大根に限りませんが、野菜というものは皮のすぐ裏の部分に一番栄養が集中しています。
もちろんその部分は味も濃く、今の時期の大根で言えば強い甘みを含んでいます。
しかしほとんどの方がこの皮の部分を捨てているのが現状、なんともまあもったいないことです。味と栄養が一番ある部分をわざわざ捨てるとは。
まずは皮=捨てるもの、という固定観念を捨てることが精進料理の第一歩です。食材のいのちを全て無駄にせず生かすのです。
一般的にどうして皮の部分が敬遠されるのかをまとめると、
1 泥などの汚れが付いていて汚い
2 皮の部分は中身に比べて硬い
3 味にクセがある
以上の3点が主な理由ではないでしょうか。
3の味にクセがあるということは、それだけ栄養分が多く味が濃いことの証明であって、アクを取ったりしてクセをうま味に変える調理法を用いれば良いし、2については固いのならば柔らかくする工夫をすればよいし、1については泥を落とせば良いのです。
食材によってはさすがに食べることが難しい皮もありますが、大根の皮なんてぜんぜん問題なく食べることができますよ。むしろ皮ならではの味わい深い風味があると思います。
そこで今日ご紹介するのは、大根のカレー炒めです。
大根にカレー味?と不思議に思うでしょう。しかしこれが意外に良く合うのです。濃い味のカレーを使うことにより、皮独特の臭みも感じません。また多めの油で炒めることによって辛みも堅さも和らぎます。
1 大根の皮100g、人参の皮30gをそれぞれ細切りにする。
※よく洗ってから厚めにむく。大根はひげを取り除いておく
2 薄揚20gを細切りにする。
3 大根の葉20gくらいを細切りにする。
4 木綿豆腐100gをふきんでくるみ、10分ほど重しを載せて
水気を切り、ボールの中で手で握って細かくつぶす。
5 熱したフライパンに4のつぶした豆腐を入れ、固まって
つぶつぶになるまで熱し、パットに開ける。
6 別のフライパンに油20mlを敷き、1の大根と人参を炒め、
油が回ったら酒30ml~50mlを加えて炒め煮風にする。
大根が柔らかくなったら2と3と4を加え、よく混ぜて
薄口しょう油5mlで味を調え、カレー粉末を混ぜる。
7 うつわに盛りつけてさらにカレー粉末を上にまぶす。
※5の煎り豆腐は、時間が経つと固まるので、6以降は手早く
行ってください。なお、カレー粉末は、カレールーを細かく
刻んでもよいのですが、コショウみたいな形の小さな容器に
入った調味用のカレー粉末が150円くらいで販売されています。
なおカレー味が苦手な方は、しょう油の量を増やしてコショウを
使ってもおいしくできます。大根の皮が指定の量足りない場合は
もちろん身の部分を使っても問題ありません。