お香について その5

さて、お線香と言っても色々な種類があります。
使用された材料によって香りが格段に違うことは、前回述べました。
今度はその形について御紹介します。


お香について その5

この写真を見てもわかるように、長さがいろいろあるんです。

まず一番長いのは、大天香(だいてんこう)といいまして、80センチもあります。
特別な法要や、長時間の法要の際に大導師が使うもので、写真の通り色も緑や紫、ほかにも茶色や紺色などもあります。地域によっては導師の格により色を使い分けるところもあります。
80センチの長さとなると、普通の香炉ではささりません。かなりの大香炉に、しっかり深く差さなければなりません。そうなるとよほどまっすぐにセンス良く差さないと、微妙な傾きでも先端はかなりの傾斜になってしまうため、ピシッとまっすぐ立てるにはコツを要します。

次に中天香(ちゅうてんこう)、これは55センチで、続く小天香(しょうてんこう)が45センチです。これらも、ややあらたまった法要や1時間ほどの法要の際に使用されます。

続いて、緑色のものが大官香(だいかんこう)40センチ、大薫香(だいくんこう)33センチです。これは道場で朝晩のお勤めなど、日常的に使われる線香です。
その他、小さい香炉などに使う細いお線香(名称は種類によってさまざまです)は、主に九寸と五寸のものが多く使われています。皆さんが家庭で使っているのは、ほとんど五寸のものです。

さて、色々な長さを御紹介しましたが、次の写真を見て下さい。


お香について その5

香炉の両脇に二本の線香が立ち、それにはさまれて真ん中に長い線香が立っています。
この両脇の線香を、「迎え線香」と呼びます。
法要の際、まず両脇に迎え線香を立て、真ん中をあけて導師を迎えます。そして導師は最後に登場し、そのあけられた真ん中に、仏さまのためのお線香を奉ずるのです。
また迎え線香は、通常導師の線香よりも一段階~2段階ほど、細く短いものを使用します。
つまり、写真の例で言うと導師が大官香をつかうなら迎え線香は九寸の線香。
または、導師が大天香を使うなら迎え線香は小天香、といった具合です。
なお迎え線香は、香炉のふちから指一本分ほど離して立てる、と入門当初に怖い先輩から厳しーく教わった記憶があります。あまり早く迎え線香を立ててしまうと、導師が登場する前に短くなってしまい、灰が落ちつもって汚くなってしまうのでこれがまた難しいところ。

なお、永平寺の場合、導師が柱香する須弥壇下の香炉の他にも、須弥壇の中段に別の香炉を置き、その両脇に迎え線香を立てて法要を始めます。ここには導師は線香は立てません。この中段の迎え線香は、須弥壇上に仏菩薩を迎えるための迎え線香であるといわれています。なお、来客などを家に招く際、部屋の床の間の香炉に線香を一本立てて薫りを満ちさせておくことも、同じように迎え線香と呼びます。

記事が気に入ったら是非SNSでアクションをお願いします☆