じゅんさいのお吸い物

8月中旬に紹介したお盆のお供え精進料理献立、「夏の涼やか春雨酢の物」でじゅんさいを使いました。
その際、後日じゅんさいについてもう少し紹介すると書きました。
じゅんさいの旬は夏ですし、涼やかな料理に合うため夏後半に紹介するにはちょうどいいと思っていたのですがお盆明けからずっと雨続きで急に涼しくなってしまい、まあ少し経てばまた暑さが戻るだろうからと待ってみたのですが、お盆直前の猛暑からは想像しがたいほどに、もうすっかり初秋に突入してしまいました。

来年の夏に紹介すればいいかなとも思ったのですがすでに写真も撮ってあり、後日紹介すると書いたこともあって、ちょっと時季外れで恐縮ですが紹介したいと思います。

じゅんさい

お住まいの地域によっては、じゅんさいなんて見たことも食べたこともない、という若い方も少なくないでしょう。現在では産地などは別として、ごくふつうの一般家庭では積極的に使う食材ではないと思います。漢字だと「蓴菜」です。

じゅんさいは淡水の池や沼などに生える水草です。古くは万葉集にも登場するほどのなじみ深い食材で、世界中に分布しています。根から茎が水面まで伸びて、ハスのような楕円型の葉がつきますが、茎の先端の芽の部分はぬるっとしたゼリー状の粘液に覆われていて、この独特のツルッとした食感が好まれ、夏の和食に欠かせない食材として酢の物や汁ものに使われてきました。

近代に入って各地で土地整備が行われた結果、自然の沼や池が激減し、自生のじゅんさいはほとんど見かけなくなりました。絶滅が危惧される動植物をピックアップしたレッドブックには、東京、埼玉、神奈川では「絶滅」扱い、各都道府県でも希少種や絶滅危惧種、最重要保護生物などの指定を受けているほどです。

食材としての需要も減り、栽培する生産者も厳しい状況が続いていたようですが、最近健康的な和食に注目が集まったこともあり、ややもちなおしつつあるようで、特に名産地の秋田県では現在も郷土料理として日本一の出荷量を誇っています。
旬は7~8月ごろで、産地近くでは緑が濃い生のままの新鮮なじゅんさいも出回りますが、多くは一度加熱した茶色っぽいものがパックやビンなどに詰めて販売されます。中国などの外国産もあるため、購入する際は産地を確認した方がよいでしょう。

低カロリーで、ビタミンB12やポリフェノールが豊富で、ぬめり成分のムチンも健康に良く、まだ食べたことがない方は一度試してみてはいかがでしょうか。

お吸い物はダシさえしっかりとればあとは簡単です。
じゅんさいのつるっとした食感を生かすため、あまり多くの具を入れず、また汁自体にも味をつけずに、ダシを効かせつつもあっさりしたお吸い物にすると良いでしょう。じゅんさいが古めの場合は少し加熱した方が良いですが、新しければ火を止めたダシに入れて余熱程度で充分です。残ったじゅんさいはポン酢やドレッシングなどをかけて酢の物として食べきると良いでしょう。

じゅんさいのお吸い物_精進料理

○じゅんさいのお吸い物
1 しめじ30gをほぐす。
2 オクラ1本を輪切りにする。
3 小鍋に1、2を入れて昆布だし400ml、酒大さじ3、みりん大さじ1、しょうゆ小さじ1~2、塩少々を加えて一煮立ちさせる。
4 じゅんさい50gを2つの椀に分けて入れ、3をそそぎ、輪切りにしたみょうがを添える。(じゅんさいが古ければ3の段階で加えて少々加熱する)

じゅんさいのお吸い物

やはり夏のイメージですね。いつもならまだこの時期残暑にちょうど良いレシピだと思いますが、ちょっと今年の気候では残念ながら紹介が遅かったようです。

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