今日は東京でも今冬初の雪が降ったようです。
当地でも午後から降り始め、今の時点で20センチ以上積もっています。
当然ながら寒さも厳しく、こんな日は暖かい汁物が食べたくなります。
そこで本日紹介するのは「のっぺい汁」です。薄めにつけられたとろみが、体を芯まで温めてくれます。
方言により呼び方は違いますが、全国各地で作られているふるさとの味だと思います。
永平寺でも、よく冬の寒い日に作られる人気献立でした。
もともとは禅寺で、野菜くずや切れ端、残り物などを無駄に捨てることなく、汁物に仕立てて再利用したのがはじまりだと言われています。そのため、いろいろな種類の野菜がたくさん入っており、むしろ今の時代には残り物どころか栄養豊富、野菜のちからをいただけるご馳走といえるでしょう。
基本的には、「のっぺい汁」は里芋、蓮根、大根、人参、ゴボウ、椎茸など、根菜類を中心にした乱切りの具をごま油で炒め、ダシで煮て、しょうゆとしょうがで味付けし、片栗粉でとろみをつける汁のことです。
地方によって、具の種類や、ごま油で炒めないとか、味噌味とか、ショウガを入れないとか、とろみの濃さやとろみをつけない、などのバリエーションがあります。新潟などには「のっぺ」という煮物がありますが、厳密に言うとこれはのっぺい汁とは違う料理とされています。
まあ精進料理ではなくなってしまいますけど、前日にたべ残した焼き魚の身とか、鶏肉とか、何を入れるか考えるのもたのしいものです。
まあどちらにしろ、決まりがあるわけではありませんから、郷土の懐かしい味を思い起こして、自分なりに工夫すればよいのです。単にとろみでカラダが暖まるだけでなく、なつかしいふるさとの味が、心まであったかくしてくれるのです。
また、無理に全部の具をそろえなくてもいいのです。もちろん、多くの種類を用いた方がうまみが増すのですが、手元にあるはしきれの材料を無駄にしないという、本来の精神も忘れてはいけません。
1 里芋100g、蓮根100gの皮をむき、一口大の乱切りにし、
別々の水に5分ほどつけておく。
(里芋のとろみを生かすため、下ゆではしません。
そのため煮るときは吹きこぼれに注意。)
2 人参50gの皮をむき、小さめの乱切りにする。
3 コンニャク50gをスプーンで一口サイズにちぎる。
(包丁でサイコロに切るよりも、面がでこぼこになり、
味が染みやすく、口触りも良くなります)
4 ゴボウ30gの皮をよくこすり、乱切りにする。
5 カブ100gを皮ごと乱切りにする。
6 ダシガラの干椎茸2枚を細切りにする。
7 カブの葉の部分を3センチ幅に切る。
8 厚揚50gを食べやすい大きさに切る。
9 鍋にごま油10mlを敷き、水気を切った1、2~6を入れて塩を少しふり炒める。
油が行き渡り、具の周囲が透明になったころ、8の厚揚、酒50ml、みりん30ml、
塩2.5ml、しょうゆ10mlを加えて煮、沸騰したら弱火に落として10~15分ほど煮る。
10 具に火が通ったら、おろししょうが10mlを加え、よく混ぜる。
11 いったん沸騰させ、7のカブの葉を加え、片栗粉7.5~10mlを水50mlでといて
混ぜながら少しずつ入れてとろみをつけ、火を止める。