令和になって初の梅収穫時期を迎えました。
寺の裏山には精進料理に欠かせない梅の木がたくさん植えられていて、昔から修行僧たちの貴重な食糧となってきました。とてもたくさん実がなる年もあれば、そうでない年もありその差はかなり大きいものです。なるべくたくさん採れるように、延びすぎた枝の剪定や、肥料をあげたり除草をまめにしたりと、1年間かけてたくさんの手間をかけているのですが、例えば剪定もその時々の加減が難しく、良かれと思って切ったのが今ひとつだったり、逆に予想外に良かったりとなかなか一筋縄ではいかない奥深い世界なのです。できるかぎりの努力を重ねていても、梅の花が咲く時期に天候が悪かったりすればアウトです。
また感触としては梅の木にも体力や調子のような要素があり、毎年毎年大量の実をならしていたら身が持たん、という面があるような?そのためたくさんの実をつける年が数年に一度あって、後は普通の年と、激減する年と、波のようなものがあって一定では無いように感じています。
そんな中、今年は大量収穫の大豊作でした。これだけたくさんの実がなると、一年間の苦労が報われるような気がします。令和になった節目の年に大豊作、これは幸先良いです(^○^)
これだけ大きな実が鈴なりの年は数年に一度です。梅の実をもぐだけで一苦労です。暑さと、毛虫と、蚊、そして梅のトゲと闘いながら汗だくで集めます。
調理台に載りきらないほどの大量の梅。まずはシンクで丁寧に洗って汚れを落とし、1時間ほど浸けてアクを抜き、ホシ(へた)をひとつずつ取り除きます。この下処理もまた手間のかかる作業ですが美しく仕上げるためには欠かせません。ここを手抜きしないのがまた修行であります。
正確に計量し、水気を完全に乾かしたら消毒した巨大な桶に入れ、あら塩をまぶします。塩の量は私はカビが生えないギリギリの18%仕上げ。最近暑いのでそれ以下だと私の保存環境だとカビてしまう恐れがあるからです。
おもしを載せて一晩おきます。
一晩でこのように梅酢が上がってきます。この時、傷んだ梅や水気、雑菌などが混じっていると梅酢が濁ります。そのままにしておくとカビてしまいますのでこの梅酢が上がるまではドキドキものです。
晴れた日を桶に入れて待ちます。今年は七月中は晴れの日がほとんどなく、八月に入ってからは逆に毎日度を過ぎた高温の日が続きました。梅を干すには最適なのですが・・・八月はお寺が忙しいのです。ゆっくり干す時間がなかなか取れず、なんとか無理にやりくりして干すことができました。これで半分の量です。トレイが10枚しかないので2回に分けて干します。
朝の時点ではしっとりプニョプニョ状態の梅ですが、半日干して裏返し、夕方まで陽に当てると緑色だった梅が薄紅色に変色し、また余分な水気が抜けてしわしわの良い梅干しになります。
良い感じに仕上がりました!
しばらく寝かせて味を落ち着かせてから頂きますが、今年は暑いので熱中症予防のための塩分補給のためにさっそく一日数個を食べております。たくさん実をつけてくれた梅の木に感謝です。