とろけるサツマイモのお粥_臘八攝心三日目

さつまいものおかゆ_精進料理レシピ

○サツマイモのお粥の特徴

いろいろな芋がある中で、いわゆる「芋粥(いもがゆ)」と言う場合、現在だとサツマイモを加えたおかゆを指すことが多いようですが、古くは芋がゆは自然薯や長芋を切って、葛出とろみを付けて煮込んだものを言いました。
余談ですが、一度で良いから腹一杯芋粥を食べたいと願っていた主人公が、鍋いっぱいの芋粥を見たら食欲が失せてしまった、という芥川龍之介の小説、『芋粥』は自然薯の方を指します。

今回紹介するのはサツマイモの方です。
これ、年配の方は見るのも嫌だ、とおっしゃる方もおられます。戦時中、食糧難の時にサツマイモのお粥ばかり食べていたので悪い意味での記憶が甦り、トラウマのような感情を持ってしまっているのです。

しかしこれを現代のサツマイモで美味しく作ってお出しすると、それまでのマイナス印象が打ち消され、これは美味しい,と喜んで下さる方もおられます。今のお米と、サツマイモは品種改良や精米技術により、もう昔とは味が格段に良いため、別物の味となるのです。

トロっとしたお米に、ホクホクしたサツマイモの甘さが加わって、それはもう優しい味に仕上がります。色をよくするためのクチナシの実のひと手間がまた食欲をそそります。別方法として、サツマイモを裏ごしして混ぜて色を付ける方法もありますが、この時期だとお正月が近く、きんとんを作る際にクチナシを使うので今回はクチナシの方法を紹介しました。色がなくても風味は変わらないため、無理にクチナシを用意する必要はありません。

皮をつけたままの小ぶりの乱切りにしたサツマイモを加えることで、皮の色がクチナシの黄色に映えますし、また皮の食感も歯ごたえが良く、さらに皮は食物繊維として身体にも有益です。

手順は今回のお粥シリーズ初日に紹介した、基本のお粥の炊き方と原則的にはほぼ同じで、色水を使うことと、炊く前にサツマイモを加える点が異なるだけです。
サツマイモが水気を取るため、緩めが好きな方は加える水を増やすと良いでしょう。

クチナシの煮汁は煮出しすぎると苦みというかえぐみが出るので、使う量と煮出し過ぎに注意して下さい。

○サツマイモのお粥のレシピ

1 サツマイモ100gほど(小さめ1/2本)を良く洗い、皮のまま乱切りにします。
大きさはお好み次第ですが、あまり大きいとおかゆとの一体感が薄れて煮物を食べているような感覚になりますし、また少し小さめの方がほどよくとろけておかゆに味が染み出ます。

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2 切ったサツマイモを多めの水に五分ほど浸けてアクを抜きます。

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サツマイモのお粥に、黄色い色を付けるには、くちなしの実を使います。大きめのお店に行くと売っています。和食ではきんとんを作る際にも使うので料理好きなら揃えておくと良いでしょう。
なお無理に揃えなくても、おかゆに色を付けなければこの手順は不要です。その場合は白粥と同じ、水を加えて作って下さい。

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3 くちなしの実を一粒の1/4ほど、木綿の布の切れ端(さらし)の上において包丁で何カ所か割って砕きます。あまり多く煮るとえぐみが出てしまうので、量を調整して残りは別のために取っておきます。

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ふきんの端を結んで縛り、中のくちなしが漏れ出ないようにします。

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4 鍋に水400mlと3のふきんを入れて煮出します。たまに箸でツンツンすると良く色が出ますが、無理に押すとえぐみも出てしまうのであまり押し出すようなことはせずに、ツンツンに留めます。

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5 初日の白粥と同じように、お米60ml(1/3合)を研ぎ、30分ほど水に浸けた後に鍋に移します。

白粥での丁寧な解説はこちらおかゆの炊き方~臘八摂心一日目

6 4のクチナシから煮出した黄色い汁を鍋に移します。
これでお米60ml、煮汁が木綿に吸収した分を引いて約390ml前後になっていると思います。白粥の場合は水360mlが基本でしたが、芋に少し水が取られることを考慮して、390~420mlくらいの水分で炊きます。クチナシの汁が足りない場合は水を足して下さい。

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7 水加減ができたら、水気を切った芋を入れます。さらに塩小さじ1/4程度を加えます。

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8 強火で加熱し、沸騰したらすぐにごく弱火に落とします。
この時、深い鍋だと吹きこぼれずに済みます。
今回は深でのアルミ鍋を使いました。

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9 一度お玉で底を軽く混ぜて、お米の塊をほぐすようにします。
一度でばらけますので、混ぜすぎたりせず、また温度が下がらないようになるべく短時間で済ませてフタをします。

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この消えそうなほどの弱火で、25分加熱します。

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10 25分経ったら火を止めて5分以上蒸らし、軽くかき混ぜて底に沈んだ芋を掘り起こしながら盛り付けます。下の写真は蒸らし終わった時のようすです。
水分を少し増やしても、芋が水分を取るため白粥よりも少し重目の仕上がりになります。
芋粥の場合は、黒胡麻塩の方が良く合うように思います。芋が甘いため、塩気のある漬物やおかずを添えると良いでしょう。

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