コロナ禍の年だからこそ心を込めたお供え膳を

新型コロナウイルス感染症の被害拡大は止まらず、8月に入ってからも世界規模で感染者が増加し続けています。

都道府県をまたいでの移動が憚られ、地域によってはお盆の帰省に自粛や注意を促す知事も出て参りました。これは感染症の性質上、また医療機関の負担等を考慮すればやむを得ない対応策でしょう。

あまり自粛が長く続くと経済的な損失によって生活基盤が揺らいでしまうため、移動や行楽は各自の判断に委ねられている部分があります。どう対応するかは非常に難しい部分で、住職としても、是非ともお盆には里帰りしてお墓参りを、とは強く言えません。地域の感染状況や移動距離や日数を考慮して各自で判断するしかない状況でしょう。

令和二年八月お盆日程表

ただ、こうした中でこの夏に行楽に出かけるのならば、それよりもお盆のお墓参りを優先させるべきだと私は思います。コロナ禍の中、命の大切さや、人生について諸々考えさせられる機会が増えました。こんな時だからこそ、自らの命のルーツを問い直し、ご先祖様からつないでいただいた命への感謝をお墓参りという形に表すべきだと思うのです。行楽には無理してでも行くけれども墓参はコロナを理由にして行かない、というのでは切ないことです。

今年のお盆日程は、15日が土曜日、16日の送り火の日が日曜日となっています。地域によって迎え火の日、送り火の日などは異なりますが、一般的にお墓が近い場合は12日の午後に墓参して迎え火を焚き、16日午前に送り火を焚いてお墓参りをします。ただしお墓が遠方であればその期間に一度だけお墓参りする形でも良いのです。お仕事等の関係でこの期間中に難しければ、少しずらしても差し支えありません。できる範囲で日程を調整してお墓参りをなさって下さい。

また今年は念のため大事をとって行楽はもちろんのこと、この夏は帰省をや墓参を諦めよう、という方も多いことでしょう。それもまた賢明な判断です。

お墓参りに行くことができず、気持ちがスッキリしない方は、ぜひご自宅のお仏壇に、手作りの精進料理をお供えして手を合わせて下さい。お墓参りに行けなくても、必ずその供養の浄心は亡き方々やご先祖様に伝わるはずです。盆踊りや夏祭りも自粛中止が多く、今年はお盆らしい行事や雰囲気も少ないことと思います。そんな中、静かに自宅の仏壇や精霊棚前でお盆を迎える年があっても良いと思います。

今年は、心苦しいですが、多少お墓に草が生えてしまってもやむを得ません。生きている私達の事情も大切です。自分ができる範囲で、無理なく供養することが大切だと思います。今年はご自宅でのお供え膳に力を入れ、お墓にはまた状況をみて足を運べば良いでしょう。

明日から、今年の典座ネット8月盆の精進料理作例を公開します。是非、過去の献立例も含めて、ご参考になさって下さい。

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