駒澤大学秋期公開講座の講師を務めました

以前当ブログでご案内した通り、11月26日、駒澤大学秋期公開講座にて、「禅と精進料理~感謝の食~」と題した講演で講師を務めました。

学内生向けの授業では無く公開講座とはいえ、かつて学んだ母校で教壇側に立つというのはなんともありがたくもまた恐縮な、まさしく尊い経験となりました。ご縁をくださった各位に対し篤く御礼申し上げます。

今回の講座の主題は「禅文化」で、その中の1コマでした。ただ90分で途中10分休憩有りの短さで精進料理全般に触れるのはかなりきつい時間配分でした。例えばお寺で行われる法話などの場合、精進料理の範囲対象の中から、持ち時間に応じてその日の話に関わる一部だけを抜き出してお話しすれば良いわけです。しかし今回の講座主旨だと一回の講義でまんべんなく触れる概説的な内容が求められます。しかも料理ということで視覚的にわかりやすくするために使ったパワーポイント資料を投影しながらの講義で、直感的にもわかりやすかったとは思うのですが、開始時にお断りしたとおり、かなり駆け足での進行で、一つ一つの資料を細かく説明する時間が無く、最後は少々手短なまとめになってしまったのが自分としては悔しかった反省点です。

一講師で二コマ割り当てられている講義題材もあったため、もしまた機会があれば是非二コマ以上の配分をお願いしたいところですね。というか、今回あらためて触れるべき内容を整理してみたところ、精進料理だけで一年間通して濃密な講義ができてしまいますね。料理系、宗教系、教養系、各大学からのオファーまじめにお待ちしております。

駒澤大学公開講座_禅と精進料理講演

駒澤大学公開講座_禅と精進料理講演

講義会場は深沢校舎の120周年アカデミーホール。開校120周年を記念して2007(平成19)年に完成した300人収容の最新設備を備えたすっごいホールです。駒澤大学から駒澤公園通りを歩いて5分ほどのところにあり、私が在学中にはまだ存在していませんでした。今回はじめて行きましたがあまりの立派な近代建築にビックリしました。ふだんは主に大学院の講義や研究に使われているようで、茶室や日本庭園もありました。当日は海外からの来客や学生を歓待する催しが行われていました。こんなすてきな校舎で勉強できる学生さんはうらやましい限りです。どうですか、この偉容。まさに圧倒的です。

駒澤大学公開講座_禅と精進料理講演

ホールはこんな感じで、大型スクリーン、長時間の講義でも快適なイスにはメモをとる際に便利な収納式の机も具わっていたように見えました。音響も最高で、学会やコンサートにも向いていると思います。舞台裏も非常に充実していて、廊下には余分な音を吸収し機材の傷を防ぐ特殊な壁がズラリと並んでいました。私の在学中は100周年記念ホールというのがあって何度か使ったことがありますが、使い勝手や設備の進化は格段ですね。いやー本当にビックリです。学生時代だったらこのホールをみたら、こんな広いところでやるのか!と緊張マックスに達していたでしょうが、私も少しは成長したようで、会場の広さによる緊張やプレッシャーはまったく感じませんでした。学生の時とは違い、だいたいこうした建物や設備機器にいくらかかるのか、具体的な値段とその金銭的価値がよ~くわかるようになっただけに、なおさら設備の豪華さに嘆息するばかりです。

駒澤大学公開講座_禅と精進料理講演

遠方での講演の場合、交通トラブルを考えて早めに到着しておかないといけません。朝6時に出ましたが予想通りの大渋滞で着いたのは午前10時。講義開始まで余裕をもって到着できたため、久しぶりにぶらっと大学見学を行いました。

駒澤大学公開講座_禅と精進料理講演

正面には法要開催を案内する、かなり目立つどでかい看板がありました。仏旗をモチーフにしたデザインのようです。駒澤大学はご存じの通り曹洞宗の大学で、一般学部生でも坐禅や宗教の授業が必須となりますが、実際には仏教学部の学生数は学部全体の中ではそれほど多くはなく、おそらく一般学部の学生さんにとっては強烈な宗教系大学というイメージを感じるほどではないのではないかと思います。

いや、それはもちろん良い意味でです。特別に仏教に興味がない人にとっては、なんかお坊さんみたいな頭ツルツルに剃髪した教授や、法衣を着て通学してる一部の学生がちらほらいるなー、あとたまにある坐禅の授業足がしびれて嫌だナーくらいの認識で、普通の大学として?卒業する方が多いと思います。誤解されやすいのですが、いわゆるコテコテの宗教バイアスがかかった学生生活を強制され、宗旨を教え込まれて卒業するってわけではありません。表向きにはいわゆるフツーの大学ですよ。

ただ仏教や禅について本気で取り組もうと思う人にとっては、これほど恵まれた環境はないでしょう。キャンバス内にでかい坐禅堂があっていつでも坐れますし、図書館には仏教関連の蔵書がギッシリ、そして学内で誰でも参加できる法要がしょっちゅう行われているだなんて、なんともありがたいことです。私が特に良いなーと思う点は、そうした素晴らしく深い信仰や学問が大学内で行われているにもかかわらず、それを無理矢理押しつけるような雰囲気がまったくないことです。望む者には惜しみなく与える反面、興味が無い人に無理やり強制するということはないのです。これこそ宗教の大切な基本姿勢だと思います。

ちなみに私は学生時代、卒業に必要な単位数132のうち200単位以上も取得するほど超まじめな学生でしたが、こうした法要には一度たりとも参加したことはありません。なぜならば卒業したら嫌になるほど法要に関わるのですから学生時代にしかできないことに力を注ごうと決めていたからです。後悔はしていませんが、大学でどんな水準の法要を行っているのか、ちょっと見てみたい気もします。おそらく今は本山での修行を終えてから大学院に進む方も多いので、本山と同水準の綿密な法要が行われているのでしょう。私が興味があるのは、本式か略式かという観点ではなく、大学という場でどの程度一般に向けて内容をアレンジ工夫しているのかという部分ですね。法話を含め30分、とありますから成道会法要としてはかなり短めですから興味がつきません。

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続いて足を運んだのは想い出の学食です。腹ペコの大学生に向けに量が多く、デフォルトが大盛りなのは昔とかわりませんね。値段設定がだいぶ上がっているような気がしますがそれでも一般の食堂に比べればかなりお安い方です。健康志向を受けてか、当時はほとんどなかった野菜系のメニューも充実で、それぞれカロリー表示もありました。うーんしかしこの量でこのメニューでこのカロリーは合ってるかな?と料理プロとしては疑問なものもありましたが。なお学生時代は学食で食べる友人はリッチマン呼ばわりで、実際学食できちんとした料理を食べるのは週に2~3回くらいで、だいたい自炊したおにぎりを持参するか、バイト先で配給されたお弁当を食べてました。金欠状態だと昼抜きもありましたし、学食ではなく、「パオ」という売店でからあげとスパゲッティとポテトか何かが詰めてあるお手軽な小さなパックを買って食べていましたね。これが前日の売れ残りを翌朝買うと値引きされていうて、200円くらいでゲットしていたのは良い想い出です。今と違って自由に使える電子レンジなど置いてなかったので、ひからびて冷たくなったスパゲッティを良く嚙んで食べてました(笑)今回、キャンパス内に高級持ち帰りコーヒーのカップを持って歩いている学生を発見。リッチマン!

駒澤大学公開講座_禅と精進料理講演

学食内部は昔より綺麗になった気がしますが、ちょっと驚いたのは二階席には、真ん中に図書室の自習席のようなついたてがしきってあるテーブルがズラッと並べてあったことです。おそらく「お一人さま用」なのでしょうけど、時代ですね・・私の頃は昼前の講義が終わったら、すぐに食堂に行って席を確保しないと混んで座れなくなってしまったので早歩きで学食に向かってましたね。こんな余裕ある席配置に驚きです。駒澤大学公開講座_禅と精進料理講演

続いて売店へ。売店の位置は学食二階のはじに移動していました。昔はたしかパオの横あたりにあったような?そこでよくコピーした思い出があります。

駒澤大学公開講座_禅と精進料理講演

在学中はあまり気にしなかった、駒澤大学オリジナルグッズコーナーへ。Tシャツかトレーナーくらい記念に買おうと思っていましたが予想外に高価なのでやめて大学名入りのタオルにしておきました。現役学生、こんな高い衣類買えるのでしょーか。

ちなみに駒澤大学オリジナル数珠が売られていました。ちなみに売店のレジのお兄さんは、私がすぐに学外者だとわかったようで、「卒業生の方ですか?」と声をかけられました。まあそうなのですがよくわかったな??

駒澤大学公開講座_禅と精進料理講演

壁面には箱根駅伝の勇士たちが掲示されていました。毎年3日にお正月のお札を配りながら、お檀家さん宅でテレビがついていると「駒澤何位ですか!」と聞くのが恒例です。コタツでゆっくり観戦はできないんですねー。

駒澤大学公開講座_禅と精進料理講演

私が通学していた頃は、駒澤大学駅を降りて最短路を進んでこの門から入ったのですが、もうだいぶ前から住宅街を学生がゾロゾロ歩くのは騒音で迷惑になるということで、広い道路を通って正門から通学するルールになっています。そのためこの門は閉鎖されていました。最短路は通れないように、大学側の配置した警備員さんが立っています。手前にある静粛にするようにという看板からもかなりの気遣いが伺われます。確かに住民の方にとっては、騒音や大人数での道路通行は困りますから大学も地域と共存するために気を使わなくてはいけません。これも時代ですね-。なおこの門を通ってすぐ、学生部隣にあるトイレに毎朝寄ってから授業を受け、帰る際にも立ち寄るのが習慣でした。在学中最も利用した愛着のあるトイレに寄ってみたところ、とてもキレイに使われていて感動しました。昔はまだウオシュレットはついていませんでしたがこれまた時代ですねー。

駒澤大学公開講座_禅と精進料理講演

そして私は某音楽系の部活動で青春を燃やしていましたが、さきほどの門のあたりにあった部室はすでに取り壊され、正門のあたりに移転していました。夜勤バイトあけに仮眠をとったあの汚く古い部室はもうないんだなー、と感傷にひたっていると、地下に広大な音楽練習ルームと備品置き場がありました。おそらくこれもまた騒音対策なのでしょう。こんな立派な、地下の防音ルームで演奏に集中できるなんて、うらやましいなあー。当時と比べたら夢のような環境です。

駒澤大学公開講座_禅と精進料理講演

そしてキャンパス内では開校130周年記念の大きな建物を建設中でした。このあたりは確かベンチと中庭になっていて、パオや売店があって、その周りに部活動やサークルごとの縄張りがあって、部員がたむろしていた場所だったと思います。どんな建物ができるのか楽しみです。

駒澤大学公開講座_禅と精進料理講演

ちなみに校舎のすぐ脇には有名な駒澤公園があります。当時はゴザを敷いてお花見という名目の宴会をしたり、授業の空き時間に芝生の上で昼寝したりするくらいでそれほど興味を持っていませんでしたが、今や空前の健康ブーム・スポーツブームとなり、また東京オリンピックを前になにかと駒澤公園も注目されています。左に見えるのが駒澤体育館です。

駒澤大学公開講座_禅と精進料理講演

周囲の舗装道路には、サイクリングコース、ジョギングコースが色分けでライン引きされており、多くのランナーが走ったりウオーキングしたりしていました。私も少し走ってみましたが皇居のお堀周りと違って道幅も広くとても走りやすいコースでした。秋晴れの土曜日のため多くのランナーが楽しんでいました。誰もいないいつもの田舎道でのんびり歩くのと違い、刺激を受けました。当時、これほどランナーがいた記憶はないのですがあまり興味が無かったので気が付かなかっただけでしょうか。こんな良いコースが隣にある大学、もし今通学するなら毎朝コース3週を日課にしたいくらいです。

駒澤大学公開講座_禅と精進料理講演

最後に、当時毎朝駅をおりて目にしながらも金欠学生だったため、いつか大人買いしてやるぞと横目で我慢して素通りしていた高級スイーツ店に立ち寄り、やはり今でも高額なので2個買って帰りました。次は10個買える高僧になってまた来るぞ、と目標を新たにして帰路につきました。

駒澤大学公開講座_禅と精進料理講演

後日、講座運営担当者から、大変好評だったことを伝えられました。ご聴講くださった皆様に篤く御礼申し上げます。
久しぶりに母校の様子を見学することもできましたし、大変よい経験となりました。

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