胡麻和合_基本から_令和2年秋彼岸お供え精進料理膳

精進料理の基本_胡麻和合あえ

精進料理の基本_胡麻あえ

すり鉢の使い方に慣れましょう

胡麻和合は精進料理の基本献立です。
古くは、葬儀や法事の精進料理には胡麻あえは欠かせない料理でした。今回の秋彼岸料理基本シリーズの中でも、最も手順が多く、手間がかかりますが、それだけ料理のさまざまな基本を学ぶことができ、初心者にはよい勉強になるはずです。
時間のある日に是非挑戦してみましょう。

肉や魚を用いず、少量の食事でも、栄養不足にならないために、精進料理では胡麻を上手に使うのです。そのままの状態で摂取しても吸収されずに排出してしまいやすいため、すり鉢を使って粒をつぶします。
すり鉢は現代の家庭にはあまり用意されていないことが多いのですが、精進料理を作るには欠かせない道具です。小型のものなら1000円程度で手に入りますし、緊急時にはボールやお椀としても使えますので是非入手をお勧めします。基本を学ぶシリーズのため、すり鉢での調理手順を紹介しましたが、もしない場合はフードプロセッサーで代用できます。

胡麻は白胡麻でも黒胡麻でもどちらでもかまいません。

胡麻和合(ごまあえ)の調理手順とレシピ

1 人参30gを細切りにします。
新鮮な人参なら、皮はむかなくても良く洗っただけで大丈夫です。皮が変色したり、しなびてしまっていたらむきます。
先ず1~2ミリの薄さでスライスし、何枚か重ねて縦に千切りのように切ります。

精進料理の基本_胡麻和合手順レシピ

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2 えのきだけ70gほどを切ります。
石突きの部分を取り除き、その他を1/3または1/4ほどに切ります。根元に近い部分は、つながっているので、手でほぐします。

精進料理の基本_胡麻和合手順レシピ

3 板コンニャク100gを短冊切りにします。
こんにゃくの形によって切る方向は変わりますが、今回はまず厚さを半分に切り、それを薄く切りました。
こんにゃくを薄く切るのは難しいと思いますが、厚さ1ミリを目標に切ります。

今回はごまあえの様子がわかりやすいように白い板コンニャクを使いましたが、黒板コンニャクでもかまいません。

精進料理の基本_胡麻和合手順レシピ

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4 初日に作ったダシを200ml鍋に入れ、1の人参と2のえのきを加熱します。ともに火が通りやすい食材なので、1~2分で火を止めます。ゆですぎると人参が煮崩れてしまうのでご注意下さい。

精進料理の基本_胡麻和合手順レシピ

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5 ボールとザルを重ねておき、ゆで終わった4をまけます。この、ダシで煮た汁は、昆布と椎茸の風味に加えて、えのきと人参の味が染み出ているので、捨てずに次の手順で使うのです。そのためこのようにボールとザルで受けます。

精進料理の基本_胡麻和合手順レシピ

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ザルの下に貯まった煮汁を、鍋に移します。先ほどの鍋を洗って使っても良いですし、余裕があれば別の鍋を使ってもかまいません。またザルを通り抜けた細かい具のかけらが多少入っていても問題ありません。

精進料理の基本_胡麻和合手順レシピ

6 この煮汁に、3のコンニャクを入れます。酒大さじ2、みりん大さじ1、砂糖小さじ1、しょうゆ小さじ1を加えて中火で3~5分ほど加熱し、コンニャクに下味を付けます。

精進料理の基本_胡麻和合手順レシピ

火を止めて自然に冷まし、味をなじませておきます。

精進料理の基本_胡麻和合手順レシピ

7 薄揚1枚をフライパンで両面加熱し、焼薄揚を作ります。
フライパンに油を敷かず、中火で加熱し、フライパンがじゅうぶん温まったら薄揚を載せ、フライ返しで押し付けてほどよく焦がし、両面を焼きます。

精進料理の基本_胡麻和合手順レシピ

8 焼薄揚を縦に半分に切り、さらにそれを幅3~5ミリほどに切ります。

精進料理の基本_胡麻和合手順レシピ

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9 ほうれん草100gをゆでます。
完全に沸騰したお湯に塩を少し入れ、強火のままほうれん草を投入します。
その際、根元の方が早く火が通るので、ほうれん草の先端を手でつかみ、根元の茎が太い方をまず湯にひたし、15~30秒ほど火が通ったら手を離します。熱いのが苦手な方はトングや手袋を使うと良いでしょう。
葉の部分はあっという間に火が通ります。ゆですぎると食感がまるで失われてしまうので、ゆですぎに注意します。さいばしで軽く混ぜ、手を離してから30秒~2分ほど(火力とお湯の量により変わります)で火を止めます。

精進料理の基本_胡麻和合手順レシピ

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10 余熱でどんどん葉が柔らかくなってしまうため、すぐに鍋をザルにあげ、冷水でそそいで冷やします。ザルや鍋は熱いので注意して下さい。
ほうれん草の状態によりますが、3~5分ほど水に浸けたままにして土臭さを抜きます。

精進料理の基本_胡麻和合手順レシピ

11 ほうれん草の根を一箇所に集めるようにして揃えます。先端ではなく、根元を揃えることで切り離す際に無駄が少なくなります。

精進料理の基本_胡麻和合手順レシピ

両手でギュッと握るようにして、水気を絞ります。写真では撮影の都合で片手になっています。水気が出なくなるまで、きちんと絞らないと水っぽい仕上がりになってしまうので注意します。

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12 まな板の上に載せ、ほうれん草を幅3~4センチに切ります。
根元の部分は、私は細かくしてあえ物に混ぜてしまいますが判断はお任せします。

精進料理の基本_胡麻和合手順レシピ

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13 胡麻大さじ3を火にかけて炒ります。

私はよく使うため、写真の「胡麻煎り器」を使います。
網のフタがついており、胡麻がはじけて飛び出さないようになっていて、揺するだけでまんべんなく胡麻に火が通る器具です。
ない場合は、鍋やフライパンを使います。深さがある方が胡麻が飛び跳ねにくくなります。

精進料理の基本_胡麻和合手順レシピ

ゴトクに鍋を載せて、火のすぐ近くで加熱すると強すぎて、急に焦げたり胡麻がはねたりしてしまうので、写真のように少し火から離して、遠火であぶるようにしてこんがり炒ります。あくまでも胡麻から香りを出すのが目的です。全体的に色が変わるまで火を通します。
IHの場合は遠火にはできないため、火を弱くして時間を長く加熱するようにします。

精進料理の基本_胡麻和合手順レシピ

14 すり鉢に胡麻を移し、すりこぎですり混ぜます。
すりこぎのコツは、根元部分を中心にして、先端が円弧を描くようにぐるっと回しながら、下に押し付けて力を込めます。すり鉢の溝とすりこぎ棒の先端がこすれることで胡麻がプチプチとつぶれていきます。

すり鉢がグラグラ動かないように、下にぬれ雑巾などを敷きます。私は滑り止めのゴムを使っています。

精進料理の基本_胡麻和合手順レシピ

だんだん胡麻が細かく削れてくると同事に、周囲に広がってしまうので、時折胡麻を中央に戻しながら五分ほど続けます。

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15 胡麻の粒がほとんどつぶれたのを見計らって、6のコンニャクの煮汁を大さじ3、すり鉢に移します。
暖かい方が良く混ざるので、煮汁が完全に冷めてしまっていたら再加熱します。

精進料理の基本_胡麻和合手順レシピ

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16 煮汁を加え、クリーム状になったら味を調整します。
この時、胡麻の具合によって、加える煮汁を調整して、ドロドロではなくトロトロくらいの状態にします。シャビシャビだと煮汁が多すぎになります。

精進料理の基本_胡麻和合手順レシピ

17 砂糖を好みで小さじ1程度、しょうゆを小さじ1加えてよく混ぜ、味をみます。

精進料理の基本_胡麻和合手順レシピ

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18 ボールに12のほうれん草をほぐして入れ、5のえのきと人参、6のコンニャクを加えます。5と6は汁気をよく絞ってから加えて下さい。

精進料理の基本_胡麻和合手順レシピ

この段階で、具をボールの中でよく混ぜておきます。
8の焼薄揚だけは、混ぜてしまうと湿気でせっかくのパリパリした食感が失われてしまうので、8だけは食べる直前に混ぜます。

精進料理の基本_胡麻和合手順レシピ

19 18の具に17のあえしろを加えます。
全て混ぜてしまうと多すぎたとしても取り返せないので、全てを一度に混ぜてしまうのではなく、2割ほどを残して混ぜ、様子や味をみながら足りないようなら残りを加えるようにします。

精進料理の基本_胡麻和合手順レシピ

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良さそうなら、盛り付ける直前に8の焼薄揚を混ぜてできあがりです。焼薄揚だけは混ぜずに上に散らしても良いです。

精進料理の基本_胡麻和合手順レシピ

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