たかが塩、されど塩

調理で最も重要なのが「塩」である、といっても良いくらい、調理に塩は欠かせません。

特に和食においては、単に塩辛さを加えるだけでなく、素材の味を引き出す役割を果たします。たとえば、スイカやトマトに塩を少々かけて食べると、スイカやトマトの味わいをより濃く感じます。枝豆やとうもろこしを食べるときも同様です。また、ぜんざいやおはぎなどの甘いものに塩を加えれば、より甘く感じさせることもできます。

すなわち、塩の使い方一つで味を縦横に操ることができるのです。

ただし、量やタイミングを間違えると、塩の味自体が目立ってしまい、素材そのものの味はそれに隠れてしまいます。それを料理人の言葉で「塩が立つ」といい、使いすぎは厳禁です。あくまで塩自体の味を目立たせることなく、素材の味を生かす範囲で用いることが肝心です。

昨日の「天然塩」の話に戻りますが、今日は天然塩の中でも有名な「赤穂の天塩」(あましお)をご紹介します。発売されて以来30年のベストセラーで、私も良く使用しています。

おそらく全国のスーパーで簡単に手に入ると思います。


たかが塩、されど塩

↑1kg袋、約350円。「赤穂の天塩」

いわゆる「食塩」と比べると、手で触った時点で違いがわかります。「天塩」の方が粒が大きく、ごつごつしています。

その主な成分は100g中、塩化ナトリウム92g、マグネシウム550mg、カルシウム20mg、カリウム35mg、そのほか亜鉛、銅、ヨウ素、リン、マンガンなどが微量含まれています。

この時点で、塩化ナトリウム99%の「食塩」とは成分からいって大きく違うことがわかります。単純に比較しても、塩化ナトリウム以外の成分が7%含まれることになるのです。

その7%の成分は、俗に言う「にがり」で、海水に含まれる天然の成分、すなわち不純物です。かつての塩はこのにがり成分が多かったため、昭和初期、政府は安定した品質の塩を求め、塩に1級~3級のランク付を行いました。(にがり成分が少ない塩が1級と定めた)これにより、にがり成分が排除されるようになって、旧専売公社の塩化ナトリウム99%食塩が生まれたのです。

しかし近年その反動から「にがり成分が含まれた塩」を求める声が大きくなりました。

化学的に作られた一定品質の「塩」でなく、少々不均一でも自然のままのにがりを含んだ「塩」を求めるのは、きわめて自然な流れだと思います。

そもそも、にがり成分を「不純物」としてわざわざ取り除く必要はないのです。不均一な分は、調理人が味を見て調整すれば問題ありません。むしろ、均一な味の方が不自然なのです。

この天然成分が複雑な良い味を生むのです。
その上、この「にがり」の主成分である「マグネシウム」は、近年人間の健康に欠かせない重要な成分として注目を集めています。

マグネシウムは、骨や歯を形成したり、体内酵素の働きを活性化させたり、筋肉の動きに関わったりしています。不足すると、高血圧、心臓病、高脂血症、動脈硬化、不整脈、糖尿病などの原因になるといわれます。実際、マグネシウムが多く含まれる水(硬水)を飲んでいる地域では心臓病などによる死亡率が低いという調査結果が発表されています。

マグネシウムの一日の摂取目安は300mgといわれていますが、ストレスを感じたり、アルコールを飲むと、せっかくのマグネシウムも失われてしまうのだそうです。

またマグネシウムを多く含む食品を挙げると、青のり、ひじき、胡麻、きな粉、抹茶、煮干し、大豆、小豆、納豆など、精進料理でもよく使われる和食の食材です。こうした食材を、あなたは今週どれだけ召し上がりましたか?

(ほかにもココアとかインスタントコーヒーにも多く含まれます)

食生活の欧米化により、和食を食べる機会が減った私たちは、必然的にマグネシウム不足におちいる危険性=心臓病などにかかる危険性をはらんでいるといえます。

さて塩の話に戻りますが、マグネシウムを主体とするにがり成分を多く含んだ「天然塩」を使うことは、味覚の上からも健康の面からも望ましいことがおわかり頂けたでしょうか。

『大法輪』誌のM師の記載は、こうした内容を一切無視して、読者に「天然塩は必要ない、ふつうの食塩で十分なのだ」と誤解させる危険な記事です。できうるならば『大法輪』誌に訂正記事の掲載を薦めたいくらいです。まあそうもいきませんから、少なくとも当ブログ読者諸賢は誤解なきよう正しい知識をお持ち下さい。

なお、本日ご紹介した「天塩」でなくてもまったくかまいません。ぜひ、にがり成分を含んだ「天然塩」の中から、自分がおいしいと感じた塩を選んでお使い下さい。

ちなみにM師は「高価なブランド塩」と言いますが、お値段はそれほど高いわけではありません。

いわゆる「食塩」は5kgで約500円、「天塩」は5kgで約1300円です。約3倍の値段ではありますが、塩を5キロも買えば、大家族や頻繁に手料理を作る方でもない限り、半年~1年以上はもつと思いますので、私には高いとは思えません。それより1年分5kgで800円の違いで、良い味と健康を得ることができるなら安いものではないでしょうか。

(通常、350円くらいで売っている1kg袋が手頃ですし量も十分です)

ちなみに私は塩ゆでとか胡瓜の塩もみとか、味に直接関係ないときには安価な「食塩」を、味付けに関わるものには「天然塩」を、というふうに使い分けています。

たかが塩、されど塩。

自分の好みの味を求めて、理想の「天然塩」を探してみて下さい。

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