来し、これは強い抗酸化成分としてがん予防などに有効です。アク抜きするために水に浸ける際、あまり長時間漬けてしまうとクロロゲン酸が抜けてしまうのでサッと浸ける程度にしましょう。
また注目すべきは、ゴボウの食物繊維は水溶性のため、糖質の消化・吸収を緩やかにし、また腸内環境を調える効果も高く、ダイエットや生活習慣病対策、便秘予防などにも非常に有効です。
ところでゴボウは別の意味でも精進料理には欠かせません。
僧侶のことを「坊」と言いますよね。(坊さんとか、坊主とか・・・)地域や宗派によっては、和尚のことを「御坊」ゴボウ と呼んだりもします。言葉遊びとして、御坊=ゴボウということで精進料理にゴボウが多用されてきた歴史があります。まあ庶民のダジャレみたいなものですね。
さらにそのゴボウ料理に、青のりをお焼香の粉にみたてて、何かのアクシデントでお焼香の粉が住職(御坊)にぶちまかってしまった!という設定です。
まあ実際そういう場面があったからこの料理が作られたのか、それともただのダジャレで設定されたのか、その起源は定かではありません。
いずれにせよ仏事の後に食べる精進料理としては、話のネタにちょうどよいわけです。ゴボウと抹香風の青のりを食べながらダジャレや和尚のおもしろい姿を想像して盛り上がるという・・・
この料理法を聞いた時は、内心なんじゃそりゃ!僧侶への侮辱か!?と思いましたが実際食べてみると味としては大変美味な組み合わせです。ヘンなネーミングをせず「ゴボウの青海苔まぶし」として普通に上品にいただけます。
そして、悲しい仏事の席ではどんなささやかな話題でも良いから楽しい話題に話をもっていって、涙顔の遺族を明るくしてあげたい、と思うのが人情です。哀しみの場に多く触れるようになった今では、こうした昔の人の配慮がよくわかるようになってきました。そんな場面では、住職にお焼香の抹香がぶちまけられたおかしいお葬式の場面をサカナにすることくらい許されても良いかもしれませんね。
もちろんそんなダジャレやこじつけを抜きにしても美味しく健康によいこの料理、是非お試し下さい。
1 ゴボウ150gをたわしで軽くこすって泥を落とし、3~5センチほどに細長く切ります。太い部分は縦に半分か1/4に切ります。多めの水にサッと浸けてアクを抜きます。
2 鍋に水気を切った1、昆布だし1カップ、酒大さじ3、みりん大さじ2、砂糖大さじ1、しょうゆ大さじ2を加えて加熱し、沸騰したら弱火に下げて2~30分コトコトと煮詰めます。
3 ほぼ煮汁がなくなったら火を止めて自然に冷めるまで待って味を落ち着かせ、水気を切ったら青のり小さじ1~2をまぶして盛り付けます。