漬け込み1日目 硬いのが好きな方向け
漬け込み2日目 良く漬かり漬物独特の食感と色が出てきます
ナスの色止め方法とミョウバンの使い方
秋なすが美味しい時期になりました。
お供え膳の中で漬物は全体のバランスを取る要の役割をするため軽んじてはいけません。精進料理では「香菜」(こうさい・きょうさい)と呼んで、季節の香りを感じさせる野菜を用いるようにします。
ナスの漬物は、独特の食感と風味がたまりませんね。家庭菜園をしている方は、一度に大量のナスが獲れて保存に困る場合もよくあります。そんなときにも重宝する、家庭で簡単にできる漬物を紹介します。
せっかくのナスの美しい紫色を失わせないためには、みょうばんを使って色止めをします。
ナスの紫色は、「アントシアニン」という色素ですが、水溶性のため調理によって流出しやすく、ナスの漬物はすぐに色が悪くなってしまいます。
そこでミョウバン(硫酸アルミニウムカリウム)を使うと、アルミニウム成分がアントシアニンに作用して錯塩(さくえん)物質が形成され、色素が安定して鮮やかな紫色に仕上がるのです。
またミョウバンには収れん作用があり、歯ごたえもよくなるため、見栄えだけでなく漬物にとって重要な食感も向上するのです。
ぬか漬けなどにも使えて安価なのでナスをよく使う方は家庭用の小袋を用意しておくと良いでしょう。
なお浅漬けを漬ける際は食材に塩をまぶすなどして馴染ませて水分を抜く方法が一般的ですが、ミョウバンを使う場合はただこすり混ぜても溶けないため、塩とミョウバンを水に加えて加熱し、温度を上げて溶かしてから冷まし、ナスにそそぐ方法を取ります。ひと手間かかりますが、まんべんなくナスに行き渡らせるためには欠かせない方法です。
お好みで、砂糖は加えなくてもかまいません。
またミョウバンはアルミ鍋に長く入れておくと、少し変色してしまうことがあります。今回のレシピ手順程度ではまず困らない程度ですが、うっかり放置しないように気をつけてください。
なお一日くらいで食べることはできますが、2日以上漬けた方がより漬物らしく侘びた雰囲気に仕上がります。
一番上の写真が丸一日漬けた状態、2番目の写真が2日漬けた状態です。4日ほど漬けるとしょっぱくなりすぎてしまいます。
ナスの浅漬の調理手順とレシピ
1 なす2本のヘタ部分を切り取り、縦に半分に切ります。
2 漬け汁を作ります。
水150mlを鍋に入れ、塩小さじ1ほど、砂糖小さじ1~2杯を加えて加熱します。
3 ナスの色を良くするためにみょうばんを加えます。
量は小さじ1/3~1/2程度です。
塩、砂糖、みょうばんの粒が溶けたら火を止めて冷まします。
4 ナスを漬け桶に入れ、3の漬け汁が冷めたら注ぎます。
ナスをなるべく隙間がないように詰めて並べ、少ない漬け汁でも行き渡りやすくします。
このようにナスのほぼ8割くらいが漬け汁にひたっていれば、塩分が作用してナスから水分が出て完全にひたります。
重しをかけて常温で1日以上浸けます。2日目からは夏期は冷蔵庫に入れて下さい。
写真の簡易漬け込み器は上部のつまみをねじると内部の押し板が下に下がり、重しをかけたのと同じ効果を得ることができます。
力のかけ具合を調整でき、中が透けているため浸かり具合を確認できて便利です。
あるいはこのようにビニール袋にナスを入れ、漬け汁を入れる方法もあります。重しはかけた方が良いのですがどうしてもなければ重しは少しでも早くナスから水分を出すためなので、2日この状態にしておけばナスならば浸かります。
5 食べやすい形に切って盛り付けます。
漬け汁は水で洗う必要はありません。どうしても不要な塩分が気になるならクッキングペーパーで拭き取ると良いでしょう。