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歴代住職旧墓地の草刈り墓参

当寺は400年の歴史がありますが、火災や洪水にあって何度か境内を移転しています。


2回目に建てられたと伝えられる場所に、歴代住職の墓地があります。
ここもまた火災で伽藍が焼け落ちて別の場所に移転したのですが、墓地だけは一部ここに残されています。
この墓地は山のように小高くなった斜面の最奥地にあります。住職就任したころ、墓地の場所は伝説?のようになっており、「じいさんが言うには、どうもあの奥のあたりにお墓があるらしいよ?」というようなあいまいな地元情報しかありませんでした。もう数十年誰も立ち寄っていなかったため、草木が生い茂り、原野のようになっていました。身長より高く密集したジャングルをかきわけながら情報をもとに山の中を探索し、3日目にやっと見つけることができたほどです。これは大げさでも何でもなく本当にたいへんでした。

私以外誰も通らないので、この時期になるとまた草が生えてきます。
はじめの頃はめちゃくちゃ太くて堅い草木や竹などがびっしり生え、まさしく開墾に近い状態で、お墓への道を草刈りするだけで1週間はかかりました。
発見以降は毎年何度も草刈り作業をしているため、生える草も柔らかくなり、作業しやすくなりましたが、それでも1日かかりの作業です。

見て下さいこの雑草。4月に墓参した際はまったく生えていなかった草がわずか2ヶ月でこの状態。近場にあれば、何度も墓参りできるので道も保てるのですが、山奥のためそうもいきません。
草の高さはだいたい私の首のあたりです。いまの時期に刈らないと大変な事になります。
ちなみにお墓ははるか向こうで、草のせいでまったく見えません。
当然車は入れないので、山の入り口に停めてそこから踏み分けてきます。この地点で半分くらいです。


面積が広すぎて手で刈るのは不可能なため、エンジン式の草刈り機を使います。これは地元森林組合で購入したハイパワータイプで、原野でも軽々草が刈れます。そのかわり振動が激しく、防振手袋を着用しても、草刈り後はしばらく手が震えて細かい作業はできません。
また先端の丸い刃が高速で回転するため、気を付けないと大けがする恐れがあります。

全国各地、地域によって和尚に求められる能力は異なりますが、当地ではこうした方面の能力がないとやっていけません。都会の和尚さんに話すと、「またまたー、ウソでしょ?」と信じてくれません。
最近「坊主は高級外車を乗りまわしてゴルフ三昧、酒場で豪遊だろ」という噴飯ものの仏教批判を見かけますが、そんな現実とかけ離れたこと言ってる人には私の軽トラに乗せてあげて手伝わせたいです。

ようやく刈り終え、広々とした景色があらわれました。いちばん奥に墓地が見えます。
毎度のことですが、全身汗だくになる大変な作業です。
しかし大変ではありますが、これも歴代住職に対する報恩(恩返し)なのです。

きれいになった墓地にお線香をお供えして読経。
身体はくたくたですが、気持ちは晴れ晴れして作務終了です。

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