前橋育英高校の「凡事徹底」に学ぶ

全国優勝した前橋育英高校、報道によると「凡事徹底(ぼんじてってい)」を掲げて日頃から練習に励んできたそうです。

つまり特別なことや難しい練習など高度なことばかりに目を向けるのでは無く、誰でもできるような当たり前の基本や小さなことを一つ一つしっかりと行い、積み重ねるということです。それは野球だけでなく、たとえば挨拶や服装の気遣い、掃除やゴミ拾い、時間を守ることなどの日常生活にも及んだそうです。

これは即ち禅の教えと全く同じです。
禅では「喫茶去(きっさこ)」「茶に逢うては茶を喫し飯に逢うては飯を喫す」「平常心是道」「直心是道場」などなど、その教えを表現した言葉はたくさんありますが、要するに「修行とは滝に打たれたり、火の上を歩いたり、断食したり、そうした特別なことだけが修行だと勘違いしやすいがそうではなく、毎日自分が行うべき一つ一つの行為をいい加減にせず、作法にのっとり心をこめて丁寧に行うことこそが修行」という教えです。

そのため曹洞宗では朝起きて顔を洗うこと、トイレに行くこと、身支度を調えること、歩くこと、食事を作り食べること、掃除をすること、お風呂に入ること、眠ることなど、すべてが坐禅や読経とおなじありがたい修行だと受け止めて精一杯つとめます。

このブログでお伝えしている『典座教訓』『赴粥飯法』の教えも、まさに同じことです。
ご飯を作り、ありがたくいただく。これほど誰にでも身近で当たり前のことはありません。
それをいい加減にせず、きちんと向き合って徹底する。誰にでもできることですが、逆にいえばとても難しいことでもあるのです。

また報道では、最近高校野球では勝利に固執するあまり、相手を思いやる気持ちに欠けるプレーを行うチームが増えている中で、今回の前橋育英高校の試合はとてもフェアで爽やかだった、と誉めています。
やはりこうした禅に通じる教えを日頃から実践していたからこそ、大舞台でも落ち着いて日頃の力を出し切ることができたのではないでしょうか。ただ勝つためだけの野球では無く、人間的にも成長できるような指導法は、野球部を卒業してからも、これからの人生できっと大きな力となることでしょう。

今回の前橋育英高校の指導方針から、私もあらためて足下を見直し、「凡事徹底」を忘れず精進を続けたいと思います。

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