平成22年の梅干し作り 100%手作り無添加自然製法!

前回紹介した梅干しの炊き込みご飯が好評のようです。やはり暑い夏には食欲を刺激する酸味が良いですよね。

ところで精進料理の道を究めようとする典座和尚、梅干しも自分で作ります。

まあもちろんできあいの梅干しも良いのですが、まずコスト面でいうと大量に作るほど手作りに軍配が上がります。おそらく一年に食べる梅干しの量が3㎏以内だったら買った方が安いと思います。しかしそれ以上だったら自家製の方がはるかに安価ですみます。

また、自分で作る場合は塩分の量や干し具合、色の付け方などを好みで自由に変えることができます。せっかく食べるなら好み通りの味が良いですよね。

そしてなんといっても一番のメリットは、手作りの場合は余分なものを加えない、昔ながらの純粋な梅干しを作ることができるという点です。市販の梅干しにもいろいろありますから一概にはいえませんが、中には保存料や着色料などの添加物が含まれている場合がほとんどです。
それから、口当たりをよくするためにアミノ酸や砂糖などの調味料で人工的な味付けがしてあるものもよくあります。
中には、せっかくの酸っぱさを抑えて、わざわざ甘酸っぱく調整しているものすらあるのです。

もちろんそれらが全部ダメというつもりはありませんが、精進料理の繊細で微妙な味付けにはそぐわない場合も多く、やはり味と風味にこだわるなら手作りが一番です。

昨年も紹介した梅干しの手順、平成22年版を紹介します。

これは紀州産の南高梅5㎏分です。黄色く熟して柔らかくなったものを選びます。写真ではわかりませんが、果物のようなフルーティな香りが充満しています。まずはヘタを竹串でほじって取り除きます。

次に梅を多めの水に3時間ほど漬け、アク抜きをします。どのくらい漬けるかは梅の状態によって変える必要があります。漬けすぎるとうまみまで全て抜けてしまうので見極めが大切です。

いったん干して水気を完全に切ります。梅干しで一つのポイントになるのが水分。水分が残っているとカビが生えて失敗する可能性が高まります。梅から出る水気は良いのですが、容器や梅に付いた水は完全に拭き取り、乾かすことが大事です。

梅を桶に入れ、塩をふり、また梅をのせて塩を振る、というように梅と塩を交互に重ねて積んでいきます。

なお、使用する塩は私の場合数種類を混ぜて使います。ぜんぶあら塩を使う方が良い、という人もいますが、コストを考えて精製塩も用い、国産のあら塩を主体にして、クセのある地方塩をミックスします。あまり結晶が大きい大粒の塩は梅が傷む可能性もあるので扱いに注意します。
今年はどの塩を使おうかな、と悩むのもまた楽しいものです。

重しをかけて数日すると梅酢が上がってきます。重しを長くかければその分梅酢が増えますが、かわりに梅がつぶれていくので、重しを外すタイミングは仕上がりを予想して調整します。この南高梅は特に熟していて実が柔らかかったため、余り長く重しをかけていると皮が切れてしまうので、梅酢がひたひたまで上がった段階で重しを外しました。漬けて二日間です。

梅を消毒済のガラス容器に移します。カビの原因になるので、滅菌手袋をはめて作業します。
ガラス容器に移さず、桶のままでも良いのですが、私の場合桶は別の梅に使うし、それにフタができて密閉できる方がカビ対策に良いので、すぐにガラス容器に移し、冷暗所に保存します。
この状態で最低でも二週間、できれば一ヶ月ほどおいて落ち着かせ、土用干しを待ちます。

続きはまた次回。

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